ヴァリシオンともうひとりの光の王子
その地上の閃光は空に滞空していたマシルたちの目にも映っていた。
謎の閃光が消えると今まで無敵を誇っていたオークたちが一匹もいなかった。
その事実に彼らは唖然とした。
ただひとり冷静にヴァリシオンは大地を見つめている。
「誰か来ます」
兵士の一人が緊張した声を上げて槍を構える。
その兵士を制するとヴァリシオンはサラマンダを下降させる。
地上と空のちょうど真ん中でふたりの王子は向き合った。
サラマンダはシリウスよりもずっと巨大で強い。
だからこそヴァリシオンが主なのだとアルトシオは思う。
力強く自信家で見る者すべてを引き付けずにはいられない存在、それがヴァリシオンだ。
「僕はアルドを手に入れた」
静かに語る太陽の様に輝く髪の少年に迷いはない。
不思議な銀緑光を宿した大地色の瞳は穏やかにヴァリシオンを見つめている。
気が弱く、泣き虫でいつも後をくつっいてきていたラディオン。
その血を受け継ぐ王子ー光の王子。
「俺は世界を統一する」
静かに語る燃えさかる炎のような赤い髪の少年にも迷いはない。
「ーわかってる」
悲しげに目をふせるとアルトシオは言った。
「だけど僕も負けられない。僕は必ずこの地に『聖霊界』をよみがえらせてみせる」
「ならば戦うまでだ」
遥か遠い時代よりもいままで、ずっとそうしてきたように王子たちは戦いを繰り返す。
その先にあるものが『聖霊界』であることを信じて。




