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前の世界で運営者に消されたNPC姉妹が新しい世界で生きて行く  作者: あいか
序章 この世界で妹と再会するまで
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84話 休息日の魔法剣改良

皆様、いつもありがとうございます。

 リディアの試験日の夜、私はお父様の助言で王城へと戻ると直ぐに本の作成をし始めた。とは言っても大半が終わり、残りは少なく一日もあれば終わる予定だ。


 鼻歌まじりに本に記載をしていると扉がノックされ、「アニエスお嬢様、中に入りますね」とシャーリーの声がした。私が答える答えないに関係なく、いつも入ってくる事からあまり意味はない気もするが「うん、いいよ」と答える事にした。ガチャっと扉が開き、シャーリーが入ってくるのだが、片手に持つ物に目が留まったのだ。


「シャーリー、手に持ってるのって…」


「はい、捕獲しましたので連れてきました。どうやら魔力切れで動けなくなったらしいです」


 シャーリーはそう言うと部屋のテーブルに宙吊りで動かない人形、マリーを置いたのだ。


 最近マリーは私の元を離れて特訓している事は知っていた。騒動の後にマリーから強くなるために特訓すると聞かされていたからだ。


「シャーリーどこで捕獲したの?」


 私はシャーリーに聞くと、シャーリーは「王国騎士団が使う訓練所の隅で捕獲してきました」と答えた。シャーリーの話を聞くと、どうやら毎日ローランと戦い限界まで魔力を使い果たしたらしく、王都では大気から魔力供給が難しい上、魔法に長けた者が少ない王国騎士団では魔力供給ができなかったようだ。


「アニエスお嬢様、無理を承知でお願いをしたいのですが、マリーを明日の特訓で使いたいので魔力供給お願いできませんか?」


 シャーリーはそう言うと、ローランは明日予定があるらしく、マリーが動ける時に約束をしたと言う。しかし、マリーは本日ローランとの戦いで黒い腕を二本出しながら、大剣を振るったり、バリアブルソードを派手に使った結果動けなくなったようだ。


「あの剣使ったんだ…ここぞって時のとっておき技のつもりだったんだけどね、わかったよ、マリーに魔力供給しておくね」


 マリーも切磋琢磨して本来は成長限界を迎えるはずなのに伸び代がある事から限界を知りたいと言う本音と建前の王国騎士団の強化という事で、シャーリーのお願いを聞く事にした。正直今回の騒動はうまく退けれたけど、一つ間違えば最悪の結果も想定できる。その為にシャーリーも連日特訓を行っているほどだ。


 よく考えると王国騎士団の戦力が落ちたのはお父様やシャーリー、ラルク等の私兵として連れてきた人が多いような気もしたが、お父様曰く、問題ないと言う事もあり、深く考えるのはやめる事にした。


 シャーリーは飲み物を入れてくると言って部屋から出ると、マリーをつんつんと指先で突くのだ。


「マリー実は動けるでしょ、私には魔力がある程度見えるんだから無駄だよ〜」


 シャーリーが手に持つ時から気になる魔力纏い、確信している事もあり、突いて弄っていると「もうやめなさい!」と根負けしたのか起き上がった。


 何故、動けないフリをしていたのかと聞くと、マリーは本日ローランと午前訓練、その後午後も訓練、強くなる実感はあるそうだが、休憩なしでは流石に辛いようで動けないフリをして魔力温存していたらしい、その結果私の元に連れてこられたのは想定外だそうだ。


「魔法生物も休憩やっぱりいるんだね…」


「当たり前でしょ!私も最初は戦いに戦いで楽しかったわ!でもローラン、体力が無限なのか疲れるそぶりもなく、ずっと終わらない訓練を朝から夜、正確には深夜までやるのよ!」


 マリーの話からローランはおそらく雷水晶の魔力により身体強化がされている事で疲れを感じにくいと思う。実際は麻痺して感じてないだけなので、いずれ反動が来るはず、ローランの問題も解決する必要がありそうだ。


 マリーにとりあえず、魔力供給をする事にして、その間話を聞く事にした。


「銀騎士モードとバリアブルソードどうだった?」


「あれは凄いわね、防御も全体の魔力循環が高まるのか魔法も強化されて強くなった気分だったわ、問題としてはバリアブルソードの魔力消費が多すぎて連戦や遺跡のような休憩ができない場合だと難しいわね」


