第14話:チームワークと合格の行方
いつもお読みいただきありがとうございます! 第14話です。
暴走してボスの大技「Stone Storm」の直撃コースに飛び込んでしまったカイル!
全滅の危機に瀕したパーティを救うため、フリシアのプロゲーマーとしての判断力と指揮が冴え渡ります!
手に汗握るボス戦の結末と、試験官エドガーが下した衝撃の判定とは……!?
ドゴォォォォン!!
誰かが制止する間もなく——身を挺して飛び出したカイルの足が石の広場を踏みしめた瞬間、Giant Stone Slimeから全方位への衝撃波(Stone Storm)が爆発的に解き放たれた!
凄まじい風圧と衝撃がカイルの身体を直撃し、彼は壁の石柱へと激しく叩きつけられた! 手から長剣がすっぽ抜け、わずか開始十秒足らずで彼は戦闘不能の行動不能状態へと陥ってしまったのだ。
「カイル!?」
追いつこうとしていたフリシアたちは驚愕で目を丸くした。
プリーストのノアがいち早く正気を取り戻し、杖を掲げてカイルを回復しようと駆け出そうとしたその時——彼の足元に広がる橙色の魔法陣が怪しく発光した!
(マナの流動……まずい! 連続攻撃の追撃が来る!)
フリシアは床の予兆を誰よりも早く察知した。それは地属性のスキル「Earth Spike」! ノアが立っているまさにその場所から、巨大な石の刺が突き出ようとしていたのだ!
「はあっ!」
一瞬の生死を分ける瀬戸際、フリシアはスカウトならではの圧倒的な敏捷性を活かして跳躍し、ノアの腰を抱きかかえるようにして横へと全力で転がり込んだ!
ドスゥゥゥン!!
直後、ノアが立っていた場所に、太く鋭利な石柱が床を突き破って出現した! 命を救われたノアは顔を蒼白にし、冷や汗を流しながら恐怖に震えた。
一方、目の前で仲間が一人倒れ、追撃の大技が迫る光景を目撃したマージのレオは、パニックに陥って思考がフリーズしていた。震える手で杖を握りしめ、その場に立ちすくむことしかできない。
「レオお兄さん! 落ち着いてください!!」
フリシアの力強い叫び声が混迷を切り裂いた。
「冷静になって、遠距離から火魔法でボスのHPを少しずつ削ってください!」
フリシアは一秒の無駄もなく次なる指示を飛ばす。
「ノアお兄さん! カイルお兄さんの手当と回復魔法をお願いします! ボスの遠距離攻撃には気をつけて回避してください!」
指示を出し終えると、少女は素早く立ち上がり、Ice Daggerを生成してレオとともに前線へと走り出した!
……
しかし、この戦いは決して容易なものではなかった。
ボスであるGiant Stone Slimeは防御力に特化した「地属性」のモンスターであり、フリシアにとっては極めて相性の悪い相手だったのだ。普通の石を投げつけても分厚い岩の表面をかすめるだけで、彼女の氷のナイフも属性の弱点を突くことができず、ボーナスダメージが得られない。その上、このボスは膨大なHPを誇っていた!
シュッ! シュッ! シュッ!
フリシアが氷のナイフを連続で投げつけ、正気を取り戻したレオが「Fire Bolt」を必死に叩き込むが、ボススライムのHPゲージはほんのわずかしか減っていかない。
「フリシアちゃん! カイルの意識が戻ったよ! 命に別条はない!」
ノアの声が響いた。カイルを壁際に休ませたノアが、急いで戦線へと復帰してくる。
「後ろから回復とバリアのサポートに専念するよ!」
「分かりました! サポートをお願いします!」
負傷者の心配がなくなったことで、フリシアは真の全力攻撃へと移行した!
パーティの前衛であるタンク役のカイルが欠けた今、10歳の小さな少女が「ヘイト管理(Aggro Control)」という過酷な役割を引き受けなければならなかった。彼女はボスの危険なスキルを広場全体を使って回避しながらターゲットを引きつけ、レオが安全に詠唱できるスキを作り出していく。
一方、意識を取り戻して壁に背を預けていたカイルは……自分より遥かに小さな少女が、ボスの猛攻を縦横無尽に交わしながら戦う後ろ姿を茫然と見つめていた。
胸の中に、激しい痛みに満ちた羞恥心が波のように押し寄せてくる。
自分は元Aランク冒険者の息子でありながら……目の前の少女をあざ笑い、見下していたというのに……その10歳の少女に命を救われ、さらに彼女の手によって自分が壊しかけたパーティを背負ってもらっているのだ。
(なんでだ……なんであのガキが、ここまでできるんだ……!?)
