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荷揚げの作業が一段落ついたところで、山峯は船内の共用スペースへと促された。
出港までの時間は各々自由に過ごすのが習わしのようだ。
室内は薄暗く、決して広くはないスペースには十数名にも及ぶ船員たちが過ごしていた。
そこは、むせ返る程のタバコの煙と、ひしめき合う男達の汗と体臭が充満している。
彼らの過ごし方は様々であった。
麻雀などの博打に興じるもの、食事を摂る者、壁に向かって雑誌を手に持ち、自慰行為に勤しむ者すらいた……。
空いている空間を見つけ、ボンサックを下ろし腰を落ち着ける。
猥雑な会話と、時折響く怒声や品を欠いた笑い声。
山峯にとって、今まで渡り歩いてきた場所となんら遜色はなく、どこか居心地の良さすら感じるほどであった。