 ふむ、大体予想していた通りの使用感のようで、思った通りの守りは強く、ピンチをチャンスに変える事はできそうだ。


「私の塔に行ければ特別な魔力装甲があるんだけどね。マリーに強化を約束したからには作れるか試すけど、すぐには難しいかも、やる事が多くなっちゃったからね…」


 マリーと約束していた強化は忘れていないけど、時間も手段もない為、そう言うと「気長に待つわよ」と寛大な返事が返ってきた。


「マリー、魔力供給終わったよ」


 十分なほど魔力を注ぐと、マリーは「生き返る気持ちだわ」と言いフラフラ宙を飛び回る。前々から聞くつもりだった黒い腕を取り出す空間の話をちょうど良い為、聞いてみようと思い話をしてみる。次元収納に近い空間という事は知っているので、私が思いついた方法を一度試してもらうように伝えると、マリーは「思いつかなかったわ、上手くいけば強そうね!」とやる気満々になった。私の話した事は至ってシンプルな方法で空間に穴を開けて剣や腕を取り出す事やしまう事ができるのは以前確認済みな為、片方から剣を飛ばし、飛ぶ先に穴を開けて中に入れ、更に出口を作り加速させながら出し入れを繰り返し攻撃する方法だ。これがうまくいくなら自在に近距離から遠距離まで魔力が届く範囲を攻撃できるようになるはずだ。念の為に人には使わないでと釘を刺して約束をしてもらった。


「アニエスお嬢様、戻りました」


 マリーとの話がひと段落した時にちょうどよくシャーリーが戻り、宙に浮くマリーを見て供給を終えた事に喜び、明日の訓練で使える事を楽しみにするらしい、マリーは一体どうなるのか、一応マリーの気持ちを汲み取りシャーリーには休憩を取り入れる事と魔法生物と言っても生きてる人と同じように魂があり、感情も存在する事から道具のように使わないでと伝えると、マリーが「アニエスはやっぱり良い子ね!」と喜んでくれた。


 飲み物を飲みつつ、本を書いていく、宙を舞うマリーは時より本を覗き見して難しいと言いたま飛び回るを繰り返している。徐々に羽虫に思えて、先ほど伝えた事を取り消そうかという気持ちが高まるのだった。


 翌日、マリーとシャーリーは朝早くやる気満々で部屋を出ていき、私は残りを書く一日にしようと思った。時間を有効的に使う為、遠隔起動でクラフトチャンバーを使い、国王陛下とお父様に話した魔導銃の部品を作っている。私が生産職なら部品を作り、合わせる過程を飛ばして魔導銃自体をそのまま作れるのだが、私はその系統のスキルを保有していない。武器作成は苦手な分類で、逆に魔法道具や消耗品は私のスキルはある程度揃っている。ゲームのようにスキルポイントが稼げるなら振っても良いが現状は増える仕組みがわからず、もしもの時ように溜めているのだった。


 ある程度の日程を消化した後、私はシャーリーから前に話していた魔法剣を借りることができた為、調べる事にした。魔法道具や簡易的な装備は私も錬金釜で作成できるけど、本格的な武器は難しい、だからこそこの魔法剣の仕組みが知りたいと思ったのだ。


「魔力眼を発動させて持ってみたけど、普通の重たい剣だね…」


 属性を有する珠を付けてない為、当たり前だけど、珠は数が少なく消費してしまうので借りることができなかった。鑑定スキルがあれば楽そうなんだけど、といつも思ってしまうのだ。


「重さ的に材質は鋼以上、属性変更の魔力纏いができる事からミスリルなのかな、でも魔法鉱石なら軽いはず…合わさったから重いのか、バラしてみるか、どうするか…何か仕組みが隠されてそうだけど可能な限り分解してみるかな…」


 借りた魔法剣は、一応シャーリーに大丈夫なのかと聞いた所、予備品と言っていた事から問題ないとは思いつつ、勝手に分解は倫理的な話をすれば良くないだろう、だけど魔法職の探究心は止められなかった。


