敦賀へ
敦賀へ
伊勢の大巫女の祠から出ると宮川を渡る。
太陽の日が当たり、キラキラ光る清流であった。
川を渡ると海岸線を右側に見ながら伊勢路を進む。
そして櫛田川を見て川沿いを昇り始める。
櫛田川は、川の流れがやや速く、水の流れの音が低く響く。
川沿いに登って行くと国見山の山頂を目指す。
古くからの古道のような獣道を歩く。
途中で獣を狩って食事にする。
獣の隙を見つけて首をきり裂く。そのまま血抜き、大きな石を見つけて、捌く、火を起こして薪にして、捌いた肉を串刺しにして焼く。
山頂の手前で寝る。
翌朝、山頂で奈良盆地を見渡す。
もう直ぐ秋だ、稲穂が金色の絨毯のように広がっていた。
《本格的な、稲穂の田んぼのあぜ道が見えない。こんなに広大な絨毯が、風で棚引いている》
近畿圏の成熟した稲穂に圧力を感じた。
奈良盆地に入ると大きな小山が目についた。
《これは墳墓か》
山彦は佐久平で見た代官と美和の併設した墳墓に比べて、大きさと、手の入った小山に違和感を感じた。
しばらく歩くと祠が盛り上げた大地に作られており、人が溢れていた。
これは祠か?人々が手を合わせている。
何をしてるんだ。
山彦には理解できなかった。
宇治を経て大津に入ると琵琶湖が、大きな海のように広がっていた。
山彦は、ここで夜になった。
木の下で火を焚き身体を休めた。
琵琶湖の左側は岸壁で、反対側は森であった。
左に湖を感じながら北上すると高島に出た。
そして山に入り、獣を狩ることができ、食事ができた。
そして、ようやく敦賀に着いた。
敦賀の海は、伊勢の海に比べ波が近かった。
空は薄雲が広がりどんよりしていた。
大きな船が停泊している。
旗に大きな印のような模様が付いていて、頭に大きな丸いものが付いていた。
飾られた様な模様が線で引かれている。
《これは大陸の船だな》
よく見ると船から言葉の分からない、早口な連中がいて、
気が付くと、
浜辺にも沢山の人がわさわさ居て、小さな船に荷物を降ろしていた。
近くまで来ると、四隅に柱を立て、屋根には藁葺のような見たことのない家が並んでいて、そんな家が並んで道が出来ていて、人が歩いていた。
さらに近づくと、さっきの知らない言葉や知ってる言葉が聞こえてきた。
言葉がわからない奴らは、着てる服も違う、長い布で身体をぐるぐる巻いているような。黒や緑や赤色の服を着ていた。
よく見る集落の姿で、分かる言葉を話してる奴もいる。
言葉がわかりそうな奴に山彦は声をかけた。
「随分と賑やかだね」
「ああ、大陸からの船が到着して、偉いさんが来てる」
「偉い人?」
聞いても相手は偉いから、偉いとしか答えてくれなかった。
山彦は、ここから離れようと、少し小高い丘を見つけ、眺めていた。
《これは、凄いな、見ればこんなに大きな船なんて初めて見る》
下にあった家も人たちも理解できない。
とにかく、圧倒されたのである。
穏やかな日和に海からの風が心地よかった。




