24話 リディアの報奨とローランの力
いつもありがとうございます。
区切らなかったので、少々話が長くなってます。
歩きながら、リディアは早く会いたいな、とずっと言っている。
英雄の冒険譚は、子供の憧れだもんね。
本の内容を思い出す、本当であれば、高レベルの強さのはずだ。
これならば、お父様も心配しないだろう。
リディアの家まで着いて行き、そこで別れて邸に戻った。
「シャーリー!お父様の馬車だ!」
邸に馬車が止まっていたので、私はウキウキする。
私自身純粋なこの世界の住民とは言い難いが、やはりお父様が戻ってくると嬉しい。
「後、2日ほどかかると聞いていましたが、早く戻られた様ですね」
「馬車に繋がれてる大きな箱はなんだろ」
馬車に大きな箱が繋がれているので、気になり聞いてみた。
「これは騎士団で運送に使われている武具などを入れる携帯箱ですね」
シャーリーの言葉を聞きながら中へ入る。
おそらく王都で武具などを調達したのだろう、そんな風に考える事にした。
お父様が何処にいるかを聞くと執務室にいるとの事だったので私はすぐ向かった。
「お父様、アニエスです。中に入っても宜しいですか?」
「ああ、アニエス入ってきなさい」
久しぶりにお父様の声を聞くと、気持ちが安らかになる。
帰ったばかりなのか、服は豪華なままだった。
「お父様、無事に戻って来れて、よかったです!」
「特別な事は起きずに戻れたよ。アニエス、ただいま」
優しく微笑む顔を見ると、私もホッとする。
「お帰りなさいませ、お父様!」
「アニエスは少し見ないうちに甘えん坊になったな」
な!!私は自分の行動に恥ずかしくなる。
無意識に飛びつくように行動していたのだ。
こほんと咳払いをして本題を話す。
「お話ししても宜しいですか?」
「勿論、構わないぞ」
「古代遺跡の探索に向かう人員が確保できそうです」
そう話をしてローランを雇う事を伝える。
予定外のリディアの事も伝えた。
「ローランなら問題ないな、強さは私も保証できる。だが、リディアは大丈夫なのか?まだ幼いだろう」
お父様、私も幼いですよ、と言いたいが、グッと堪える。
「無詠唱魔法を使える様になったのと、中級魔法も使えるので問題はないと思います。安全性はローランとシャーリーに守ってもらう予定です」
中級魔法は学園の中等部で使えるか、どうかの物だ。
それを使えて、さらに無詠唱ともなると、正直リディアは凄いと思う。
「無詠唱魔法を短期間で使える様になったのか…中級魔法も、あの歳で使えるなら問題はなさそうだな」
ついでに冒険者組合の登録を行った事と、後ろ盾で名前を記入した事も伝える。
「ああ、問題ない。将来はかなり有望だから、早いうちに守った方が安全だろう」
貴族社会は恐ろしく、あの手この手で気がつくと、配下にされる事もあるらしい。
「私からの話もある。国王様に街の防衛強化の許可を貰った、特別金もあるので、問題なく進めてほしい」
王様の許可があれば問題が起きる事は殆どないので安心できる。
お金もあればあるだけ、使い道はあるので助かった。
「問題はなかったのだが…」
ふと、お父様が言葉を濁す。
「雷鳥を撃退した娘を養子にしたいとか、アニエスを、何故連れて来ないとか、お前の領地は戦力が大きすぎるとか、色々言われて疲れたよ…」
机に肘をつき、頭を抱えている。
相当色々言われたのだろう、古い付き合いという事もあり出てくる言葉だろうけど、相手が王様だと確かにとても疲れそうだね。
「後、魔法学園の初等部を免除する話もして来たぞ、アニエスの素性は軽く話しているが、他言無用となってるので安心してほしい」
私が無理を言ってるのだから、そこは仕方がないと思った。
学園長が力を見たいと言うらしく、初等部の入学テストだけして、在学は免除という事になったらしい。