 誰もいない部屋の中、キョロキョロ見渡す、意味のない行為で安心感を増やした後、次元収納からテントを取り出し、部屋の中に設置する。第二の家とも言えるテントに入ると魔力錠のかけてある私の部屋に向かった。中に入り、作業や道具を置く為のテーブルに魔法剣を置き準備をした。


「武具の改造用ハンマーを使う時が…一度分解しなきゃだけど元通りにすれば大丈夫だよね!」


 私自身使う機会がほとんどなかった鍛治ハンマー、叩くと製造武器のみ構成パーツに分かれて素材の追加などができる代物、再度合わせて叩けば元の位置に収まるゲームの仕様が動いてくれるはず、連勤作成やドロップ品が効果適用外なので、使う機会がイマイチなかった道具を試せる事で既にワクワクしているのだ。


 他に誰もいない空間で良かった。正直今のニヤけてハンマーを振るう姿は危ない人に思われるだろう。そう、私はこの時…いや、この後自制心を強く持つべきだったのだ。


「どうして…どうしてこうなったの…」


 ウキウキの状態でテントに入ってから数時間はあっという間だった。私は鍛治ハンマーでうまく刀身、鍔、柄を分ける事ができて様々調べた上、借り物という事を失念したまま改良してしまったのだ。


 最初は刀身の重さ、魔力を含み属性を変える事から魔法耐性を保有しつつ強度が高い事から鋼以上の鉱石を混ぜわせている事は予想ができたが、鑑定スキルがない以上、その先は難しく、刀身に刻印がない事で魔力循環率と軽さを追求するべくミスリルを錬金術で作り、刀身に合わせて鍛治ハンマーで合成させた。鍔は属性珠を取り付け、刀身に魔力を送る大切な箇所だったが、使われた材質がわからず、安易な考えからミスリルを合わせ、柄もどうせなら軽くて珠以外からも魔力が伝わるといいと安直な考えから同じく混ぜてしまったのだ。


 その結果、バラバラの時は変化がなく、正確には時折謎の光を出す状態ではあったが、ミスリルの輝きが綺麗と思う程度で、合成して増えた容量で刻印もしてしまおうという謎の考えに至ったのだ。


 雷撃の追加効果を見つけた時のように本来付与できない魔法、専用魔法のマジックソードを魔法陣化させて、そのまま刻印はできない為、属性指定をなしに魔力出力を高めて、魔力が刀身に流れる時にマジックソードが刀身周りに発動するようにと一発勝負の改良を行った。組み立て直さないと発動できない為、確認を後に鍔は基礎効果の魔力増加、接合した刀身に魔力を流しやすいようにと武具に刻印した事がない魔法連鎖を試した。柄にも同じく魔力増加を付けようとしたが、刻印箇所がないと言われ、次元収納に入っていたちょうど良さそうな魔石を取り出すと鍛治ハンマーで合わせて無理やり刻印を行った。個別で見ると謎の光が出る以外は分かれた部品で鍛治ハンマーを使い合わせた後、姿が変わったのだ。


「面影が残ってない…薄く長く折れそうな刀身、虹色で浮かぶ魔法文字…鍔は何故か属性珠を取り付ける所が塞がれて刀身に向かい角みたいな物が生えている…柄は一見変わってなさそうだけど、魔石が合わさったからか、下に属性珠をつける箇所があるけど、形が今までと違う…」


 テンションが上がり、考えなしに勝手な改良を加えた結果、元の魔法剣からは似ても似つかない武器に変わってしまった。元々、西洋剣式の魔法剣は、本来の用途でもある刃の太さを利用した潰し斬りや突き刺しがしやすい反面、重く力を必要とする。用途を考えれば重たくした方が良いと考えられているのだろう、今になって冷静に分析すれば重い理由も見えてくる。それを私はミスリル等を出した事で軽くなり姿が変わってしまった。ゲーム内なら変化要素として盛り上がりそうだが、これは借り物だ。


