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前の世界で運営者に消されたNPC姉妹が新しい世界で生きて行く  作者: あいか
序章 この世界で妹と再会するまで
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32話 20階層、予想外の戦い

皆様いつもありがとうございます。


20階層での戦いです。


20階層に気合を入れて降りると、空気が重く息すらし辛く感じた。

一歩足を動かすだけで息が苦しくなり、肌がチリチリとその存在によって放たれる気迫に焼かれてる様だ。


「これは何がいるんだ、降りただけでこの存在感はやばそうだぞ」


ローランは問題なさそうだが、それでも存在感を感じる様だ。


「確かに…肌がチリチリ痛いほど感じるね」


「うう…足動かすのも怖い…」


シャーリーがスッとリディアの盾になる様に前に立ち何とかリディアは落ち着けた様だ。

私は恐る恐る近づき、何がいるのかを確認した。

広い部屋の中央が少し闘技場の様な作りになっている。

10階層と同じ様に襲ってくる感はないが、遠すぎて範囲に入らなければ正確に知る事はできなかった。


「遠すぎるけど、獣種じゃなさそう…」


私はそれを見たが、名前がわからなかった。

20階層は獣種の魔物のはずだ。

だが、私が見てる限り人に見える。


「私の目が悪いのか、人に見えるんだけど、皆はどう見える?」


「俺も人に見えるな…ありえないが…」


「うん…形は人だね…」


「放つ存在感は人を超えてますね」


顔が動き目があった。

その時、この20階層全域に何かが展開された。

その範囲にいる私以外は地面に縛られてしまう。

存在感とは違う明確な殺気が周囲を覆い、本能的が逃げろと呼びかける。


「とんでもなくヤバい感じがするな。それに足が地面に付いたまま動けなくなっている。何なんだこれは…」


片膝を付き、ローランはギリギリ耐えているが、リディアには辛そうだ。

シャーリーがリディアを抱きしめ落ち着かせてるが、一般の人なら発狂するだろう。


「私が様子を見てくる…」


この状態で戦闘ができるのは、恐らく私だけだろう。

この現状を何とかしないと他のみんなも危ないと感じた。

階層全部に効力を発揮する()()は危険でしかないからだ。


「危険なら即逃げてこい、その時は俺が交代して戦うからな」


「お嬢様、怪我だけは絶対にしないで下さい」


ローランはどうやって戦うのだろうかと思ったが、うん、と言葉を交わして中央に近づいた。

緑の短髪で背は私より少し大きいぐらいの()()に見える。

場所が場所だけに異質な存在だ。


「私の言葉わかる?」


「…」


「問答はできそうにない…か」


いつ戦闘になってもいい様に気は緩めなかった。

体内の魔力が濃いと髪の色を変える事がある。

その場合は通常の色ではなく、髪全体が仄かに光り毛先が濃い魔力を流す為にキラキラ光る。

目の前にいる子はそれに当てはまっていたのだ。


「さてどうしようか…私の言葉は理解できてないよね」


「…」


無言でこちらを見続ける。

流石にこちらから攻撃はしにくいし、今の情報だと魔物だとは思うけど、万が一違うと危険だし、私は思考を加速させる。


『マスター、あれは精霊だ』


考えていた私にシェイドは念話で話をした。

いつのまにかシェイドが私の影に入っていた様だ。

どうやら広範囲の攻撃を私が受けなかったのはシェイドのおかげだった。

20階層の異質さに、私の影にシェイドが潜っていた様だ。

