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「おう!オメー等!」
男の特訓に励んでいた山峯と佐郷に割っているように、声をかけてきたのは先程船室で因縁を付けてきた大男であった。
「……なんだ。またアンタか……」
うんざりしたように山峯が答える。
「へへ、さっきは飛距離で遅れを取ったがな、俺の得意種目は“持久力”だ!」
そう言って、持っていたビールケース──三段に積まれていた──を足元に叩きつけるよう降ろした。
「ここに空瓶で埋まったビールケースがある。こいつを竿の力だけでどれだけ支えることができるか勝負だ!」
そう、まくし立てた後、上着のポケットから紐を三本取り出した。
やれやれ、といった面持ちで、山峯と佐郷は顔を見合わせた。
「別に勝負は構わないが、俺達はそれぞれ2発ずつ種を飛ばした後だ。負けた時の言い訳じゃないが、公平な勝負とは言えないぜ?」
と、もっともな意義を申し立てた。
大男はその回答は予想していたと言わんばかりに答えた。
「安心しろ。そう言うと思って、さっきそこで2回、抜いて来ておいたぜ」
予想外の答えに、山峯と佐郷は驚いた。
──新人りをイビる程度の小物かとおもいきや……なかなかどうして、勝負ってもんを弁えてやがる……。
「いいだろう。受けよう。そう言えば名前を聞いてなかったな」
「へへ、牧 貴良。オメー等をブチのめす男の名だ」




