34/45
マシル
過ぎ行く空の彼方の黒い影にミルディーアは思う。
(彼はいったいどこにたどり着くのだろう)
彼女が想像できないほどの時をただひとり生きてきた少年。
いまその運命に決着をつけようと兵士たちを率いるその姿に少女は問いかける。
ー戦いの意味を。
マシルはヴァリシオンの後に飛竜を駆けながらなにか釈然としないものを感じていた。突然の出陣に戸惑いをかくせないのだ。
(なにをあせっているのだろう?)
そもそもどうしてあのときにアルトシオを殺してしまわなかったのだろう。
サラマンダを駆ける少年の眼差しが何を見ているのか彼には伺い知れない。
だけど・・・。
(僕はこの方について行くだけだ)
なにも迷うことはない。
そう自分に言い聞かす。
「王子様、ルナ・ムーンです」
遥か前方にひろがる乾いた土地。一度、焼け野原になったその場所に以前と同じ様な・・・いや、それ以上に大きな難民キャンプが築かれていた。
「逞しいな」
思わず呟いたマシルの目の前で、大地は一瞬にして燃え上がった。