シェイドから言われる精霊という言葉、精霊が精霊体以外で現界するには大量の魔力が必要になる。

だが、シェイドが言うからには間違いという事も無いのだろう。


「精霊が現界に姿を形成するのって、契約なしでは難しいはずだけど…」


『その通りだ。我らもマスターから力を借りなければ、現界で姿を見せることはできぬ』


「まさか!精霊で現界できるって事は!」


私はその考えに行きつき焦りを隠さない。

理由は簡単だった。

精霊として活動するのは同属の濃い魔力があれば可能だ。

現界…つまり、私達に見える姿を契約者なしで出来るのは限られるのだ。


「原初精霊…なの…」


『間違い無いだろうな、我もあの姿は初めてみるが、恐らく雷の化身だ』


その考えに行きついた時から心では震えていた。

原初精霊は通常の精霊の枠ではなく、世界を形成した時に発生した事象を力として持つ上位種なのだ。

その為、世界が存在していれば、その魔力を使い現界も可能となる。

同じ化身は存在せず、死という概念もない超常現象の塊と言っても過言ではない。

緑の髪という事は風、そうなると自ずと誰なのか分かってくる。


「雷の化身…トニトルスなの?私だよ、アニエスだよ!」


私は精霊郷で合ってるはずが、先程同様反応は無かった。

とは言っても私の姿も違うし、トニトルスも精霊としての姿なので今とは違う為、お互いの姿が変わった今は分かりにくいとは思う。


『我も呼びかけてはいるのだが、反応がないな。敵対してる様子を感じる。マスターに向かって、その態度は許し難い、我が直々にその存在ごと喰らってやる』


「まって、シェイド落ち着いて、精霊同士で戦ってほしくないから…」


『マスター…済まない、我とした事が、冷静さを欠いていた様だ。原初精霊の棲む祠を調べたいので一度、精霊郷に戻してはくれぬか』


冷静さを取り戻した様で確認したい事が出来たらしく、帰還させる事にした。

私も戦いになると他に魔力を供給する余裕は殆どなくなるので、その方がありがたく思えた。

現界はしているが、会話などができないとなると何か起きてるのかと私は思う。


「トニトルス…」


呟くと少年の形をしたトニトルスは雷を自分に落として稲妻を纏う。

全身が稲光で光り、神々しく思える程だ。


「やばっ!稲妻を纏ったって事は本当にやる気なんだね…」


『皆、シェイドの言葉聞いたと思うけど、かなり危険だから絶対に近寄らないでね』


おそらくここからだと念話は皆に届いてないだろう、だけど言う事に意味があるから言ったのだった。

戦闘になると、近寄るだけで落雷が降り注ぐ危険性があるので、出来れば聞こえて近づかないでほしいと思った。

ハッと私は気がついた、皆を縛り付けてる謎が解けたのだ。

広範囲に電界を展開して、縛り付けていると言う事だ。


トニトルスが先手で動く、稲光を纏い瞬時に正面に移動してきた。

通常に歩いたり、走ったりするのではなく、瞬時に移動を行った。

片手を私に向けると電撃を放つ、それをすれ違う様に回避すると、もう片手を天井に掲げ、天井から落雷を落とす。


「やっぱり、戦うしか無いんだね、目を覚まさせてあげるよ!」


何故こうなってるのかわからないけど、戦うしかないのなら私は皆の為に負けるわけにはいかないからだ。

トニトルスの雷は全て防壁等を貫通する属性を持つので、防御が意味しない、当たらない様に足に魔力を込めて交わし続ける。

弱点となる属性は通常の風と同じで火となる。


魔法増加(マジックブースト)、ファイアストーム!」


通常に発動しても強力な火の上位魔法だ。

火災旋風となり辺りを吸引しながら燃やし尽くす、ファイアストームを魔法増加(マジックブースト)で強力にする。

