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山峯が男船を訪れた同時期、昭和xx年。日本全土を震撼させた一つのニュースがあった。
一都四県に跨る連続殺人事件。
全国殺人行脚……。
容疑者は依然逃走中。
男は訪れた先々で、刹那的な殺人を繰り返し、のりを凌いでいた。
目的もなく、勇名もなし。
彼の行動原理は、およそ市井の人々には理解不能であった。
やがて男は、呼び寄せられるように、ブルー・ラグーンに流れ着いていた。
男は考えた。
ここで身を潜めるもよし。
または少しばかりの逃走資金を蓄えて、何処ぞへ流れるもよし……。
そのような人間にとって、およそ遠洋漁業といった生業は絶好の隠れ蓑と映ったであろう。
男は、ここ、ブルー・ラグーンを訪れている。
男はこれから尋ねるだろう。
そこは、第七男魂丸──通称、男船として知られていた。




