71話 結末
皆様、いつもありがとうございます。
ウィンディーネが攻撃を止めても飛び続ける礫、相手の能力が分からなければ、むやみに魔法は使えないので、ウィンディーネに魔力温存をお願いした。
現在も連続で礫を飛ばされ続けて、ラルフが大盾で防いでいる。
気休め程度の効果なのだが、無いよりは良いと思う私はラルフに回復薬を渡すと、ポーションだよな…見た事ない色だが、高いんじゃないのか?と言うのだ。
「私が簡単に作れるランクだから、中くらいの回復薬かな?」
「まて、下級ですら高くて買わずに死ぬ奴らが多いポーションだぞ…作れるのかよ…」
基本的に古代遺跡から手に入る中級以上は劣化無効がついてる事もあり、売られる事はなく、個人やギルドが保管したり、領主や国が購入する事もあるらしく、劣化する下級も冒険者組合で競売が行われるのはしっている。
元のゲームを知ってる私は回復薬に絶対的な効果が最上級を除いて存在しない事を知っているのだが、知らない者からすれば、もしもの時、持っていると死なないかもという事で価値が高くなっているのだろう。
「時間と材料は必要だけどね。だから、受け取って飲んでほしいかな」
本来は錬金術の初級で製作可能な回復薬だ。
効果が低くても人の生存を助けるなら、作り方を広めるのも必要かもしれないと思った。
「わかった、有り難く頂戴するぜ!けどなぁ、片手が塞がって蓋が取れないんだよな…」
ラルフがそう言うので私は、私が飲ませようか?と提案すると凄い速度でシャーリーがラルフの手から回復薬を奪うと、口開けなさい、ほら!とグイグイ無理矢理に近い飲ませ方でラルフは飲まされていた。
ゴホゴホと咽せるラルフを横にシャーリーが、アニエスお嬢様の行う事ではありませんので、私が代わりに飲ませたのです。と微笑む顔は見た目と違い怖く感じてしまうのだ。
「アニエスお嬢様、ポーションの色から察すると、あのポーションではないようですが、新しく作られたのですね」
シャーリーはどうやら青い魔力回復用に作ったポーションを想像していたようで、私は、本来の材料を使った体力回復用だから、魔力はあまり回復しないやつだよ。と説明した。
「本来購入したなら、金貨いくつ必要なんでしょうね…」
私の話を聞いてシャーリーがボソッと呟くと隣のラルフは再度咽せてしまった。
実際、明確な相場は無いらしいので、今度販売してお小遣い稼ぎも悪く無いのかもしれないと私は思った。
ラルフに効果を聞くと、体の奥から力が漲るように感じるらしく、これなら暫く耐え続けれるようだ。
ある程度、耐えれるとは言っても何か糸口を見つけなければならない、反撃を考えずに攻撃する事も可能だが、魔法反射系だと確実に皆を巻き込んでしまうのと、王城の何処に生きてる人がいるか分からない以上は無闇に攻撃ではなく、確実な対処をしなければならないのだ。
良い考えが浮かばずにいるとアルテアが、あれって悪魔なのかな?と言い出し、そのまま話し始めた。
「見た目は悪魔だけど、腕を切り離す悪魔なんて見たことないんだ。ボクの知る限り、あんな事しなかったからね。でも悪魔だよね…」
「ええ、私も様々な書物を目にしてますが、あのような行為は見たことありません。すぐには言葉にできませんが、何というか悍しい何かを感じますね」
アルテア、ラキアの話に続くようにサーシャは、アレを見たら体がゾワッと鳥肌が立ち、一瞬動けなくなりました。と言うのだ。
私の知る限り、あの見た目や体を切り離して動く魔物や魔法は知らない。
一部の魔物が使う切り離しも魔法媒体として利用して、攻撃や逃走に使うだけだ。
あの見た目だからか、感じた嫌悪感をサーシャも感じたようで、皆に聞くと、感じ方は少し違っても嫌な感じはするようだ。
思考を加速させながら良い案を考えるが、中々思いつかない。
大魔法を使うことも考えたが、仮にウィンディーネの礫を防いだのが反射魔法の一種なら、自分の魔法を跳ね返される可能性もある。