「アニエスには伝えにくい事が一つある。毎回貴族からの誘いを全て、病気でアニエスが欠席した事でな、なんかな、アニエスが病弱でか弱い娘と言う話になっていたんだ…後に贈り物が沢山届く事になってる…」
「な!!なんで、そんな事に…」
面倒だから病欠し続けた事が、謎の病弱な私を作り上げたらしい。
さらに、どうやら様々な贈り物が届く手筈になってるとか、面倒な事になってきた。
私も頭が痛くなってきたように思えるよ。
でも、か弱いところは本当かもしれないね。
「ああ、シャーリー預かった魔法剣の修理が終わったぞ」
そう言って、お父様は立ち上がり、騎士紋章の入った豪華なケースを開けて、中の魔法剣を取り出す。
「旦那様、お手数おかけ致しました」
壁際に立つシャーリーがそう言って前へ出て、お父様に向き合う。
お父様が剣を横に持ち、シャーリーが片膝をつきそれを受け取る。
「この剣を持って私の忠義、命全てかけ、お守りする事に使います」
重い重すぎる。
「アニエスを守ってほしい、頼んだぞシャーリー」
騎士団の人って凄いな、と私は感心した。
「後は属性玉と武具を様々貰ってきたから、必要あれば使うといい」
邸の前に止まってた馬車にかなりの量が有るらしく、後でシャーリーは取りに行くと言った。
「さて、アニエス。夕食を食べに向かおうか」
久しぶりにみんなで、ご飯食べれるのは嬉しかった。
夕食はお父様が戻った事もあり、少し豪華な物だ。
食後にお話を沢山した。
フィリスもお父様が戻ってきた事を嬉しく思って、沢山様々なお話で盛り上がったのだ。
しかし、夜寝る直前までローランの話をフィリスから聞かされた。
本人が楽しそうだからいいけど、ひたすら私はローランの知識を覚えていくのだった。
危機に陥ると鎧が出てくるとか、剣を一度振るえばどんな敵も一撃で倒すとか、他の人には使えない剣捌きで王都の闘技場で優勝したとか、私の頭はパンクしそうだった。
朝目が覚めても、疲れが取れた気がしなかった。
「お嬢様、おはようございます。眠そうですね、早寝しないと成長しませんよ」
私は欠伸をしながら、シャーリーに返事をする。
「それは困るけど、眠い、寝てていい?」
却下された。
朝食を食べて、朝の訓練を行う。
魔力を流す身体強化を使って、体を動かす事を行なっている。
魔力は幼いうちに使えば、使うだけ量が増えていくと本で見た。
おそらく、熟練度で増えているのだろう。
私の場合はどうなるかわからないけど、やれる事は行うのだ。
もっと私が強ければ、悪魔との戦いも正直問題なく勝てたはずだ。
もっと昔の強さを取り戻さないとダメだ。
特に私の魔力の鎧は必要不可欠だった。
「ふぅ、足に魔力を通して、踏み抜く!」
この世界の性質もあり、元々雷や風を纏わないと瞬時に移動は難しかったが、魔力を流して脚力を強化するとそれも楽にできる。
「これを使うと瞬間的に目標の前に移動したり、避けたりが出来るんだよね」
「その様な使い方をされるのは、お嬢様ぐらいですよ」
魔力はそもそも少ない人が多いらしく足に流すのは勿体無いと思われてるらしい。
それよりも腕に流して筋力を上げたり攻撃を受ける時に体に流し、守りに使う事が多いと言う。
「これぐらいにしようかな」
私は汗が流れるほど訓練を行い、それをお風呂で落とすこれが凄く心地いいのだ。
「訓練後のお風呂は堪らないなぁ!後はくぅっとくる飲み物があればいいのになぁ」
「お嬢様、言いたくはないのですが、お年寄りのようなお言葉は、おやめ下さい」
なっ!!なんて酷い…
酷い事を言われた私は、お風呂から出てシャーリーに拭いてもらい服を着せられる。
これに慣れてしまったのが、何とも言えない気分になってきたよ。
「ああ、アニエス、ここに居たのか」
お風呂場から戻ると、お父様に出会い話しかけられた。
