第40話 焔の弔い
灰になった竜騎が消えていくのを見届け、皆に向き直ると、祖父の右手が燃えていた。
「じいちゃん!」
「っほほほ!何を慌てておる」
「は?」
「儂を休ませい、自慢の孫息子」
「死ぬのかよ、死ぬんじゃねぇよ!じじい!!」
「ほれほれ、政宗のような口振りじゃの」
「・・・」
僕はその一言一言で感情が揺れる。
右手から燃え盛り、焔は純粋な赤色を輝かせ。
きらきらと、ぱちぱちと音を立てて。
されど静かに言葉を紡ぐ。
「儂もあっちで竜騎と竜吾を殴りに行くだけじゃ。何、案ずることは無い。俊介、周りを見ろ、お前にはこんなにも仲間がいるであろう。来るもの拒まず、去る者追わず、じゃ。」
「・・・そんなの認めない、だから僕は・・・」
「それでいい、お前の道それは儂にもこやつらには変えられぬ」
「ご老体」
「おー、桜葉や。孫息子を頼んだぞい」
「御意」
「かっかっか、固いの~、まあいい、瑠香ちゃんに伝言じゃ、息子とは仲良くなと」
「・・・わかりました」
「栞士や」
「なんですか・・・」
「いや、仲良くな」
「短いっスね。ま、死神としては?聞いてやってもいいっスよ」
「それでい。・・・・お嬢さん」
「ごめんなさい、私の炎で」
「いや、それは違うぞい。儂も儂でやり残したことは無い、ありがとう」
「それなら、よかった」
「俊介」
「・・・」
「死とはいずれとて来るもの、ゾンビとて不死ではない。それはお主自身が一番わかっておろう?」
「・・・うん」
「人間、自己満足という概念があるに関わらず、他人に頼らずに生きていくのは不可能じゃ。他人に頼れ、他人を助けろ、他人に倣え。そして、瑠香ちゃんを守れ」
「なんでここで瑠香なんだよ・・・・・うん、分かった」
「じゃぁの」
炎は焦げ臭く立ち込め、全身を黒く炭化させた。
ボロボロと祖父がしゃべる度に小さい破片が落ちる。
遺言の様に僕たちに語り掛け、それを言い終えると、軽く微笑みそのまま頭さえも炎が包む。
それを見届けた僕は涙があふれるが、迷いは無かった。
菫さんが「ごめんなさい」というので、気にしていないし、むしろ感謝している旨を伝えると、驚いたようにしながらも薄く笑った。
一章完結は次話です!