もの凄い熱と飛び散る火が、辺りを焦がす。

トニトルスも吸引力には負けるのか、火の渦に飲み込まれる。


「ダメージは少しでも入ったはず!」


火の渦に巻き込まれた後、渦全体に稲妻が発生して火の渦が弾けて消える。

雷の力を無理矢理ぶつけたのだろう、通常なら有利属性となるが、原初精霊は通常を超えるのだ。

トニトルスは消えた渦の中心から動き、丁度中央で両手を広げた。

すると両手から雷撃を放ちならが、回転させる。


「嘘でしょ、私のファイアストームを真似たの…」


そんな魔法はないはずだが、先程出した火の渦を雷で作りライトニングストームと言うべきだろうか、強力な魔法を作り上げたのだ。

稲妻を迸りながら周囲を攻撃して、渦の回転で巻き込む魔法に私は距離を取った。


魔法連鎖(マジックチェイン)、ファイアボール!、フレイムピラー!」


マジックチェインで直後に使う魔法を連鎖使用させる。

これにより、ファイアボールがトニトルスに直撃した瞬間に大きな炎の柱が立ち上がり全身を焦がす。

火より威力が炎の方が上なので、無傷ではないはずだ。

その分魔力消費も多く、私の魔力はかなり消費されてしまう。

腰のチェーンに付けている低級魔力回復薬を、一気に飲み回復させる。

バシュッと落雷が落ちて炎の柱が消える。

不利属性を無理矢理、力で消し飛ばしたようだ。


「何か良い手は…魔力消費気にしなければ、いくらでもあるのに!!」


無理なのはわかるのだが、魔力量が少ない事に腹立たしく感じてしまう。

トニトルスは雷の如く一瞬で私の前に移動した。


「グロム…」


溜めた雷を全身から解き放つ専用魔法。

トニトルスが強く光った瞬間に放出され、かわすことは出来なかった。

強い放電を体に受けてその場から吹き飛び、地面を転がった。


「うあぁぁぁ!!あぐっ…」


マジックリングでダメージを軽減させたが、それでも強力な放電を浴びてプシューと煙を出しながら、パチパチと電気が私から出ていた。

痛みに強い人など恐らく居ない、さらに年齢的な精神面があり、辛く感じてしまう。


「う、うう…痛い、熱くて痺れが引かないけど、止めないと皆が危ない…」


チェーンから通常の回復薬を取り飲み干す。

これで物理的な怪我は治せないが、内面的な体力は回復できる。

トニトルスは2回ほど経由して、再度私の前に現れる。

この移動があると攻撃を避けにくいと思った。

打開する為に初めて行う戦術だが、このまま使うことにした。

脚力を魔力で強化して、後方に飛び距離を空ける。


複製魔法(コピーマジック)!ファイアウォール!」


火の壁を複数出して、トニトルスを囲い込む。

ファイアウォールは攻撃を防ぐ事や、それ自体が攻撃にもなるが、移動阻害、貫通耐性を持つので、壊れるか効力が収まらない限りは、出れないはずだ。


連鎖魔法(チェインマジック)!天より降り注ぐ灼熱の炎、大地を焦がし敵を討て、フレイムメテオ!、続く、爆散する炎の塊よ、ここに爆ぜて敵を討て、エクスプロージョン!」


発動を止めた状態で違う魔法を組み合わせるこの方法は、少しでも集中が切れると、不発どころかダメージを負う可能性もある危険な魔法だ。

短縮詠唱で魔力を節約しつつ、威力を高めた魔法の合わせ技はとっておきだった。

かなり多くの魔力を消費して、私はふらつくがなんとか耐える。

通常だと単体使用でも強い、天から無数の炎の塊を降らせるフレイムメテオ、通常では着弾後は辺りに炎を撒き散らしてスリップダメージを入れるのだが、連鎖魔法(チェインマジック)で着弾した塊全てをエクスプロージョンの発動源に変わる為、炎が広がるとともに全てが超爆発を起こす。