この状況で時間を使うのは良い考えではなかったが、私は少しでも情報を集めたいので、アルテアにアルビネスが言葉にしたザドリーチェの話を聞く事にした。
「あの時は取り乱しちゃってごめんね、ボク達の責任もあるから話すけど、絶対に秘密にしてね」
アルテアは軽い謝罪の後に秘密を皆に約束させると、簡単に話すね。と言って話をした。
それは、少し話を聞いた魔族領でのキメラ研究に繋がり、当時研究責任者がザドリーチェと言う者で、非合法な実験を繰り返していた話だった。
悪魔対策として始まったキメラ研究だったが次第に違う目的へ変わり、ザドリーチェは極秘裏に腹心を集めて魔人を悪魔に置き換える研究をしていた。
人攫い、拷問、殺人、様々な事が発覚して、研究を全て中止させるが、一部反旗を起こした者達含めて、ザドリーチェもアルテアが研究施設ごと封印をおこなったのだった。
強力な封印魔法を使ったので逃げれないはずが、アルビネスが話した名前や悪魔の話から、生きている事を確信したようだ。
キメラ研究、魔物を利用した兵器を中心に魔人の進化も研究していたらしく、悪魔から派生した魔人は悪魔すら超える存在に成りうる。と腹心にいつも言っていたそうだ。
「ふむ…なかなかの話だね。そうなると、ザドリーチェの研究は続けられて、アルビネスは悪魔になったって事なのかな」
「考えたくない最悪の話だけどね。ザドリーチェは魔人を高位の悪魔化にする事を目標にしてたんだけど、そもそもボク達は大元の話をすれば同じだから、ある程度は悪魔の力を行使できる。だからこそ、更なる力を欲したザドリーチェは悪魔を神格化してたんだ。まさか表の世界に逃げ延びて、それも人を悪魔にする薬を作ってたなんて思わなかったよ」
悪魔を神格化って、私は考えたくないと思った。
アルテアは、更に詳しい話は事が終わった後にするけど、聞くと食事食べれなくなると思うから覚悟してね。と言い、ラキアに何か分かった?と聞いたのだ。
「いえ、時間がなく私の眼でも見抜けませんでした。この場では突破方法は思いつきませんが、少しお話しした悍ましさ、あの感覚はどうにも悪魔というより、まるで禁域にいる魔物に感じるのです」
魔眼で見抜けないので弱点は分からないとラキアは言うが、別の違和感を考えていたようだ。
ラキアの考えを聞くと、悪魔は拘束系の魔法を無力化する為、ラキアの使った魔法も拘束目的ではなく、攻撃目的で使ったのだ。
それが、拘束できた事や悪魔という考えを抜きにして、あの行為を考えると禁域の魔物に考えが行きついたと言う。
私も違う点で気になっていたが、本来なら拘束すると黒い波動で無効化されるはずが、それが起きなかった事は気がついていたが、ゲームから変わり変化した要素と思っていた。
私が気になった簡単に攻撃が通ったと言う事も含めるなら、アレは本当に悪魔なのだろうか、見た目はそうとしか見えないが、何故か違うように感じた。
「どうやら攻撃が収まったみたいだぜ」
各々が現在の装備で対処を考えていると、ラルフがそう言い攻撃が終わった事を知らせた。
一旦言葉を区切りラルフは、強力な攻撃だったが、何であの最中に他の攻撃や横から攻撃しなかったんだろうな、まあ助かったがな!と言うのだ。
「確かにラルフの言う通りだね…追撃してもいいはずだけど…」
ラルフの言葉を聞いた私も疑問を感じたのだ。
私が使う遠隔魔法は、私が動いてる間も自動で行動できる。
アルビネスが切り離した両腕は、見る限り自立していた。
それならば、アルビネス本人やもう片方の腕が大盾の横から攻撃したり、他の攻撃を加えてもいいはずだが、行わないとなれば何か理由があるはずだ。
特定攻撃中は他の攻撃を行えない可能性が高く思える。
大盾で相手が見えない為、大盾の横からチラッと見ると、アルビネスは偉そうな仕草をしながら、次の攻撃を待っているような仕草を見せたのだ。
