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男船  作者: 秋山善律
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1-6

 荷揚げの作業に関しては、存外に過酷だったという他ない。

 何しろ半年分の荷である。

 食料品や生活用品、漁に用いる道具や餌など枚挙に暇がない。

 加えてジリジリと肌を焼く太陽。

 肉体労働の経験については覚えのあった山峯でさえも、肩で息をしながら作業をしている。

「おう、見ねえ顔だな。新入りか」

 先程、厠で用便を足していた男が声を掛けてきた。

 後に分かった事だが、彼の名前は三島茂、船内ではそこそこの古株であり、周囲からは「シゲさん」の相性で通っている。

 年は山峯より一回りほど上の中年といった所で、短く刈り揃えられた髪には白髪が混じっている。

「お前さんも他所でやらかして流れてきたクチかい?まあ死なない程度に踏ん張れや」

 彼は屈託のなさそうな笑顔で話しかけてきたが、それ以上に話が及ぶことは無かった。

 恐らく、山峯のような人間は珍しくないのだろう。

 今となっても互いの身の上については分からないままだ。

 お互いの過去に干渉し合わない風土が、男船にはできているようだった。

 そしてここでは、互いを深く理解し合う程に人命は貴重でない。

 そんな風に、山峯は感じた。

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