 鍛治ハンマーは不可逆なので足すことは出来でも減らすことはできない、足すにしても現在の素材より上位素材を使う必要からミスリル以上となればすぐには難しい、しかしながら悔しい事に私の改良はある意味成功していたようで、握ると滑りにくく、全体を軽くした結果魔力による筋力補正を使わなくても重さを感じない剣捌きが可能になる。刀身が薄い反面、長い為両刃付いているけど、刀のような使い方も出来そうに感じる。何故か塞がる属性珠スロットに付いた角は私が求めた魔力増加の機能を果たすらしく、柄に魔力を流すと角が光り刀身に魔力を流せる。全体がうっすら光り、刀身に魔法文字が浮かび上がる謎効果付きだ。


「予想外だけど、この出来なら…ってダメだ、怒られる…元のホルダーに入らないし、どうするべきか…」


 悩んだ結果、行き着く先は早く謝ってしまう事にたどり着くと、変化した魔法剣、ホルダーを次元収納に入れ込み、テントから出て、メイドを扉越しに呼ぶのだ。


「これから王国騎士団の本部に行きたいのですが、連れて行ってもらえますか?」


 私一人でもある程度の場所はわかる。騒動の時に見た入り口横にある場所がそうだと思っているが、一人で歩くと後々大変なことは既に痛感している為、移動する時はメイドにお願いして付き添ってもらう。扉越しに「畏まりました。お部屋の中に入りますね」と優しい声が聞こえて私も「うん、お願い」と言う。扉が開き、メイドが入ると王城内を歩く時、問題ない身だしなみか、汚れがないかをチェックしてくれ、何かあれば服を選んだり、髪を弄ってくれる。問題なしとの事で、向かうのだが、「王国騎士団に御用とは如何されましたか?」と聞かれてしまった。


「シャーリーに至急伝えたいことが出来たから!」


 苦し紛れだが、本来の目的の謝罪も同じ意味だろう、私がそう言うとメイドは伝言なら聞いて話に行くと言う為、言い訳が大変だった。国王陛下の通達もだが、私の立ち位置がよくわからず、どこまで話して良いものか迷ってしまうからだ。


 最近慣れた王城内部を歩いていくと、殆ど修復が終わったようで痕跡の跡はなく、綺麗な王城と日々警備を怠らぬ騎士が見回りしたり、要所要所で立っている。私を見ると胸に手を当てて騎士の敬意を示すポーズをする為頭を下げている。そんなこんなでたどり着いたのは予想通りの入り口横にある扉だった。


「こちらが王国騎士団の本部として王城内で使われている場所です。宿舎や本来の詰め所は別にありますが、王城勤務の者、休憩、仮眠と有事の際に動けるようある程度の人数が在中してるはずです」


 本職のメイドは私が気になる箇所全てを教えてくれるほど情報を持ち合わせて凄いと感じる。シャーリーも凄いと思うけど、流石王城のメイドだと感心することが多いのだ。


 もう慣れたことだが、私自ら扉は開けず、メイドが開いてくれる。その流れを見ていると王国騎士団の本部なのに扉の前に騎士が立っていないと言う事が違和感に感じてしまった。扉が開き、中の風景が目に入る。騒動の時とは違い、騎士も居れば、装備品や道具も揃っているようだ。


 中に入ると、後から入ったはずのメイドがさっと、扉横のカウンターに居る人にシャーリーを呼んで欲しいと伝えてくれた。入ってすぐにカウンターがあるのは何というか、騎士団というより、事務的な場所に見えてしまう。ゲームならギルド関連だろうか、冒険者組合も近いのだが、小さな空間にあるのが好きに感じるのだ。


 当たり前のことだけど、入ってくる者へ視線が向けられると子供とメイドという組み合わせで、この場所に不釣り合いと思われていそうだ。


「えっと、貴方がシャーリーさんにご用があるのね?」


 辺りを見渡していると不意に私へ声がかけられた。メイドがやり取りしているから油断していたのだが、女性の騎士が私に近寄り声をかけたのだ。不意をつかれたことで、「ひやっ!」と謎の声を上げてしまい、周囲の視線を集めながら恥ずかしさを押し殺し、「今の忘れてください…シャーリーに用があるのですが、どこですか?」と聞くが、この場に居ないと言われてしまった。話を聞くと騎士団が使う鍛錬場、王城の中庭にあるらしく、そこで今日は朝一から動ける騎士を連れて鍛錬をしているそうだ。