どうやら、私を探してる様子だった。
「お父様、私を探してる様子ですが、どうされたのですか?」
「朝言い忘れていたのだが、リディアが来たら執務室に連れてきてほしい」
ふむ、リディアに用があるようだね。
なんだろうか、と考えたが前に言ってた報酬の話だとすぐ思った。
「わかりました、本日来る予定があるのでその後、執務室に向かいますね」
そう言って別れてから、少し経過した。
リディアがやって来たのだ。
「アニエスちゃん、おはよう」
今日も元気なリディアだ。
「リディア、おはよう!あのね、お父様がリディアに用あるんだって」
「兵士さんの数多かったから、もしかしてと思ったけど、戻って来たんだねって、私に用って何!私何かしたかな」
あたふたするリディアを連れて、執務室に向かうとしよう。
執務室に向かう途中で、リディアは髪、服等をメイドに整えられて到着した。
シャーリーがノックをして来た事を話し、その後入った。
「お父様、リディアが来たので連れて来ました」
「あ、あのあの、エヴァンス辺境伯様!無事にお戻りした事を喜ばしく思います!」
お、おう…
まさかリディアからこんな言葉が出るとは思わなかったよ。
「ハッハッハ!リディアよ、楽にしてほしい。私の事はアニエスの父親と思うぐらいで良いから、無理をする事はないよ」
私は爵位ないけど、お父様はあるから普通は気にしない事ができないのではと思ったが、そのまま言葉を飲み込んだ。
「ありがとうございます…それで私に用とは何でしょうか」
「ふむ、まぁいいか、私が雷鳥の話を王都で話したんだが、倒したリディアに褒美を与えると国王様が言ってだな、爵位を授けたいと言っているのだよ」
「えっ、え、え!私は貴族にはなりたくないです!あっ!いえ、貴族様が嫌いとかじゃないです」
今日何度目かな、あたふたするリディアを私は見続けていた。
「ハッハッハ、大丈夫だ。わかっている。そう言うと思っていたぞ。その時は報酬として、お金を渡す事で話をしている」
そう言って、お父様はお金が入った箱を用意する。
お父様はリディアに開ける様言うとリディアは近寄って手をかける。
蓋を開けると、リディアが固まった。
私の位置からは見えなくて、覗くのは、はしたないので、お父様に聞くことにした。
「お父様、そのお金は、いくらあるのですか?」
「金貨500枚を国王様より預かっている。後は学園を卒業したら、追加の褒美を渡すらしい」
「あ、あ、あ!」
「リディア!気を確かに!」
リディアが受け止めれない非現実で考える事を停止していた。
「お父様!刺激が強すぎます!私が後でリディアに伝えます」
「す、すまなかった。リディアは大丈夫か」
お父様も少し考えれば、わかるのにもう!
複数のメイドによって、私の部屋に連れて行く事にした。
予想外の展開に、私も焦ってしまったよ。
全くお父様ったら刺激強すぎだよ。
「はっ!あ、あれ?ここは何処?」
「あっ!リディア目が覚めた?ここは私の部屋だよ」
「えっ!私どうしてここに…あれ?何か大切な事を忘れてるような…」
ふむ、記憶が抜けてるようだね。
驚かないで聞いてね、と前置きをして私はリディアに伝えた。
「あわわ、私どうしよう、そんな大金、私持てないよ」
「私に考えがあるから、そこは任せてよ」
一応、考えがあるのだ。
というのも、冒険者組合のカードにお金を入れる事ができるのを知ってるからだ。
これなら直接持ち歩きする必要もないし、引き出しもリディアの魔力がないとダメだから、万が一奪われても使われる事はない。
「でもね、リディアよく聞いてね。無詠唱ができると今後、貴族と出会う機会が増えると思うから、ゆっくりでもいいから慣れていこうよ」
そんな、と涙目になってしまった。
私が貴族制度を消すまで耐えてね。
いつか世界統一で消し去ってみるよ!