それよりも私は違う事に気がついて、驚き声に出してしまう。
「どうして、腕があるの!!」
思わず声に出してしまったが、アルビネスの両腕は自らちぎったはずなのに存在している。
更に言うなら、両腕があるのにアルビネスの周囲を腕が動いているのだ。
「ん?あァ、決まってんだろォ?悪魔は傷の回復もできんだぜ!これでも俺は、お前達に少しは感謝して攻撃をせずに待ってやってんだから、さっさと攻撃をしてみせろや!」
傷の回復とアルビネスは言うのだが、欠損した腕を復元は出来るとなれば、上級悪魔の回復力になる。
だとしても翼の回復は見たことあるが、腕そのもの、切断された腕を利用せず、新たに生やすのは違うように感じるのだ。
それに余裕の現れかと思った仕草は挑発で、言葉にして攻撃を誘導している事も気になった。
「ふざけた事を言わないで!!」
堪えていたサーシャは挑発に乗ってしまい大盾から横に飛び出ると、装備しているナイフを投擲した。
魔法は止められる事や反撃を受ける可能性を考慮して、物理攻撃を行ったのだ。
止める前に動いた事で焦るが、魔法を使わなければ、どうなるかを知る機会としてシャーリーにサーシャの援護を指示した。
「それでは私が手助けを致しますので、この場から動かないで下さいね!」
私の指示を聞いたシャーリーはそう言うと、大盾から離れてサーシャの元に駆け寄る。
「あっ!シャーリーって近寄る攻撃しかできないんじゃ…まずいかも!!」
私は不安を感じてすぐ呼び戻そうとするが、シャーリーも考えがあるようで、マジックポーチから武器を取り出すと、サーシャのタイミングに合わせて投げたのだ。
その行為を見た事で呼び戻すのはやめることにした。
「ふむふむ、アニエスちゃん、こちら側ってアレを投擲武器として利用するんだね。一つ賢くなった気がするよ」
シャーリーの行動を見たアルテアはそう言うが、私はそんな事を思っていなかった。
本来投擲武器は投げやすい物を牽制攻撃に使う事が多いはず、シャーリーが取り出して投擲したのはナイフではなく、普通の片手剣なのだ。
「いつの間に剣を保管したんだよって投げんなよ…俺でもやらないぞ」
驚いたのはラルフも例外ではなく、一瞬私は騎士団だと普通なのかもと思ったが、言葉を聞いて即違うと考えを否定した。
シャーリー自身も気がついていなさそうだが、おそらくスキルで身体強化を使い投擲しているのだろう、恐ろしい速度で剣が回転しながら投げナイフの様に飛んでいくのは、状況が違えば何かのショーに見えてしまうほど綺麗に飛んでいくのだ。
「おいおい、マジかよ!この国は魔法が主だろ!剣投げんな、馬鹿なのか!!」
投擲行為はアルビネスに有効で、サーシャもナイフを数本投げると、防ぐように切り離した腕が庇い深くナイフが突き刺さる。
シャーリーの剣は受けたくない様で避けていたが、次々と飛んでくる剣に対して避けにくく、左腕を使い逸らすように弾いた。
「やっぱり、アルビネスは魔法攻撃を誘ってる。攻撃の複製ならナイフや剣投げを真似ればいいけど、使わないのは使えない理由があると思う。物理攻撃は有効なのかもしれないね」
私はアルビネスに聞こえないように小さな声で伝えた。
アルビネスが口にした言葉、まるで魔法を待ってるような言葉や質量攻撃を避ける事から、魔法に限定された反射行動か複製行動と推測したのだ。
アルビネスも驚くような行動はいい結果になったが、シャーリーには驚かされた。
過去の話を聞くと、常に最前で戦い大剣を振り回し、攻撃を受けつつ魔物を倒していた話を良く耳にするので、経験が直感行動に繋がり剣の投擲を有効と判断したと思った。
「アルビネス本人は攻撃してないよね。切り離した腕を使って弾いたり、逸らしたりしてるけど、普通なら攻撃を止めさせる為に反撃するよね」
私が感じていた違和感の一つ、本人が直接攻撃を行わない事だ。
シャーリーが強くて隙がない、サーシャのナイフが的確で避けるのに力を使っている等、考えたが頭を左右に振り違う事を確信した。