「シャーリーさんの話に聞く以上ね!私も知っていたならロビン辺境伯様の私兵に入ってたのに」


 感謝を伝えて、その場に向かおうとした時に耳に入った言葉、私は進める足が止まり、頭の中でシャーリーは何を騎士団で言っているのだろうかという問答を自身で行う。思考加速をしても答えに辿り着けず、本人に問いただすしかなさそうだと決意した。


 まさか、シャーリーの鍛錬は一日中しているとは思わなかった。昼近くだったので、休憩しているかと思って向かった結果、中庭に向かう事になる。距離はそれほど離れてない為、問題はなく、室内にあったフレデリカ様が使う場所とは違うようで、どんな場所かワクワクしながら、目的を思い出し、テンションを下げた。


 中庭に着くまで様々な道を歩き、到着するまで迷路みたいな場所を進む必要があり、少し楽しくなりながら歩いた。途中、迷路状に作られた理由も教えてもらい、賊が入った際に迷いやすくするそうで王城の二階から弓を使い攻撃もできるそうだ。


 たどり着いた場所はそこそこ広く、地面もしっかり整備され、雨避けの場所や休憩する椅子、日陰になる所に木の剣、刃を落とした鉄の剣、盾、鎧が並べられて圧巻だった。しかし、屋外に武具があるのは盗られる可能性があるのでは?と口にしたが、そもそも中庭なので入るのが困難、二階から一日中、見回りしている人達がいる為、刃引きした武器や防具を取る者は居ないと教えてもらい、納得すると足を進めた。


「あっ!シャーリー!!」


 シャーリーを見つけると、声に出して手を振る。シャーリーの反応速度が速く、呼んだ瞬間振り向き、若干驚いていた。私はシャーリーも騎士甲冑を着ているものだと思い込み、探すの大変そうかなと思っていたが、当たり前のようにメイド姿で王国騎士団と鍛錬するのってどうなのだろうかと思ってしまった。


「アニエスお嬢様、いかがなさいましたか?」


 私が来た事に驚いたようで、手合わせをしている最中だったらしく、相手の騎士に「すまないが、少し休憩にしよう」と言うと近寄ってくる。姿はメイド服でも口調は変えているようだ。


「シャーリーに伝えたいことがあって…ここまで来ました」


「私にですか、お部屋に戻ってからでは遅い話となれば、至急という事でしょうか?」


 ここでも視線があつまり、中々言い出しにくくシャーリーに耳を貸してと言うと、しゃがみ耳を向けたので、「えっとね、借りた魔法剣、変わっちゃったから謝りたくて、ごめんなさい」と申し訳なさそうに伝えた。

 シャーリーは予想外の言葉だったのか、動きが止まり、色々考えているようで、スッと元の姿勢に戻ると「えっと、アニエスお嬢様、それは冗談ではないのですよね…」と困惑していた。魔法剣は王国騎士団の中でも手に持ち震えるのは数少なく、本数も多くないとは聞いていた。それもあり予備品として借りた時に少し違和感を感じたほどだ。


「王国騎士団の今後に繋げるために改良できないかって考え模索して改良したら、形が変わったと言うか、別物になってしまったと言うか、謝りたくて、この場に来たのです…」


「少し予想はしてましたけど、魔法剣を弄るとは…ですが、アニエスお嬢様が王国騎士団の事を考えての行動と言われるなら、怒るに怒れませんね。お小言を言うつもりはありませんが、今後は考え模索する所で止めて一言ご相談をお願いしますね」


 本音ではなく、建前を言う事で、難を逃れシャーリーから少し注意をされただけで終わり、予備品は大丈夫だろうかと聞いてみると「その予備品は使われる事がない予備なので、使い手がいない為大丈夫です」と少し悲しげな顔をして言う。その言葉から私はこの魔法剣、誰かの遺品に思え強く謝ると「いえ、いいのです。そもそも魔法剣は王国の宝具として扱われる為、個人所有の武器ではないのですから」とシャーリーは答えた。


「そうだったんだ…んっ?あれ…そうなると魔法剣持ってきてたのって」


 私の中で色々繋がってくるとシャーリーは「私が大丈夫と言ったので大丈夫です」と無理矢理押し通された。そして、シャーリーは改良された魔法剣を見たいと言う事で、見せようとしたが、周囲にいる人に見られて良いものかと悩むのだ。