様々な感情が頭の中を駆け巡り、カイルの胸の中にあった歪んだエゴと偏見の壁は完全に粉砕された。
カイルは歯を食いしばり、悔しさを飲み込むと、覚悟を決めた足取りで走り出し——フリシアの前に立ちはだかった!
「俺が……俺がボスの注意を引きつける! お前は攻撃に専念しろ!」
カイルの声は震えていたが、そこには確かな決意がこもっていた。
チームの誰もが、カイルの180度変わった態度に驚きを隠せなかった。
フリシアは一瞬カイルの目を見つめると、小さく微笑んだ。
「分かりました……ボスのスキルのクールダウンには気をつけてくださいね!」
「ああ! 分かってる!」
カイルは硬い声で答えたが、その瞳はこれまでにないほど真剣に目の前の敵を捉えていた。
パーティの連携が完璧な形を取り戻す! フリシアはコマンダー(Shot-caller)として、ボスのスキル発生までのカウントダウンを行い、回避のタイミングを全員に指示し続けた。
「気をつけて! あと2秒で周囲への衝撃波が来ます!」
「レオお兄さん、今です! Fire Boltで詠唱を中断させてください!」
息をのむような緊張感の中、長い戦いが続いた……そしてついに、Giant Stone SlimeのHPゲージが完全にゼロとなり、巨大な岩の体が光の粒子となって空気中へと弾け飛んだ!
「やったぁぁぁ!!」
レオとノアは歓声をあげ、疲労困憊でその場に崩れ落ちた。カイルは気まずそうに顔を背け、静かにうつむいている。
パチ……パチ……パチ……
何もない空間から、規則的な拍手の音が響いた。隠密スキル(Cloaking)を解除した試験官のエドガーが、ゆっくりと姿を現したのだ。
エドガーは笑みを浮かべながら全員を見渡した。
「見事だったよ、みんな! 状況の立て直しと立ち回り、実に素晴らしかった!」
彼は親指を立てて見せた。
「おめでとう……全員合格だ!」
「やったぁぁぁ!!」
レオとノアは飛び上がって抱き合い、喜びを爆発させた! フリシアも胸をなでおろし、激しく脈打つ心臓を感じながら安らぎの笑みを浮かべた。
しかしカイルだけは静かに佇み、己の運命を悟っているかのようにうつむいていた。
そして、エドガーが放った次の一言が、試験会場の歓喜を瞬時に凍りつかせた。
「——カイル、君以外はね」
エドガーのトーンが冷ややかに変わり、その鋭い視線が14歳の剣士へと注がれた。
「正規冒険者の試験は、単なる個人の強さを測る場じゃない。『命』と『チームワーク』の重みを知るためのものだ……身勝手な油断で仲間を死の危険に晒すような人間に、合格を出すわけにはいかないんだよ、カイル」
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【ステータス確認】
* 名前:フリシア・バーハート
* 職業:スカウト(Scout)
* Base Level:10
* Job Level:13
【スキルツリー】
* Rapid Throw Lv.10(MAX)
* Hiding Lv.2
* Trap Research Lv.1(MAX)
* 基礎氷生成魔法 Lv.5
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第14話をお読みいただきありがとうございました!
カイルの暴走による絶体絶命のピンチを、フリシアの的確なヘイト管理と指示で見事に跳ね返したパーティ!
見事な連携でボスを撃破し全員合格……と思いきや、試験官エドガーからの厳しい現実はカイルだけに突きつけられました。
冒険者としての本当の意味を学んだカイルは、これからどう歩んでいくのか……!
「フリシアちゃんのヘイト管理が神すぎる!」「エドガーさんの判定が厳しくも愛がある!」と思っていただけましたら、ぜひページ下部の【ブックマーク登録】や【評価(★★★★★)】、【フォロー】で応援していただけると大変励みになります!
次回(第15話)もどうぞお楽しみに! ✨




