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第9話:死闘と覚悟の境界線

いつもお読みいただきありがとうございます! 第9話です。

今回はファイヤースライム狩りの最中、レベル10のエリートモンスター「Red Tentacle」と遭遇してしまったフリシアのお話です。

逃げ場を絶たれた十歳の少女が、ゲーマーとしての立ち回りと5連氷結弾を駆使して命懸けの死闘に挑みます!

夕暮れのオレンジ色に染まる街外れの草原。フリシアは小さなため息をつきながら、背中の次元ポーチのベルトを軽く締め直した。一日中スライムを狩り続けた疲労で、十歳の少女の足取りは重い。


狩場へ戻るため、背の高い茂みの脇を通り抜けた……まさにその瞬間。


ズバッ……ドスッ!!


「きゃっ!?」


野性的な直感が働き、フリシアは全身の力を振り絞って後ろへと跳び退いた! 太ももほどもある巨大な真っ赤な肉質触手が茂みを引き裂いて飛び出し、一瞬前まで彼女が立っていた地面を深く穿ったのだ!


崩れ去った茂みの奥から姿を現したのは、移動不能型エリートモンスター「Red Tentacle」! レベル10を誇る強敵だ。漆黒の胴体を地面に固定し、熱気を帯びた5本の真っ赤な触手を狂ったように空気中でうねらせている。その巨体には大きな剣傷と焦げ痕が残されていた……先ほどレベル10超えのパーティと戦い、HPを6割近くまで削られて撤退された痕跡だった!


(嘘でしょ……レベル10のエリートモンスター!? 一体どのパーティがこんな場所に押し付けていったのよ!?)


フリシアの頭の中で、駆け出し冒険者としての鉄則が即座に警鐘を鳴らした!


(戦っちゃダメ! 適正レベルを遥かに超えたエリートモンスターに遭遇したら、すぐに逃げるのがギルドのルール……!)


フリシアは即座に反転し、街へ向かってダッシュしようとした……だが、Red Tentacleが獲物を逃すはずがなかった! 5本の触手を高く掲げると、そのうちの2本を振り下ろし、彼女の進行方向と退路を完全に塞ぎ込んだのだ!


バシッ!!


「くっ……! 痛いっ!」


鋭い触手の先端が、フリシアの左肩と腰を激しくかすめた! 茶色の綿の服に鮮血が滲みだし、小さな身体が地面を転がる。レベル10のモンスターによる掠り傷の一撃だけで、彼女のHPは一気に3分の1も削り取られてしまった!


(ハァ……ハァ……逃げられない! 移動しないモンスターだけど、触手のリーチが長すぎる……! このまま無計画に走ったら、背中から貫かれて終わりだわ!)


(生き残る唯一の方法は……奴を怯ませて後退させ、逃げ道をこじあけることだけ!)


思考はコンマ数秒で「逃走」から「生き残るための戦闘」へと切り替わった! 足場を固め、固定型モンスターである敵の攻撃範囲の外縁を保ちながら、フリシアは即座に引き撃ち(Kiting)を開始した!


「Rapid Throw!」


シュッ——シュッ——シュッ——シュッ——シュッ! ドカン! ドカン!


5連撃の氷結弾が、迫りくる触手へと叩き込まれる! 火属性の耐性と極寒の冷気が激突し、ジュッと猛烈な水蒸気が舞い上がる! 赤い触手がピクリと硬直し、うっすらと霜が降り始めた!


フリシアはジグザグに走り、地面を穿つ触手の連撃を間一髪で回避し続けた。飛び散る石くずや tree の枝で、彼女の肌には無数の小傷が増えていく。


5セット……10セット……そして15セット!


叩き込まれた氷結弾は実に50球を超えた! 激しい爆発が胴体と触手を襲い続ける。いくらレベル10のモンスターといえど、絶え間なく浴びせられる氷結弾によって体内温度が明らかな陰りを見せ始めていた!


そして14セット目……累計70球を超えた氷結弾の極寒ダメージにより、Red Tentacleの全身が大きく痙攣を起こした!


体表の熱気が途絶え、触手の根元に隠されていた真っ赤なコアが露わになる!


(コアが見えた! 今よ……これで決める!!)


フリシアは身体の中に残された最後のMPを絞り出し、歯を食いしばって渾身の5連氷結弾をコアへと叩き込んだ!


「Rapid Throw 5 Hits!!」


ドカンンンンンンンン!!


Red Tentacleの巨体が激しい光の粒子となって砕け散り、周囲へとおびただしい量の光が舞い散った!


【 大量の経験値を獲得しました! 】


【 キャラクターレベルアップ:Level 6 ➔ Level 7 】


【 ジョブレベルアップ:Job Level 8 ➔ Job Level 9 】


レベルアップの光が身体を包み込み、負った傷の一部を癒やしていく。フリシアは少しだけ笑みを浮かべ、目の前に浮かぶシステム画面を見つめた。


「……ふふ、レベル7とジョブ9になったんだ……」


頬についた泥を軽く拭うと、すっかり暗くなり始めた空を見上げた。


「はやく……家に帰らなきゃ。パパもママも心配してる……」


フリシアはボロボロの身体をなんとか奮い立たせ、重い足を交互に動かしながら、満身創痍の状態で街の門を目指して歩き出した……。


……


冒険者協会の門前。


かつてフリシアの証明書にサインをするため同行した大柄な警備兵が、いつも通り警備にあたっていた。彼が通りを行き交う人々に視線を走らせていると、門の方からフラフラと歩いてくる小さな影が目に飛び込んできた。


新しかったはずの服は破れ、血と泥にまみれている。全身ボロボロの少女の姿だ!


「あれは……フリシアちゃん!?」


警備兵は目を見開き、驚愕の声を上げた! 立ち合いの場所から慌てて駆け寄る!


だが、警備兵がたどり着くよりも早く、限界を超えて身体を動かしていた十歳の少女は意識を失い、ゆっくりと目を閉じると、そのまま地面へと崩れ落ちてしまった!


「お嬢ちゃん!! 一体どうしたんだ!? しっかりしろ!」


---


ステータス確認


名前:フリシア・バーハート

職業:スカウト(Scout)

Base Level:7

Job Level:9

Skill:Rapid Throw Lv.9

Hiding Lv.1

基礎氷生成魔法 Lv.5


第9話をお読みいただきありがとうございました!

レベル10のエリートモブ「Red Tentacle」との絶望的な差を、ゲーマーならではのKitingと5連氷結弾の怒涛の連投で乗り越えたフリシアちゃん!

見事に撃破してレベル7&Job Lv.9に到達しましたが、満身創痍で倒れてしまい……!?

次回の展開もぜひお楽しみに!


「命懸けの戦闘が熱い!」「フリシアちゃん無事に回復して……!」と思っていただけましたら、ぜひページ下部の【ブックマーク登録】や【評価(★★★★★)】、【フォロー】で応援していただけると大変励みになります!


次回(第10話)もどうぞお楽しみに! ✨

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