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荷揚げの作業に関しては、存外に過酷だったという他ない。
何しろ半年分の荷である。
食料品や生活用品、漁に用いる道具や餌など枚挙に暇がない。
加えてジリジリと肌を焼く太陽。
肉体労働の経験については覚えのあった山峯でさえも、肩で息をしながら作業をしている。
「おう、見ねえ顔だな。新入りか」
先程、厠で用便を足していた男が声を掛けてきた。
後に分かった事だが、彼の名前は三島茂、船内ではそこそこの古株であり、周囲からは「シゲさん」の相性で通っている。
年は山峯より一回りほど上の中年といった所で、短く刈り揃えられた髪には白髪が混じっている。
「お前さんも他所でやらかして流れてきたクチかい?まあ死なない程度に踏ん張れや」
彼は屈託のなさそうな笑顔で話しかけてきたが、それ以上に話が及ぶことは無かった。
恐らく、山峯のような人間は珍しくないのだろう。
今となっても互いの身の上については分からないままだ。
お互いの過去に干渉し合わない風土が、男船にはできているようだった。
そしてここでは、互いを深く理解し合う程に人命は貴重でない。
そんな風に、山峯は感じた。




