第45話 羅掌組手 ゼロノ巻 後編
が、がんばった・・・
「僕は一発で零に勝つ」
「おいおい、流石に無理ねぇかい?俊介よォ」
「政宗は審判してくれ」
「無視かよ・・・じょーちゃんはどする?」
「特にない・・・」
「それじゃ、羅掌組手、始め!」
空を切る。
先ほどと同じ・・・いや幾分か早いか、という乱打。
正確な狙いではないものの捌き切るのは至難だろう。
念動力を使ったガードを張る暇もない。
が、捌くのは無理というのは、最小限には出来るのだ。
どの生き物も、内側は弱くできている。すれば必然に内側を守ろうと外側は強い。
ということは純粋に内側に捻るだけで、幾分か打撃は抑えられる。
多少の痛みは感じるが、そんなのも慣れればただの熱感にしか感じなくなる。
息切れをしたのか少し、動きが鈍くなり始めるのが3秒後ほど。
そのタイミングで牽制の意味も含めたサマーソルトで距離をとり、一度クールタイム。
乱打とは当然正確さを失う分、鋭さ、打ち数がそれまでを明らかに凌駕しなければ成立しない。
それには当然多量の酸素を使用するわけなのだが、そんな呼吸をする暇というのすらも作ると危うい状況でもあるのだ。
諸刃とはこのことであろう。そう、諸刃は時として自分を殺す。
クールタイムから上がった零が構える。
念動力を体表に纏わせ集中する。
ゾーンは発動していない。
地面を蹴る。
今度は、足技を絡めた武芸が、前方から飛ぶ。
それらをすべて、念動力で逸らす。
ただひたすらに前方へ進むために。
地面を蹴った勢いを全身へ伝え、肩のひねりを加える。
繰り出した掌底は鳩尾へと吸い込まれ、零が崩れる。
「勝者、俊介・・・えげつねぇな、相変わらず」
「だってそうしないと、零が満足しないし・・・おいしょっと」
「な、なにをするのです!主殿!」
「え、お姫様抱っこ?」
「な!や、止めてください!刺しますよ!」
「はいはい、けが人は黙っててー、政宗!」
「はいよっ!」
バンドに戻った政宗を確認し、颯爽と我が家に帰ることにした。