ぐっと拳を作り、何かにやる気を出した私にシャーリーが話しかけた。
「お嬢様、どうやらローラン様がいらっしゃったようです」
ふむ、早かったね。
時間がもっとかかると思ってたよ。
「リディアはどうする?寝てる?」
「私も行くよ!ローランさんに会いたいよ!」
完全にファンのようだ。
ふと気になる、ファンという言葉は、この世界にもあるのだろうか
そういえば、フィリスも来たら呼んでほしいと言ってたっけ。
「シャーリー、私は先に行くけど、フィリスを呼んできて」
そう言って、私は待たせてるという応接間に向かった。
応接間の扉の隙間から覗くと、ガチガチに固まって座っている男がいる。
髪の色も見立ても、あの時と一緒で間違いないと確信した。
「お待たせしたね、って凄い汗で大丈夫?」
「あ、お、お日柄もよく、本日は如何されましたか」
「いや、最初に接してた時と同じ口調でいいよ。話進まないし形崩してよ」
「はぁーすまないな、どうしても俺は慣れないんだよな、嬢ちゃんが領主様の娘と知ってからいつ首を斬られるかとヒヤヒヤしてたんだよ」
ああ、私が呼び出したから、あの時の事で斬首されると思っていたらしい。
「私はそんな事をしないよ、今回呼んだのはお父様とも関係なく私の用だよ」
話が長くなるので私はメイドを呼び、飲み物とお菓子を用意してもらう。
「果物水と珈琲どっちがいい?」
「珈琲で頼む、高くて普通じゃ飲めないからな」
そう言うものなのか、一つまた知る事ができた。
お菓子は私の好みのクッキーを用意してもらった。
準備は整い、依頼の話をする事にした。
古代遺跡について来てほしいという事をだ。
「話はわかったが、俺で本当にいいのか?他にも強い奴はいると思うんだがな」
「私の直感でローランしかいないな、と思ったんだよ」
「未打破の古代遺跡って領主様の許可がいるはずって娘だから問題ないのか、で嬢ちゃん以外は誰が来るんだ?」
「そこで固まってるリディアと、もう少しで来るシャーリーとローランで打破する予定かな」
リディアはずっと、固まってるんだよね。
「まてまてまて、古代遺跡はそんな少人数で無理だろ」
「私がちょっと規格外だからね、シャーリーも強いから大丈夫だと思うよ」
私の事を話すか迷う、信頼はできそうだが、どうしようかなと迷い続けている。
「嬢ちゃんが強いのはあの時、最後しか見えなかったが、それでもわかる、だがなぁ」
そう言ってる時に、シャーリーとフィリスが到着した。
「お嬢様、フィリス様をお連れいたしました」
すっごい走って、フィリスが近寄ってきた。
「わ、私フィリスと申します!ローラン様初めまして!本を読んでから一度会いたかったです!」
もの凄いテンションで、フィリスがローランに話しかけた。
リディアも再起動したようで、フィリスと共にローランに近寄る。
「あのあの、私はリディアと言います。ローランさんのファンです!」
ファンって言葉あるんだ、と私は今の現状を見ないふりをして話を聞いている。
女の子2人にどんどん迫られるローランの慌てっぷりは、なかなか面白い。
「ちょっと待ってくれ!近い!近すぎる!とりあえず離れて落ち着いてくれ」
殆ど、体があたるほど近寄った2人にローランは耐えきれなかったようだ。
「お二人さんは俺の事、本で知ったんだよな、はぁ、あの本は本当に迷惑なんだよな」
と言って話をし出した。
どうやら、王都で本を作ってる人から、これまでの経歴を本にしていいかと話があったようだ。
金貨10枚という破格の話で了承したが、本が売れに売れて名前も広まり、どの街でも銀の戦士だ!と言われるようになったらしい。
「ローラン、ちょっと訓練所で力を見せてよ」
彼の隠した力を私は知りたい。
ハイオークも簡単に倒せる強さを気にならない方がおかしいぐらい。
「構わないが、さっきから壁にいる人が、シャーリーでいいのか?どっかで会ったことある気がするんだが…」
「お久しぶりですね。以前戦場でお会いして以来なので、お忘れかもしれませんね」
そうシャーリーが言うとローランは目を瞑り考えだした。
「ちょっと待ってくれ…シャーリーという名で戦場でって…あっ!あんたは騎士団の副長だった戦鬼か!あの威圧感と殺気がないからわからなかったぜ」
ようやく思い出せた、と言わんばかりのローランにシャーリーが近寄る。
「威圧感なんて私は出してませんし、殺気もないです。人をなんて所で判断してるんですか、この残念剣聖!」
今なんて?
