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新しい物語  作者: 熊さん
第二章:豪族の種
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美和の気付き

美和の気付き



佐久平は、美和の神事が始まり、落ち着いた。

春になって、豊穣を祈る祭典、が行われると、佐久平が、近畿圏の大王の領地であることが周知され、その領地を分配しているのだという認識に変わった。


諏訪者でも山梨者でも独立兵達でも、その認識はあり、自らの農耕を行う集落との関係が強まっていくのである。


しかし、集落は自分たちの暮らしで一杯であった。


夏、美和は何か夏のお祭りのアイデアがないかと悩んでいた。

夏は米作も一段落する。集落に皆に示すものが欲しかった。


何かないかと佐久平を見ていたが思いつかない。

ふと、浅間山の森が気になった。

見張りをしていた者が急にこっちを向くので思わず、膝を折って屈んだ。


その動きに美和は、人がいる。


と、気がついた。が、自分たちが見張られてるとは思わない。


美和は屋敷の門を通り広場に戻った。

カンタと兵が拳の訓練をしていた。

カンタを見て、若いのに凄いなと感じていた。

すると、近畿圏で、こちらに向かうことになった時、桜が話していたカンタの事を思い出した。

カンタは色々な事を知っている。

そこで、訓練がひと息着くと、カンタに話しかけた。


「森に、人がおったが、何か知らぬか」


カンタは、バレたと、とっさに思いついて、誤魔化すしかないと考えた。



「あれは、森の手前で狩りに向かったものでしょう」


手前で狩りをする集落のものもいるはずなので、それを見たのではと切り返した。


「森に入っで、狩りをのぉ。」


美和は納得していた。が、しかし続けた。


「カンタは、よく色々なものを知ってると、桜を言っておった。森の狩り、そなたも出来るのか?」


狩りをするなら森の手前でなく、奥にはいらないと、狩りには、ならない。

カンタは困ってしまった。

否定してしまえば、簡単だが、答えが出なかった。


沈黙が生まれた。

すると美和が切り返した。


「よいよい、森は深いのだろう。簡単には答えられまい。分かった。ありがとう」


美和は質問を止めた。カンタは何かを知ってると確信したからであった。

森に関わってるぞ、と考えた。


カンタも、はい、申し訳ないと頭を下げ、その場から離れていった。


美和はどうするかなと考えていた。


部屋に戻り執務室に入ると代官がいた。


「旦那様、浅間山の森には、人が住んでいるのですか?」


代官は、森の人間の存在は知っていたが、構わないと決めていた。


「うむ、人はいるが、我らの統治とは関係が無いので、ほってある。

気にせずとも、良いのだ」


美和はあっさりと森に人がいることを認める代官を見て、確信した。

カンタの森との関わりに確信が生まれていた。

そこで美和は代官に答える。


「はい、そうですか。森に人がいるのですね。分かりました。気にしないことにいたします。」


美和の返事に代官は安心していた。

美和に森への関心が高まっているのには、気が付かなかった。


佐久平では、セミが鳴き始めていた。

夏が来る。


セミの鳴き声とともに、美和は考えていた。

どうすれば、代官に知られずに森に入れるかと。


セミの声が一段と高くなった。


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