「中々当たりませんね、錆びた剣や刃こぼれした剣、ボロボロになった剣なので当たれば再生はし難いと思うのですが、こうも避けられると腹が立ちますね」
シャーリーの言葉が聞こえて避ける理由がわかった気がした。
アルビネスは動体視力も向上してるので、投擲された剣の状態から当たると何かしらの損傷を受けると判断したのだろう、気になるのは腕を自ら切り離しても再生できるなら何とかできる気がするが、あの様子は受けるのを嫌がっているとしか思えないのだ。
「クソッ!ウゼェなァ!!規格外な事してんじゃねぇよ!!」
アルビネスは投擲行為に苛立ちを感じて大きく声を出すと、切り離した左腕を操っているのか、床に落ちた剣を拾い投擲物を弾くと、そのままシャーリーに投げつけたのだ。
「お粗末な剣捌きの後は投げつけですか、当たりませんよ」
投げ返された剣を避けるとシャーリーはそう言うが、投げ続けてる者に言われたくはないだろうと思ってしまった。
シャーリーとサーシャの立ち回りで色々な疑問が出てきた。
殆ど反撃をしない事、攻撃を受けるのを極力避ける事、剣で弾いたり、投げ返した時に力を感じられなかった事だ。
反撃しないのは魔法攻撃を待っているのかと思ったが、それだけではない気がするのと、回復できるなら攻撃を受けてもいいと思うが、それも避けている。
更に悪魔なら相当力が増してるはずなのだが、弾いた時や投げた時を見る限り力が無いように思えたのだ。
私の考えが纏まり、試したい事が出来ると、アルテア、ラキアに伝えてラルフには、もしもの時に守るように動く事と、ウィンディーネにも想定外の事が起きた時は魔力温存をやめて守りに徹してもらう話をした。
何をするのかというと、魔法を反射しているのか、複製しているのかを見極める事だ。
今まで見た限りだと、ウィンディーネの礫を真似した後は投擲行為を真似してない事、反撃をほとんど行わない事から条件付きの能力だと思う。
その条件はおそらく魔法攻撃だが、それが全ての魔法に適用されるのか知りたいからだ。
シャーリー、サーシャが避けれるように私はマジックアローを単発でアルビネスに使う。少しタイミングをずらしてアルテアの魔法、その後にずらす様にラキアも魔法を使った。
私のマジックアローが飛んでいくと、アルビネスはニヤリと笑みを浮かべて同じように作り出すのだが、マジックアローは弓の動作が必要なのでうまく飛ばせないようだ。
射る事が上手くいかない間に私のマジックアローはアルビネスの切り離した腕に当たった。
その直後にアルテアの闇属性魔法が飛ぶが、予想通り何も起きないまま反対の腕に当たると、続くようにラキアの魔法で切り離された両腕は焼かれたのだ。
「クソがァ!!」
アルビネスは複製されたマジックアローを消すと怒りを声に乗せて大きく叫んだ。
優位に立っていたと思った事が崩れて焦りもあるのだろう。
「アルビネスの力もう分かったよ。それ悪魔の力じゃないでしょ?何もかも話すなら命は取らない…だから…喋ってほしいの」
自ら攻撃をしない、物理攻撃は基本的に避ける、魔法反射ではなく複製で複製中は他の魔法を防げない、そもそも悪魔の能力から離れすぎているのだ。
私は何度も決意をしたが、可能なら情報を聞きたい事、可能なら殺したくないという甘い考えもあり、アルビネスに全てわかったからと話したのだ。
「俺は…俺は!!悪魔だ!!舐めるなクソガキ!!」
「違うよ、その力は昆虫種の魔物が関係してると思う。前から定期的に何か処置されてたんじゃないの?」
私の考えは当たっていると思う。
そもそも人が魔物を操る事は調教師でもない限り不可能に近い、温厚な魔物を卵から育てると言う事も可能だが、アルビネスが指揮していた昆虫種は懐かないのだ。
「魔物…昆虫だと!!戯言を言うんじゃねぇ!!」