それにより、天から無数の爆弾が降り注ぐようになる合わせ技だ。


「はぁはぁ、どうだ…」


辺りが炎の塊を絶えず降り注ぎ、着弾すると辺りに広がりつつ超爆発するので、音と光がその場を支配する。

この合わせ技なら、大抵のボス級なら簡単に倒せるほどに強力なのだ。

魔力の消費が多すぎて気分が悪くなってきた。


「ダメだ、魔力回復しないと…」


腰のチェーンから低級魔力回復薬を取り、飲み干す。

リングから最後の手段は魔力を借りるのだが、量によるダメージがある為、極力使いたくはないからだ。

その間もこの世の終わり、もしくは始まりの様な超爆発を繰り返した。

暫く経つと降り注ぐ塊や爆発は収まり、地面を焦がす炎のみが残る。

そこには片膝をついたトニトルスが居た。


「ダメージは入ってるみたいだけど、あれほどやって片膝だけなの…反則だよ…」


その異質な強さに、私は少し心が折れかけてしまう。

トニトルスはそのまま片手を天に向けて、もう片手で弓を射る動作をした。


「まずい!」


「トルエノ…」


そう呟くと同時に雷の矢を天に射る。

すると天井からトニトルス中心に雷の矢が雨の如く降り注いだ。

20階層全域に思えるほど広がろうとする雷の矢だった。

このまま降らせると万が一、後方の皆に当たると最悪の被害を起こすだろう。


「燃やし尽くす!マジックソード!フォルムファイア!」


魔法剣(マジックソード)に火の属性を付与して、構え上空に振り抜き雷をの矢を撃ち落とす。

自分の上は処理した為、後ろを向き魔法剣(マジックソード)で展開された雷の矢を燃やし尽くすつもりだ。


炎熱一閃(えんねついっせん)!」


剣から放つ火は雷の矢にぶつかりバシュッバシュッと音とともに火が飲み込んでいく。

はぁはぁ、この体にはキツすぎる。

剣を杖の様に地面に刺して体を固定させる。

そんな私などお構いなしに再度、雷の矢を放つのだった。


「トルエノ…」


「何とかする!」


真上を先程と同じ様に処理して、後方を一閃で焼き払った。

その瞬間の私をトニトルスは狙い、放電を放った。


「グロム…」


「うぎゃぁぁ!」


直撃して地面を転がった。

体から焼きつく痛みと痺れを感じながら煙が出ていた。

痛みのせいか思考がいつもと違う考えをしてしまう。

自然と手加減してたが、もう面倒だ…

何故この私が苦しまなければならないのか…

もう考えるのが面倒だ…

徹底的に攻撃すれば良いだけなのに何で考えるんだろうか

前もこんなに好戦的になった事があったっけ、でも今回はいいよね。


「どうあっても私を攻撃するのはやめないんだね…」


残りの回復薬を飲み決意する。

倒すためには、少し本気を出さなければならないと言うことをだ。


「マジックビット展開!数は4つ、全て攻撃行動に設定」


防御を捨てて全て攻撃に変更し、私の周りに4つ程、丸型の魔力で作られたモノが飛んでいる。

魔法剣(マジックソード)を下段構えジャンプで飛び込む

そのまま下段から上段へと斬り上げて攻撃をする。

トニトルスは、それを後ろへ下がり攻撃を避ける。

私はニヤッとした。

魔力で信号を送りビットを動かす。

背後の2つから魔力弾を放ち、前のの2つも動かし残りも攻撃する。

攻撃を避けた後の攻撃は、トニトルスも避ける事ができずに直撃した。


「マジックビットは全て攻撃を継続!魔法剣(マジックソード)炎熱一閃(えんねついっせん)!」


その隙を追撃する。

横一閃で切り裂き燃やす。

現界した精霊を退けるには、実体化を削りきるしかないからだ。

片足を後ろに動かし、同時に剣を引き、直ぐに体を動かして鋭い突きを放つ。

トニトルスは体を動かすが、避ける事はできずに剣が刺さる。


「刺さったね… 火炎解放(リリース)炎熱旋風(えんねつせんぷう)!内部から燃え尽きろ!」


内部から炎が発生し渦が出来て、トニトルスを飲み込み燃やし尽くした。

口にした後、私は何故こんな行動をしているんだと我に戻る。

気分がとても良い、こんな気分は初めてだと思う。

もやっとする何かを感じつつ気に留めないまま行動する。

やはり戦いは楽しい、トニトルス、もっと私を楽しませてよ!

