収穫祭
収穫祭
佐久平の集落は増えた。
諏訪湖畔や山梨からの勢力、独立した兵達、代官がそれぞれ集落を抑えることになり、境界は曖昧だった。
まだ領地の意識が低く、何となく農民たちの集落に勢力が付いてるという関係のようであった。
秋になり収穫が始まると、佐久平中に代官による収穫祭の開催の噂が広まった。
そこで諏訪湖畔の首領が代官の屋敷に来た。
「代官、収穫祭をやるなら、諏訪湖の巫女を連れてこようと思う。」
代官に代わり美和が話す。
「諏訪者よ、代官は近畿圏での位の高い家族の出であることをご存じが、無礼である。」
諏訪の首領は、代官であるからと思ったが、口を挟めなくなった。
美和が、座ったまま、続けた。
「祭事は私が仕切ります。」
首領は、なら、諏訪の巫女の方がと思い、発言しようとすると、代官が割って入った。
「美和は我妻だが、大王と大巫女の血筋のものである。お任せ願いたい」
言葉に詰まった。首領は、そういう事なのか、納得するしかなかった。
代官の屋敷の前に大きな広間が出来た。
真ん中に木を組み合わせた櫓と大きな長方形の木が置いてある。
奉納の品物を載せるのだろう。
収穫は各集落で行われた。
しかし諏訪や山梨から来た農民は、収穫する田んぼがありません。
彼らは、収穫で一斉に動き出した集落に各々が勝手に手伝いを始めた。
「手伝うよ」
「ああ、頼むよ」
農民に収穫の時、手を貸すのは当たり前でした。
兵達には関心がありませんでした。
佐久平で起きた洪水、平地に浮かび上がった混乱。
収穫の時には、農民同士の当たり前の協力。兵達、諏訪や山梨や代官の区別はありませんでした。
そして何日か経って、収穫祭が始まります。
代官の屋敷に奉納するのは、カンタを紹介した集落の長が代表して行いました。
米が俵に3つ、野菜らしきものがひと束。干し肉が3束、奉納されました。
櫓の前に置かれた奉納を見て屋敷の兵達が、櫓に火をつけ、祭りが始まります。
広間には、諏訪者、山梨者、兵達が座り、待ちます。
すると、代官が5歳になった男の子を連れ、入って来ました。
バキ、バキ、バキ
櫓の炎が
ボッと立ち上がります。
すると美和がやってきました。
まっ白い服に長い髪がスラーと伸びて、耳飾りや首飾りを付けている。
皆の前に座ると、兵が一人、小さな刀を捧げ美和の前に起き、去ります。
美和は米俵にその刃物を抜いて差し込み、米を零します。
それを片手で受け取り、火に投げかけます。
バァ
という小さな音が響きました。
「大王様のお力により、洪水して水浸しになったこの地に、新たな恵みがもたらせました。」
美和は頭を地面に擦り付けるように屈みます。
侍女たちが数人、小さな器と獨酒の入った瓶を持って出てきて、美和に器を渡し、獨酒を注ぎます。
後ろの代官や諏訪者、山梨者、兵数名に同じように渡します。
時を計らい、美和が大きな声で
「大王様に感謝を」
すると代官も続ける
「大王様に感謝を」
来てるよのには打ち合わせが無かったが、引っ張られ同じように叫んだ。
広場の周りには各集落の農民が集まっていた。
山彦は、彼らに混ざり何気ない姿で最初から見ていた、干し肉を提供したのは山の民であった。
豊穣を祝う収穫祭、巫女の形に似てるなと感じて、美和の威厳ある態度に判断が出来ないでいた。
空の雲は高く、もう直ぐ冬が来る予感のような天気であった。




