2-9
牧に促され、二人はそれぞれ自身の陰茎に紐を括り付けた。その先にはビール瓶のケースが繋がっている。
「開始の合図の後、そいつを持ち上げる。先に落とした奴の負け。シンプルだろう?」
確かに単純なルールではあるが、耐久力、ペース配分など様々な要素が絡み合っているのが読み取れる。
どれだけ早く勝負の肝所を掴めるかで、結果は大きく分かれるだろう。
「よし、準備はいいな……始め!」
男の戦いの火蓋が切って落とされる。
俺たちは頭の後ろに手を組み、一斉にビールケースを引き上げた。
──グ!……コイツはキツいぜ……。
山峯の予想よりも遥かに、陰茎の硬度だけでこの重量を支えるのは困難であった。
佐郷の方も表情に余裕がない。
「へ……へ……どうした?随分と……辛そうじゃねえ……か!」
余裕ぶってはいるものの、牧の顔も苦痛に歪んでいる。
──ダメだ!とてもじゃねぇが持たねぇ!
陰茎の角度が45度を切った時、ビールケースは地面に落ちるだろう。
「ハ!……アンタこそ……さっさと楽になった方がいいんじゃ……ないか?」
できるだけ表情を押し殺し、軽口を叩く佐郷。
本調子でない今、どれだけの余力を残しているのだろう?
やがて、勝負開始から2分が経過した。
永遠とも思える2分間であったが、ビールケースが勢いよく地面に叩きつけられた。
──最初の脱落者であった。




