第12話:一人前への登竜門
いつもお読みいただきありがとうございます! 第12話です。
レベル10に到達し、前代未聞の10歳で「一人前の冒険者昇格試験」を受ける権利を得たフリシア。
歴代最年少記録を塗り替えるべく挑む筆記試験、そしてレベル55のベテラン試験官との壮絶な実技試験の行方は……!?
本来、冒険者協会には「一人前の冒険者」になるための試験というものは存在しない。見習い冒険者として登録し、15歳になるのを待てば、自動的に一人前として認められる仕組みになっているからだ。
というのも、15歳未満で登録する子供のほとんどは、薬草採取や皿洗い、迷子になったペットの捜索といった簡単な依頼しか受けない。命懸けでモンスターと戦うような無茶をする者は皆無であり、15歳未満でレベル10に達する子供などこれまで一人もいなかったのだ……。
ただ一度、20年前に……たった13歳でレベル10に到達した異例の天才少年を除いては!
その圧倒的な資質を受け、協会は特例として「資質認定試験」を設置し、時期尚早とも言える一人前への昇格を許可した。その少年こそが、現在の「ギルドマスター」その人である! 以降、彼の後を追うように14歳ほどで試験を突破する天才が稀に現れるようになったが、それでも極めて珍しい存在だった。
しかし、わずか10歳の少女であるフリシアの登場は……協会史上最大の衝撃となったのだ!
……
【第一次試験:筆記試験】
決戦の朝、試験会場には4人の受験者が集まっていた。
1. カイル(Swordman・14歳)
2. レオ(Wizard・14歳)
3. ノア(Vates・14歳)
そして、
4. フリシア(Scout・10歳)
試験問題は、冒険者協会の規約、対モンスター戦闘の基礎と対応策、ダンジョン内での注意事項から、パーティー連携の理論や陣形計算に至るまで多岐にわたっていた。
14歳の先輩3人が頭を抱え、何度も冷や汗を流している中……フリシアはターボがかかったような速度でペンを走らせていた!
前世のプロゲーマーとしての知識と経験という「歩くデータベース」を持つフリシアにとって、この程度の試験は幼稚園のドリルも同然だった! 彼女はモンスターの攻略法、属性倍率の計算、クールダウンを考慮したポジショニングに至るまで、教科書以上に完璧な回答を書き連ねた内容で埋め尽くしていく。
第一次試験の結果が発表された……先輩3人は合格ラインギリギリの点数でなんとか滑り込んだが、フリシアはまさかの100点満点! 採点官たちの感嘆の声をあっさりとさらっていった。
……
【第二次試験:試験官との実技模擬戦】
ギルドの屋外訓練場は、大勢で押しかけた数百人の先輩冒険者たちでごった返していた。彼らはすっかり「フリシアちゃんのファンクラブ」と化しており、幼い少女に向かって大声援を送っていた!
本日の実技試験官は「エドガー」。鋭い眼光を持つ、レベル55の「Assassin」だ!
試験のルールは職業ごとに設定されていた。
ノア(僧侶):試験官の手加減のもと、「3分間攻撃を回避し続けること」。追い詰められて青ざめながらも、ノアはギリギリで逃げ切って合格を果たした。
カイル(剣士)とレオ(魔導士):「5分以内に試験官へ攻撃を1回命中させること」。二人は持てる技術の全てを叩きつけ、制限時間終了間際に奇跡的に擦り傷を負わせ、泥臭く合格を勝ち取った。
そして……ついに最後の受験者の番がやってきた。
「最後の受験者……フリシア! 条件は5分以内に俺へ攻撃を1回命中させることだ!」エドガーはニヤリと笑った。
「始め!」
合図とともに、フリシアは一刻も無駄にせず、空中へ氷の塊を生成すると同時に投げつけた!
シュッ——!
氷塊が猛烈な速度で風を切り裂く! エドガーは余裕の身こなしでそれをかわしたが、少女の素早い手返しと躊躇のない先制攻撃に、場内の冒険者も試験官も驚きで目を丸くした!
「うわっ! 開幕からいきなり投げつけたぞ!?」
「速ぇ! あんな本気のフリシアちゃん、見たことないぞ!」先輩ファンたちが喉を枯らして歓声をあげる。
試験官のエドガーは興味深そうに口元を歪めた。「ほう……投擲スキルを選び、さらに基礎魔法で生成した氷を弾丸代わりに使うとは……実に面白い!」
言い終えるや否や、レベル55のアサシンは回避率上昇(Evasion Buff)のスキルを発動させた! 彼の身体は疾風と化し、残像を描くほど滑らかに動き出す!
シュッ! シュッ! シュッ! シュッ!