「シャーリー、私が武器取り出したりするのって見られても平気?」


「今更の話ですね。今回の騒動でかなり目立ちましたから、問題ないかと何かあっても揉み消されそうですし、なんなら消しますので大丈夫です」


 笑みを浮かべて怖い事を言うが、よくよく考えるとお父様や国王陛下が何とかするだろうと言う投げやりな考えに辿り着き、次元収納から魔法剣を取り出した。何が始まるのかと、自然に人が集まり、気がつくと騎士が見に来た中で、武器を取り出した為、凄いとか便利だなとか様々な言葉が聞こえる。シャーリーは無言で取り出した剣をじっと見つめると「アニエスお嬢様、まさか、その剣ではないですよね…」と言葉にしたのだ。


「シャーリー、落ち着いて欲しいけど、この剣が魔法剣、言うなれば魔法剣改です!」


 私は後ろ向きにあまり考えないように明るくそう言うと、魔法剣?魔法剣ってあれだよな、とか様々聞こえる。そして、軽く頭を抑えたシャーリーが「すみません、驚いてしまい…何と言えばいいか、本当に別の剣に変わってるのですね…握っても良いですか?」と言葉にした。


「これは、我々がいつも使う剣とは別物ですね。元の重さもなく、長い刃で距離を取りやすいですが、使いこなすには専用の鍛錬が必要そうに感じます。気になるのは属性珠取り付ける場所が無さそうな事でしょうか…」


 剣をシャーリーに渡すと数回、人がいない方面へ振り、軽さや攻撃範囲の違いを感じたようだ。

 

 刀身が薄いためか、振ると風を切る音がしてカッコいいと思う私に長く武器を振るうシャーリーは的確な感想を話したのだ。


「色々改良した結果、柄の下に付けれるけど、属性珠の形を変えるか魔石を加工して魔力を込める必要があるよ、でも柄を握って手に魔力を送れば擬似的な発動を所有者の魔力で可能になったから属性珠を付けなくても大丈夫かな」


 そう説明すると、周りのガヤガヤがピタッと止まり、シャーリーが「試してみましょう」と騎士に指示を出して鋼でできた鎧や盾を持たせた木の的を用意させると、手に魔力を送り発動させた。魔力眼を使わなくても見える可視化された濃い魔力が角から刃に送られて、元の剣よりも太く長くなる。そして刀身に魔法文字が光浮かぶ様は皆から言葉を奪うほど美しかった。振るうと鳴ってはいけないような空気を切る音を出しつつ、魔力の残滓が散りとても美しい、シャーリーは行きを整えると、素早く斬撃を放つ、光の軌跡を作り木の的は鋼の防具に守られているはずが、縦と横から斬られて切断面は溶けるほどだった。


 それを見た者達は「すげぇ…」、「今の攻撃見えたか?」、「美しい…」等様々な言葉を言うのだった。


「シャーリー!魔力抑えて!」


 見惚れていた私だったが、シャーリーの魔法剣を持つ手がガタガタと震えて、魔力が安定してない事を悟るとそう伝えた。しかし、シャーリーは「か、勝手に吸われます!」と魔力を止めても止まらない事を言う。私がテント内で使った時はならなかったが、何故と感じつつ、シャーリーの手に触れて魔力です魔力を相殺させた。すると地面に魔法剣が落ちて暴走は止まったようだ。


「アニエスお嬢様、ありがとうございます。凄い武器ですが、魔力を吸い続けられ、離せなくなるのは危ないですね」


 剣の凄さを感じたようで、シャーリーはそう言うが、魔力を吸い取られる武器となればそう思うのは無理もない、私は首を傾げつつ、地面に落ちた魔法剣を拾うのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。

ブクマ増えて嬉しく思ってます。

本当にありがとうございます。


投稿感覚が空いてしまい大変申し訳ございません。

この話は簡略化しようかと迷いましたが、新たな武器として使う予定なので少し長くなりつつ話を挟みました。

作中で説明してませんが、この中庭はローランの落下した場所とは違う中庭です。

そしてマリーの運命は次回に続きます?


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