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男船  作者: 秋山善律
27/35

2-11

 三人の、男を賭けた闘いは、山峯の勝利で幕を閉じた。

 既に限界を超えていた山峯は、牧の後を追うようにビールケースを地に落とした。

 疲弊し切った三人は、しばしそのまま呼吸を整えるのに専念する必要があった。

「……いい勝負だったな。立てるか?」

 いち早く回復した佐郷が、牧に手を差し伸べる。

「うるせえ、勘違いするな。テメェ等を認めた訳じゃねぇ」

 そう言って、佐郷の手を振り払った。

「すぐにテメェ等に勝……いや、越えてみせるからな」

 それを聞いた佐郷は

「ああ、期待して待ってるぜ」

 そう答えた。

「ただ、まあ、その、何だ」

 バツが悪そうに、牧が切り出した。

「それまでは、船の仕事の事とか、色々教えてやらんでもない……」

 山峯と佐郷は顔を見合わせた。

 ──コイツは何とも……。

 ──ああ、不器用な男だ。

 そう表情でやり取りし、互いに苦笑した。

「うるせえ!出港まで時間がねぇ!黙って付いて来やがれ!」

 弛緩した空気を振り払うかのように牧は声を荒げ、踵を返した。

 友情とはまた異なる、死力を尽くし闘った男同士の連帯感に、山峯は心地の良さを感じていた。

 日は落ちかけ、辺りは夕闇に包まれている。

 絆を深め合った男達の航海に、これからどのような苦難が待ち受けているのであろうか。


 第二章 完

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