「アルビネスが知らない間に実験されてたんだよ。心当たりあるんじゃないの?定期的に飲んだり、摂取してる何か、あるでしょ」
「黙れ!黙れ!!」
怒り狂うアルビネスは魔法を使うために詠唱を行う。
敵が詠唱するなら攻撃をして中断させるのが基本となる。
他の皆が動こうとしたので、その場から動かないでと伝えた。
「アニエスお嬢様!止めないのですか!」
「うん、多分…いや、絶対に発動しないから大丈夫だよ」
私は確信していた。
そもそも、アルビネスが魔法を使えるならもっと前に使うはずだ。
酸の霧も使えるなら何度も使えばいいが、瓶を割った事から使えないのだろう。
既にアルビネスは詠唱を終えているが、何も発動していない、アルビネスも認めたくないのか、何度も何度も詠唱を繰り返した。
「何でだ…何で魔法が使えねぇんだよ!!」
「簡単だよ、魔物と肉体が交わって魔力の紐付きが無くなってるんだよ。そもそも最近魔法使えてた?使えなかったんじゃないかな」
肉体の変化が終われば魔物として魔力を使えると思うが、今は中途半端な状態で魔力を動かす事も出来ないはずだ。
魔力眼で確認しても体の中の魔力を感知できないため、間違いないと思う。
「俺を嵌めたな!!ザドリーチェ!!」
馬鹿な馬鹿な!と呟いていたアルビネスは思い当たる事があったようで、ザドリーチェに対し怒りの声を上げた。
「ザドリーチェはそう言う奴なんだよ。目的の為なら家族さえも手にかける。アルビネス以外も実験に利用されてたんじゃないかな、庇う必要ないよね、居場所を教えてくれないかな?」
アルテアはザドリーチェの居場所を聞き出そうとした。
アルビネスは、知らねぇよ。と一言言うと、自身の腕を床に力任せで殴り憤りをぶつけた。
「ふふっ…俺が…利用されてたとはな…クソッ何が悪魔の力だ!!俺を騙しやがって!!魔物を操る力もそう言う事かよ!!」
沢山の人を殺した敵、それは間違いないのだが、力を欲した結果がこうなると哀れみを感じてしまう。
「今回の襲撃目的は何か教えてくれる?実験されてまで忠誠を誓う必要ないでしょ?」
「もうどうでもいいか、俺達はな…うぐっ!!」
自暴自棄になり喋り始めたアルビネスは、言葉の途中で急に苦しみだした。
想定外の事に急いで近寄るが、喉を自らの手で貫き倒れた。
「ダメだ…死んでる…」
「アニエス様、おそらく契約魔法かと思います。特定の行動、言葉がきっかけとなり発動するように仕組まれていたのでしょうね」
ラキアは息絶えたアルビネスの体を調べながらそう言うのだ。
「折角…情報が聞けそうだったのに!!」
「アニエスちゃん、多分…絶対にザドリーチェが仕組んだ契約魔法だよ…悪いのは全てザドリーチェだ…」
「仲間で実験して秘密を喋れば殺すですか、考えるだけで吐き気がしますね」
シャーリーの言葉からザドリーチェに対しての怒りを感じた。
アルビネスは敵だが、こんな結末を迎えるとは誰も思ってなかったからだ。
「皆様!離れてください!!」
アルビネスに近いラキアは大きな声を出した。
何事と思うと、アルビネスの体が黒い液体になり周囲を侵食する。
ブクブクと泡立ち蒸気も出ることから普通ではないのは確かだ。
「な、何ですあれ…黒い液体、まるで憎悪みたいです」
サーシャは気持ち悪さと、元が人だった事からそう感じたようだ。
人と魔物を合わせた結果だろうか、スライムのように動いていたが、徐々に小さくなり、少し経つと消えてなくなった。
「死体も残さず情報隠蔽、ザドリーチェの仕業なのかな」
私がそう言うと、アルテアは頷きながら私の顔に手を伸ばすと、多分だけどね、悪いのは仲間を道具として使う奴だから、アニエスちゃんが悲しむ事はないんだよ。と言って、知らない間に流れていた涙を拭ってくれたのだ。
胸の奥に感じるモヤモヤが溢れてしまったのだった。
お読みいただき、ありがとうございます。
遅くなり申し訳ありません。
戦闘の表現が中々思うようにいかず、色々悩んで遅くなりました。




