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地獄の世界を僕らが行く!  作者: 三上 空
第二章 鬼妖の戦争
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第70話 鬼神戦争 急ノ参

このペースが楽なんだなぁ、と実感した今日この頃。


 「速いですね」

 「俊鬼第一位俊介」

 「・・・分かりました」

  

 まさかのここで、一位か。


 特に意識するでもなく僕は地面を蹴る。

 俊介は足を振り上げ頭を狙って、横に振る。

 僕はそれを左腕でガードし、肩で振動を右へと移し、右足を斜め前に出し、体を捻る。

 ガードに浸かって感覚の曖昧な左手で脚を掴み、足を持った背負い投げ・・・と言っても重心はまだ腰に残っていたので不完全で、吹っ飛ばすだけに留まる。

 地面で跳ねながらうまく受け身をとり、立ち上がると、俊介はすぐ僕に向かって寄ってくる。

 足を振り上げながらの、後頭部を狙った文字通り、当たれば必殺。

 僕はそれに対して近づいて行く。

 反らせた体に極限にまで力を籠め、バネが縮むのと同じような通りで、足を振るう。

 僕はその攻撃を、両手をクロスして受け止める。

 鬼門。衝撃を関節に逃がす、完全防御技。 


 ズガァァァァァァァン!!


 俊にしては重たい一撃が、僕の腕を支配する。

 僕は手首を返しながら左手で脚を掴み、グッと横へ捻る。

 体が捻られ、這いつくばる。


 ゴキッ!

 

 が、驚愕に見舞われたのは僕だった。

 静かに、掴んでいた脚じゃなく、反対側の足で、関節を決められたのだ。

 

 バキッ!

 

 肩を持ち上げ、上腕骨の骨端部分を肩甲骨にはめ直す。 

 

 「痛ッ~・・・痛いなぁ」

 「それはお互い様でしょ?」

 「やめてその口調、僕と被る」

 「?何の話だか分からんが、そうするか」

 「それで・・・」

 「どっちが俊を背負うか、決めるか」

 「僕人間なんだけどなぁ・・・やろうか」

 「おうよ」


 地面を蹴れば、完全に同期した蹴り技が、真芯で交差する。

 片手を地面に着き、振りぬかんと。

 僕は上半身の体の勢いを使って角度をずらし、裏拳を振るう。

 膝の皿を割る音がしながら、俊介は後ろに飛ぶ。

 そのまま、核を探す・・・のだが。


 「無い」

 「そら、俺は鬼じゃねぇからな」

 「・・・そういうことね」


 俊介は、俊介として生きた一人の人間が、宿命によって悠久を生き、そして恐れられて死んだ男の一生の残滓。僕と顔が似ているのは何ら不思議ではあるまい。

 

 「初代佐藤俊介、さらばです」

 「ははは!気付いたか!」

 「嫌なことにもね・・・」

 「それじゃ、失礼する前に、額出せ」

 「・・・?」

 


 トンッ・・・


 人差し指と薬指で、額を押すようにすると、何かがスッと軽くなる。

 

 「よし、これで収まりはしないが。まぁ、まともになるだろう。

目を開けて見ろ」

 「・・・」

 

 目を開けると、あの右目を襲う痛みが治まっていた。

 そしてみたのは、鏡で見たときの僕とそのまんまだったのだ。

 

 「隔世遺伝か」

 「つっても隔ててねぇが、それは良い。あと言っておくが、妖に頼れ、神を信じろ、背負い過ぎるな。気を付けろよ・・・ってしゃべりずらいね。ま、頑張って」

 「はい、分かりました」

 

 そう言って黄色い光が漂い、つぎのコマで炸裂すると、そこには跡形もなく、葉が吹き荒れるといった具合だった。

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