炎に焼かれたトニトルスに今までで一番大きな雷が落ちる。

雷が全てを飲み込むと燃えていた炎も消えていた。


「鳴り響く雷鳴の如く…大地を破り…怒りを示せ…顕現せよ…雷鳴の大斧…」


手元に落雷が落ちて、おさまると大きな斧が現れていた。

その体には似合わない大斧は、禍々しい形と常に稲光を発している。

まるでその大斧自体が雷の様だった。

あの斧は雷鳴の大斧という精霊武器という世界法則を捻じ曲げる武器だ。

振るわれるたびに対象に落雷を落とし攻撃ができる。


「いいよ、やり合おう」


私はこんな性格だったっけと一瞬考えるが、すぐこの衝動に駆られて戦いを止めれなかった。

魔法剣(マジックソード)は先程の解放で燃え尽きているので、手元にはないが戦う手段は沢山ある。

小柄な体を利用して走り目の前に移動すると、腕を振り上げながら魔法を使う。


「マジックブレイド」


そう言うと手の甲から膝まで魔力でできた刃が現れる。

不意打ちに近い攻撃を交わすことはできずに後ろへのけぞった。

直ぐ飛び込み連続で斬り付けていく、その度トニトルスの体が傷つくと傷口から光が出続けた。

現界に使っている魔力を削っている事を確信すると、攻撃の手を休めなかった。


「グロム…」


「ぐっ!」


接近して攻撃をし続ける私を離したいのか、放電を放ち直撃する。

その後、後退したトニトルスは大斧を振り下ろし地面にぶつける。

私は斧の攻撃を警戒した。


「ブロンテー…」


直撃した地面から稲妻が発生して通常では地面を雷が走ることはほとんどないはずが、私に向かって襲い掛かる。

空からではなく地面を使う雷攻撃は予想外だった。

発生からこちらまで来る速度に反応などできず、私の足から全身を雷が伝わる。


「ぎゃぁぁぁ!!」


体から煙を出しながら何とか立っている。

戦いに痛みは不要だな、不要な情報でしかないと思うからだ。

斧が今は一番厄介だと感じている。

今は振らせない様にマジックビットで絶え間なく攻撃をしてるが、魔力がいつまで持つことか、どちらかと言うと振られるのが面倒というのが直感だった。

どうしようか、この体は強い魔法が殆ど使えないからだ。


「私にこんなにもダメージを入れたのだから、トニトルス絶対に許さないよ」


最近ここまで耐えれる明確な敵がいなかったから少し楽しく思える。

2つのマジックビットをぶつけて、残りの魔力を爆発させる。

大きな爆発が発生してそのタイミングで走る。


「限定召喚、火神の鎧」


完全に使うとすぐに魔力が無くなるので、攻撃できるように両腕に装着する。

そのまま燃える拳をトニトルスにぶつける。

強い衝撃で後ろに飛ばされるが、それで終わらず後ろに待機させた残り2つのマジックビットを背中にぶつけて爆発させる。

その反動で私の方に飛ばされるトニトルスを待ち構える。


火神焼滅(かしんしょうめつ)