フリシアは手数を緩めず氷結弾を連続投擲するが、圧倒的なレベル差と回避バフの前では、エドガーは訓練場を縦横無尽に駆け回り、全ての攻撃を軽やかにかわし切ってしまう!
時間が刻一刻と過ぎ、残り時間はあとわずか……。
フリシアは足を止め、肩を大きく上下させて激しく息を乱していた。全身から汗が噴き出している……。
「クックック……どうしたフリシアちゃん、もう参ったか?」エドガーが挑発的に微笑む。
「まだ……まだです!」フリシアは振り絞るように、再び氷塊を投げつけた!
しかし……激しく息を吐きながらも、元プロゲーマーの頭脳は冷静にエドガーの動きの癖を分析し続けていた。アサシン特有のステップと回避軌道を完全に読み切ったのだ!
そして追撃の投擲の瞬間、フリシアはあえて「狙いを外したフリ」をした! 氷塊が的外れの方向へ飛んでいく!
「甘いな!」エドガーはニヤリと笑い、習性に従って前方の空間へスライド回避した。
だが、それこそが罠だった!
フリシアの左手には……息を整えるフリをしながら密かに生成しておいた「テニスボール大の氷の塊」が握られていたのだ! 彼女はスキルを使わず、純粋な腕力だけでそれを左手で投げつけた!
ガキン——! ドカン!
テニスボール大の氷塊がエドガーの着地点に激突し、猛烈な冷気を撒き散らして周囲の地面を凍りつかせた! 直撃こそしなかったものの、足元の凍結によってレベル55のアサシンはほんのコンマ数秒、体勢を崩してしまった!
「なにっ!?」エドガーが目を見開く。
その千載一遇のチャンスを、フリシアは見逃さなかった! 踏み出すと同時に、あらかじめ右手で拾っておいた地面の「小石」を構え、スナイパーとしての野性的な直感で全身の力を込めて投げ放った!
シュッ——!
小石が一直線に試験官の顔面へと飛んでいく! エドガーは心底驚愕し、驚異的な反応速度で顔を背けようと試みたが——
キーーーン!
無情にも5分終了の合図のベルが鳴り響いた!
訓練場全体が静寂に包まれた……フリシアは疲労困憊でうつむき、肩で息をしながら顔を上げることができずにいた。
観客席の先輩冒険者たちはガックリと膝をつき、悔しさのあまり拳を突き上げて叫んだ!
「くそっ! あと少しだったのに!」
「あの野郎! レベル55のくせに10歳の子供相手に回避バフまで使いやがって! ガチになりすぎだろ!」
エドガーは訓練場の中央で佇んでいた。彼は深呼吸をすると、パパンと手を叩いて場内を静めさせた。
「みんな、聞いてくれ……」エドガーが重々しい声で切り出した。
「フリシアの実技試験の結果だが……」
彼が自分の顔を指さすと……冒険者たちも、フリシアも、ゆっくりと顔を上げた。
そこで全員が目にしたのは……エドガーの額に、くっきりと真っ赤に腫れ上がったレモン大のタンコブだった! ギリギリでかわされる直前、最後に投げた小石が彼の額を直撃していたのだ!
「……合格だ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおお!!」
歓喜の咆哮が訓練場全体に響き渡った! 先輩冒険者たちが狂喜乱舞し、拍手と歓声を惜しみなく送り合う!
そして「合格」の言葉を聞いた瞬間……フリシアの足からすっと力が抜け、その場にへたり込んだ。そして誇らしさと心からの安堵感を胸に、少女は満面の笑みを浮かべるのだった!
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【ステータス確認】
* 名前:フリシア・バーハート
* 職業:スカウト(Scout)
* Base Level:10
* Job Level:13
【スキルツリー】
* Rapid Throw Lv.10(MAX:超高速投擲スキル。最大6連撃)
* Hiding Lv.2(スカウト転職時の無料パッシブ。ポイントを投じて性能を強化)
* Trap Research Lv.1(MAX:トラップ分析・解除スキル。実技試験に備えて事前に習得)
* 基礎氷生成魔法 Lv.5(日常的な使用により自動レベルアップ)
第12話をお読みいただきありがとうございました!
筆記試験を100点満点で突破し、実技試験ではゲーマーの知略と度胸で見事にレベル55のアサシン試験官の額に一撃を叩き込んだフリシアちゃん!
見事に「一人前の冒険者昇格試験」を合格しました!
これでついに初心者エリアを飛び出し、新たな冒険の舞台へ……!?
「100点満点&タンコブ合格おめでとう!」「先輩たちの応援が温かすぎる!」と思っていただけましたら、ぜひページ下部の【ブックマーク登録】や【評価(★★★★★)】、【フォロー】で応援していただけると大変励みになります!
次回(第13話)もどうぞお楽しみに! ✨