「あの時は顔合わせるたびに、そんな風に言ってきたな、何だか懐かしく思えて来たぜ」
うるさいとシャーリーが腹を殴り、床に倒れるローランだった。
これから訓練所に行く予定だったが、大丈夫だろうか。
「ローラン大丈夫?シャーリーも、もうちょっと優しくしてあげてよ」
「こんな残念な奴に手心を加える必要はありません」
残念、残念って何か因縁がありそうだけど、聞くと大変な事になりそうだから聞かないでおこう…。
「う、うう、シャーリー、力落ちてないな、これなら古代遺跡も大丈夫そうだ…」
もはや満身創痍な感じだけど!
よろよろと立ち上がり、訓練所に向かう事にした。
リディアとフィリスも一緒について来て、強さを見たいとのことだった。
「流石、領主様のお屋敷だ。訓練所も大きくてしっかりしてるな」
慣れてしまって気が付かなかったけど、確かに言われてみると、大きく地面もしっかりしてるので訓練しやすい事に気がついた。
私はさっそく結界を張る。
「これは、あの時の悪魔が使ってた奴だな」
やはり、気がついたようだ。
「これから古代遺跡に出るガーディアンゴーレムを出すから、倒してください」
「は?出すって、魔物をか?」
「お嬢様が許可した時以外、発言しないでください。貴方は出てくる魔物を倒すだけでいいのです」
シャーリー…刺々しいよ…
魔物を出すと言って、はいそうですか、という人はいないだろう。
見てもらう方が早いので、スクロールを投げて呼び出す。
「なっ!これは!本当に魔物が出てきたぞ」
「これは訓練用の魔物だから、怪我はしないよ。でも同じ強さで行動するから、どう?倒せる?」
「ガーディアンゴーレムか…上等だ」
そう言って、腰の剣を抜いた。
光り輝く銀の剣だ。
調べないとわからないけど、おそらく普通の剣ではないだろう。
「始めても、いいのか?」
「あ、うん。いいよ」
そう言うとローランは走り、ガーディアンゴーレムの足を剣で一閃する。
鋼も弾く足を簡単に切断したのだ。
その行為に皆も驚いていた。
片足が切断され、そのまま倒れ込む。
すぐコアに剣を突き刺して、ガーディアンゴーレムは消えていった。
予想はしてたが、早い!想像以上だ。
「こんなものか、硬くなったゴーレムぐらいだと簡単に倒せるぞ」
「限界を見たい!これならどうだ!」
低級スクロールで出せる最大の魔物を出す。
それは、レッサードラゴンだ。
ドラゴンを小型化した魔物で、中級レベルの壁とも言われている。
「なっ!ドラゴンじゃないですか!」
「ひぃ」
「ドラゴン…」
シャーリーは、ドラゴンを知ってるのだろう。
フィリスは驚いて、リディアは固まっている。
「ドラゴンか、久々だな」
ローランはドラゴンにも臆さず、足に力を込めて距離を縮める。
レッサードラゴンと言っても、ドラゴンには違いなく威嚇に咆哮を放つ。
低級者だと、この咆哮を聞くだけで絶命する者も出てくる程強力だ。
リディアやフィリスは、シールドを貼ってるので大丈夫なのだ。
「煩いだけで、なんともないぞ!」
剣で斬りつけるが、ドラゴンの鱗は堅く弾かれる。
「やっぱり本物と同じだな、嬢ちゃん達、本に出た銀の戦士、見せてやるよ」
お?何かするようだ。
周りの2人もワクワクしていた。
「白銀剣ギグサロス!俺に力を貸してくれ!」
そうローランが叫ぶと、手に持つ剣が光り輝く。
銀の剣は輝き、剣に可視化された魔力が見える。
