↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された元社畜令嬢は、終わったはずの領地で宝物を見つける  作者: 植早 凛
第3章 追放された元社畜令嬢、眠れる薬草で未来を拓く

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/43

第43話 山が眠らせたもの

夕暮れのベルフォード領。

1日の収穫を終えた薬草畑は、黄金色の陽光に照らされていた。

村人たちが帰路につく中、リアだけは畑の端でしゃがみ込んでいた。


「……やっぱり」


リアは地面へそっと手を伸ばす。

乾いた土を一握り取り上げ、指先でゆっくりと崩した。


「この辺だけ……」


土の色が少し違う。

黒く、しっとりとしていて、細かな粒が混じっている。

昨日まで見てきた場所とは、明らかに質が違っていた。


「リア様?」


後ろからアルが声を掛ける。

アルの後ろにはレオンとロイドもいた。


「何か見つかりましたか?」


リアは掌の土を見せた。


「見て。この辺だけ土の色が違うの」


レオンはしゃがみ込み、土を眺める。


「……本当ですね」


しばらく考え込んでいたロイドは、ふと思い出したように口を開いた。


「そういえば……」


「昔、その辺りだけ岩の色も違ってたな」


「岩?」


「ああ」


ロイドは遠くの山を見つめる。


「子どもの頃、祖父に聞いたことがある。『あの辺りの岩は昔から色が違う』って。だから近付くな、とも言われたな」


リアの瞳がわずかに揺れた。

土の色。岩の色。品質の良い薬草。廃鉱山。

点だったものが、少しずつ一本の線になっていく。


「……調べてみる価値はあるわね」


リアがそう呟くと、ロイドは静かに、だが力強い瞳でリアを見つめた。


「もし本当に調べるなら」


リアはロイドを見上げる。


「俺も連れて行ってくれ」


リアは驚いて顔を上げた。


「ロイド?」


「……あの山には」


ロイドは夕日に染まる山を見つめた。


「俺の人生が埋まっている気がするだ」


その言葉には、どこか懐かしさと寂しさが滲んでいた。

リアは何も聞かなかった。

きっとロイドにも、あの山に対する特別な思い出があるのだろう。


「ええ」


リアは微笑んだ。


「その時は、一緒に行きましょう」


ロイドも静かに笑みを返した。


◇◇◇


帰り道、夕日に染まる薬草畑を歩きながら、セレスがぽつりと呟いた。


「不思議ね」


「何が?」


「最初は、誰も薬草なんて見向きもしなかったのに」


セレスは周囲を見渡した。

今では村人たちが笑顔で働き、薬草はベルフォード領を支える産業になっている。

リアは小さく笑った。


「価値は、最初からそこにあるとは限らないもの。見つけて、育てて、初めて価値になる。」


セレスはくすりと笑う。


「リア様、最初からそう言っていたわね」


「そうだったかしら」


「ええ」


二人は顔を見合わせ、笑い合った。

リアは足を止める。

そして、夕日に照らされた山を静かに見上げた。


「でも……」


その瞳には、確かな期待が宿っていた。


「あの山には、まだ何かある」


山は何も答えない。 けれど、リアは不思議とどこか確信があった。

あの山には、まだ誰も知らないベルフォード領の未来が眠っている。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


現在、第4章を執筆中です!

これからもリアたちの活躍を楽しんでいただけるよう、頑張ります。

また投稿再開しましたらよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。