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男船  作者: 秋山善律
25/35

2-9

 牧に促され、二人はそれぞれ自身の陰茎に紐を括り付けた。その先にはビール瓶のケースが繋がっている。

「開始の合図の後、そいつを持ち上げる。先に落とした奴の負け。シンプルだろう?」

 確かに単純なルールではあるが、耐久力、ペース配分など様々な要素が絡み合っているのが読み取れる。

 どれだけ早く勝負の肝所を掴めるかで、結果は大きく分かれるだろう。

「よし、準備はいいな……始め!」

 男の戦いの火蓋が切って落とされる。

 俺たちは頭の後ろに手を組み、一斉にビールケースを引き上げた。

 ──グ!……コイツはキツいぜ……。

 山峯の予想よりも遥かに、陰茎の硬度だけでこの重量を支えるのは困難であった。

 佐郷の方も表情に余裕がない。

「へ……へ……どうした?随分と……辛そうじゃねえ……か!」

 余裕ぶってはいるものの、牧の顔も苦痛に歪んでいる。

 ──ダメだ!とてもじゃねぇが持たねぇ!

 陰茎の角度が45度を切った時、ビールケースは地面に落ちるだろう。

「ハ!……アンタこそ……さっさと楽になった方がいいんじゃ……ないか?」

 できるだけ表情を押し殺し、軽口を叩く佐郷。

 本調子でない今、どれだけの余力を残しているのだろう?

 やがて、勝負開始から2分が経過した。

 永遠とも思える2分間であったが、ビールケースが勢いよく地面に叩きつけられた。

 ──最初の脱落者であった。

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