飛んでくるトニトルスを両腕から火を出して、威力が増大した拳をぶつける。

トニトルスに触れると腹部を火が貫通しその火が全身を包み燃やし尽くす。

腕についた部分的な物が粒子となり、消える時にはトニトルスも燃え尽きていた。


「ふふふ、上手くできた、勝てた!」


体力は殆どなく肩で息をしながら、私は勝てた喜びを言葉にしたのだ。

その場で考えた部分的な鎧装着も上手くできて、原生精霊を倒せた事にもの凄く気分が良い感じだ。

今なら何でも倒せる様にも思えてくる。

私は力を持つのに何故、今まで使わなかったのか不思議になるほどだった。

ぐっ、こんな時に頭が痛い、最近少なかったのに何で、このタイミングで…

トニトルスの空間支配が解けた事でローラン、シャーリー、リディアが中央に入ってきた。


「皆…大丈夫…みたいだね…」


片手で頭を押さえながら、私は喋った。


「ア、アニエス嬢…怪我したのか!」


「体力はもう限界だけど、それよりも…あ、頭が痛い…」


ダメだ気が狂う程痛い、いっそ気が狂って痛みがなくなった方がいいと思ってしまう。


「お嬢様!」


「アニエスちゃん!」


2人が駆け寄り心配するが、もうダメそうだ。

震える手でテントをその場に出した。

その直後、私はもう耐えれなくなり、両手で頭を抑えて我慢できない痛みを残った体力で声にする。


「痛い!痛い!痛い!た、助けて!誰か!助けて!」


常に鋭利な物で、頭に穴を開けられてる様な痛みが続き、泣き叫ぶことしかできなくなる。

その異常な光景に尊厳など気にしてる余裕はなく、泣きわめきもがき苦しむしか無かった。

異常な痛みに心が折れてしまうが、そんなことは関係なく痛みは続いている。

シャーリーとリディアは何度か見てるので、私を抱えてテントに入っていく。


「あああ!」


最後に大きく叫び、私はやっと意識を手放せた。


次に気がつくと、私は白い世界に立っていた。

辺りを見ても全てが真っ白な空間だった。


「ここ久しぶりに感じるね」


久しぶりな感覚だった。


『アニエスちゃん、久しぶりだね』


前の様に頭に直接、言葉を送られた。


「やっぱり、神様だったのですね」


『あのまま痛みを感じ続けるのは良くないからね、無理矢理だけどこちらに連れてきたよ』


「ありがとうございます」


『アニエスちゃんの体だから私からは強く言えないけど1つ忠告すると、なるべく体に流されない方がいいよ』


ふむ、あの衝動の事だろうか…

しかし、あれは私の本能な気もしてしまう


「ご忠告、ありがとうございます」


『それと伝えたい事もある。今挑戦してる古代遺跡は50階層に行かない事、確実に今は皆死んじゃうよ』


「確かに20階層であの強さって!何で原初精霊が出てきたのですか!」


『それはトニトルスに聞いた方がいいかな、30階層と40階層は今までの古代遺跡だけど50はちょっと私の手が届かない所にあるんだ』


「そうですか…そういえば前から気になっていた事があるのですが、この世界の事の話ってあれが全部ですか?」


『難しい質問だね。私が言える事は、アニエスちゃんに嘘は言ってないよ』


ふむ、私の気になる事はまだあるのだが、この感じだと答えてはくれなさそうだね。

そしてこの思考も前と同じ様に読まれたそうだね。


『私は皆の味方だから信用して大丈夫だよ』


「そういえば神様って、そんな喋り方でしたっけ」


ふと気になった事を聞いてしまった。


『ああ、今日はこんな感じだね、今後も会う時にもしかすると変わるかもしれないけど、私は私だから気にしないでね』


もの凄く引っかかる答えが返ってきた。

変に考えると思考を読まれるから、この場では考えない様にしようと思う

前から聞かないとと思ってた事が、あったはずなんだけどあれ…思い出せないや

大事な事だったはずなのに、何で思い出せないんだろうか、他の事を聞くとしよう。


「神様、本当にマリエルは産まれるんですよね」


『そうだね、今回は大丈夫、ちゃんと再会できるから』


今回はか…確かにあの世界だと産まれた時から役割を当てられて思い出も唯の入力された情報に過ぎなかったから会うのが楽しみだね。



『20階層は特殊だから報酬がないんだよね。今回は特別に私が1つプレゼントを贈るよ。意識が戻ったら目に魔力を込めてみてね。でも使いすぎない様に注意してね』


「ありがとうございます」


何だろうか、魔眼だと思うけど、情報とか見れるのだと嬉しいが、そんな上手くはいかないんだろうなと思った。


『もう時間だ、最後に繰り返しになるけど忠告するね、今の自分を維持したいなら衝動に身を任せない事、私はどちらでもいいけど』


そう言うと、姿は見えないはずなのに私はもの凄い寒気を感じた。

これは忠告、警告、それとも…

そんな事を考える時間もなくこの白い世界は崩れて私は自分の体に戻るのだった。


お読みいただき、ありがとうございます。

ブクマやいいね等、ありがとうございます。

最近増えていきとても嬉しく、励みになります。


何か気になる事や、こうした方が良いのでは、とかここはダメという所など、あればコメント頂ければ幸いです。


体調が悪くて登投稿が遅れてしまいました。

申し訳ございません。


大体バトルは1話で完結してます。

この世界の子供はある程度雷に打たれても問題ないはず…多分…


お恥ずかしい話ですが、表記揺れが多数あるのを確認してます。

読みづらいかと思いますが、徐々に編集致しますので、何卒よろしくお願いいたします。

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