第二十九話『Aランク』
八階層。
洞窟エリア。
突然現れた俺たちを見て、冒険者たちが驚く。
「ああ!? なんだこの光は!」
「よう」
俺は軽く手を上げた。
「お前ら。俺は魔王だ」
「魔王だと!?」
冒険者たちが武器を構える。
「聞いたことあるぞ」
一人の剣士が俺を見る。
「このダンジョンの魔王は自分から現れるらしいな」
「ああ」
「しかもBランクパーティーを倒したって話だ」
「まぁな」
すると別の男が笑った。
「でも俺たちはAランクだ」
「そうだな」
俺は頷く。
「だが、それは俺が進化する前の話だろ」
「は?」
冒険者たちが眉をひそめる。
「何言ってるんだ?」
「見れば分かる」
俺は魔力を解放した。
「身体能力強化」
瞬間。
俺の姿が消えた。
「なっ!?」
次の瞬間には、剣士の背後に回り込んでいた。
「黒葬の惨撃」
黒炎の斬撃が放たれる。
しかし――
ガギィィン!!
剣士はギリギリで防いだ。
「ほぉ」
俺は少し感心する。
「よく止めたな」
「腐ってもAランクだからな!」
額には汗が浮かんでいた。
かなり無理をしたらしい。
「そうか」
俺は少し笑う。
「だったら、新しいスキルを見せてやる」
「何?」
俺は右手を前へ出した。
「魔王の威圧」
黒い魔力が洞窟全体へ広がる。
「ぐっ……!」
「な、なんだこれ……!」
冒険者たちの動きが鈍くなった。
足が重い。
呼吸も乱れている。
「お前のスキルは何なんだ!」
剣士が叫ぶ。
「魔王の威圧はな」
俺はゆっくり歩く。
「相手の身体能力を落とすスキルなんだよ」
「めちゃくちゃなスキルだろ、それ!」
「ああ」
俺は上位魔剣を構えた。
「だから魔王専用なんだろうな」
黒い炎が刀身を包み込む。
今度のAランク冒険者は、さっきより明らかに動きが遅い。
なら終わりだ。
「これで終わりだ」
俺は上位魔剣を振るった。
「黒葬の惨撃」
黒炎の斬撃が洞窟を駆け抜ける。
「あああああっ!!」
Aランク冒険者たちは抵抗する間もなく飲み込まれた。
しばらくして黒炎が消える。
そこには誰も残っていなかった。
「終わったな」
「すごいです、ご主人様!」
メリたちが目を輝かせる。
ミルも嬉しそうに飛び回っていた。
「どうでしたか、Eランク魔王の力は?」
「そうだな」
俺は上位魔剣を肩に担ぐ。
「結構強くなってたよ」
「そうですか!」
ミルは本当に嬉しそうだった。
未来予知。
魔力の極み。
身体能力強化。
魔王の威圧。
Eランク魔王は、想像以上だった。
「今日は色々やって疲れたな」
俺はため息を吐く。
「もう戻るか」
「はい!」
「承知しました」
俺たちは玉座の間へ戻った。
その夜は焼肉を食べ、久しぶりにゆっくり休むことにした。
Eランク魔王となった俺。
そして進化したゼキナ。
さらに強力な配下となった水魅たち。
新帝ダンジョンの戦力は、確実に次の段階へ進んでいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔王ランク:Eランク
タケシLv:0
ゼキナLv:0
残りポイント:54940pt
階層数:10階層
主な出来事
・八階層でAランクパーティーと遭遇
・身体能力強化で圧倒
・新スキル「魔王の威圧」を初使用
・Aランクパーティーを黒葬の惨撃で殲滅
・Eランク魔王の実力を確認
・玉座の間へ帰還
・焼肉を食べて就寝
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




