第39話 執行ノ時
「竜騎、君はかつて言った、本気を出せよと」
「・・・」
「竜騎、君はかつて言った、なんで俺が本気を出さなきゃいけないのだと」
「だから何だよ・・・もう俺の前から消えろ死ねよ」
「嫌だね、こちとら君に家族を殺されてるんだ。そう易々と手を引くわけにはいかない」
「目障りだ、殺してやるよ」
「そりゃどうも、けど正々堂々とは行かないな」
「はぁ?」
「僕の隣にいる人たちが見えない?僕たちが全員で君を殺す」
「・・・死刑宣告とはずいぶん思いっ切ったな」
「別に思い切ってないよ、君が日本にばら撒いたものの重みを考えてよ」
本当は私怨に燃えているところはある。
が、それだけではない。
この短期間で僕は多くのものを失ったのだ、それに対する弔いをするんだ。
「僕を殺す?自害する?どっちかを選べ」
ここまでで、僕は大分ストレスを溜めた。
そのせいか、語尾は荒くなり殺気がにじみ出る。
「なんで自害しなきゃいけねぇ、てめぇを殺してやるまでよ」
「わかった、しょうがないね」
スッ・・・と腰を落とし、刀の柄に手を添えるようにした上で、竜騎に殺気を放つ。
そして、菫さんの炎が僕らを包む。
クリムゾンレットが視界を埋めると、それによる輻射熱を感じず、むしろ炎を付与された感覚。
「菫さん」
「ん、なに」
「どうやってやるんですか?」
「今すぐ教えるのは難しい」
「そうですか」
「けど、こういう事ならできると思う」
すると、近くで燃える炎をまさぐるようにした菫さんが左手を前に突き出し、右手を肩の位置に引く。
それは弓を引くような動作で、右手を思いきり開く。
一本の矢のようになった炎は、竜騎に向かって走る、栞士と祖父の間を縫い、近くの甲冑を溶かす。
「こんなかんじ」
「わかりました」
付与で感じるようになった、体内を這いまわる何かを感じ、それを具現化、そしてガントレットと混ぜ、赤く染める。
「深紅ノ手」
炎がたなびき、青色だった篭手は、深紅に染まる。
正直このコントロールは難しそうだ。が、政宗ほどじゃなさそうか。
援護射撃や、前線を張る三人の攻撃は殻に入った竜騎には届かない。
少しずつだが、この竜騎の展開してるバリアは、衝撃吸収の類。
例えば、菫さんの両方から飛ぶブーメランの攻撃は、バリア全体を震わせ竜騎は苦しそうに顔を歪めた。
「じいちゃん!」
「ほいや!」
「上は俺に任しときぃ!」
後ろに引いた右足に力を籠め、右手に集中する。
炎が煌びやかにその火花を散らし、温度を高めるように黄色みがかった炎はだんだんと橙からさらに濃くなり、純粋な深みのある紅になる。
祖父も祖父とて、僕をみてコツを学んだか、同じように生身の手に炎を纏う。
上に飛び上がった栞士は、足から炎を逆噴射をし、轟音を生み出す。
桜葉さん、菫さんも同様に、同時攻撃の意図を組み、攻撃態勢に入る。
直前、竜騎は突然壊れたように笑声を高らかに上げ、口角を上げる。
ハハハハハハハハアアアアアァァァァァァ・・・・・・・・―――――――
その声と重なるように、自らを鼓舞するように気合を声に出す。
ハァァァァァァアアアアアアアアアアア!!!!!
熱波は僕の髪をたなびかせるようにして、灼いていく。
バリアで跳ね返る炎は僕の頬を掠め焦がし、それでも重心を前にし、拳にさらに力を籠める。
そこで、バリンッ!と言う音と共に、拳にかかる反発が無くなり、一歩踏み出す。
その一歩に力を籠め、振りぬいた右手を右のわきに差すようにして地面を蹴る上げる。
クルクルと横に体勢を倒したまま回し、左足を高らかに掲げる。
「終わりだ・・・、さよなら」
そう口にし、左足に炎を纏わせたまま、振り下ろす。
ガスンッ!と骨に当たった感触を踵に感じながら、地面に叩きつける。
グシャァと音をし、いやな感触と共に砕けた脳味噌は、炎によって焼かれ灰になった。
そこが火種になり、竜騎の全身は焼かれ、風に乗って消えて行った。
次回、○○死す!デュエルスタンバイ!!