「魔力の流れが見える…どれだけ濃く圧縮してるの…」
私はこの世界を勝手に、強い人がいないと決めつけていた。
シャーリーやお父様も強いが、悪魔等と比較すると話は別だ。
しかし、この男ローランは悪魔と戦える程強く思えた。
剣だけではなく、ローラン本人の髪の色が、青から銀に変わっている。
「髪の色が変わってる…」
「俺の魔力は特殊らしく、魔力を流すと髪の色が変わってしまうんだ。さて、ドラゴン待たせたな」
そう言って駆け寄ると、剣を一度引き溜めて斬りつける。
戦技のチャージブレイクだ。
先程は鱗に弾かれたが、光を纏う剣はそのままドラゴンに傷をつけた。
どうやら能力が全て、上がってるようだ。
すぐドラゴンが爪で反撃をするが、ステップでかわす。
一度後退して足に力を込めて、一気に駆け寄る。
突撃する威力を込める、アサルトブレイク…。
やっぱり言葉に出さないで、行動で再現している。
鋭く強い一撃がドラゴンを貫き、ドラゴンは消えていった。
「凄い!やっぱり本の通り凄いです!」
「はい!私もこの目で見れて、もう何も思い残すことはありません!」
私の周りの2人は完全に虜になっている。
私も見ていると、体の奥から湧き上がる気持ちに支配されそうだった。
「お嬢様、あの男の強さは私が知る以上になってます。おそらく銀ランクでは1番強いかと思います」
「うん、今のを見て確信したよ。確実に強いね。でもね、その前にここまで強いと私、抑えきれないや」
先程から体が疼く、ここまでの強者と戦いたい自分がいる。
私の全力で倒したい!壊したい!
どこまで耐えれるのか試してみたい!
本気を出したい!
「お嬢様、お待ち下さい!何か変です!」
「ふふふ、全然変じゃないよ、むしろ清々しいよ、強者がいる以上する事は一つだよ」
頭が痛い、何かが私を動かそうとしている。
自分の体が自分じゃないみたいな…
飲み込まれるよ…
マリエル…
『お姉ちゃん、ダメだよ』
い、今…気のせいかもしれないけど。
ダメだ、全てを守らなきゃ、自分で壊しちゃダメ…
ぐるぐるする、思考。
前にもあったような…
気を許すと勝手に動いてしまいそう…
私はアニエス、私は私だ!勝手に動くな!
この衝動に塗りつぶされてなるものか!
「はぁはぁ、ローラン、これで、終わり…」
体が熱い、息も苦しい、一体何だったんだろうか…
「お嬢様!凄い汗、お身体がすぐれないのですね」
「私は大丈夫だから…」
力が入らない、視界が暗くなる…
「アニエスちゃん!」
「アニエスさん!」
二人の声が遠くに聞こえる…
体の力が抜けていく…
お読みいただき、ありがとうございます。
ブクマやいいね、等ありがとうございます。
励みになります。
何か気になる事や、こうした方が良いのでは、とかここはダメという所など、あればコメント頂ければ幸いです。
何気なくリディアにアニエスが渡している金貨は、1枚あれば2.3ヶ月は普通に暮らせるぐらいのお金と、お考え頂ければと思います。
ローランは強いと、お考え頂ければと思います。
無事に帰還してますが、道中色々ありました。
今後何処かで書ければと思います。
なんだかんだ、アニエスは病弱なのかもしれませんね。
書いておいてあれですが、何だか毎回倒れてる気がしてきました。
お恥ずかしい話ですが、表記揺れが多数あるのを確認してます。
読みづらいかと思いますが、徐々に編集致しますので、何卒よろしくお願いいたします。




