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──日本のどこかにあるとされる街、ブルー・ラグーン。
マグロの遠洋漁業を主産業とするこの漁港には、土着の漁師に加え、全国から食詰め者が集っていた。
時刻は昼下り、一見すると寂れた漁師町であるが、行き交う男達の誰もがその眼光に、野心の火を滾らせている。
そんな中において、一際特異な雰囲気をまとった、一人の男がいた。
──男の名は、山峯顕士と言った。
引き締まった浅黒い体躯に、射貫くような鋭い目付き。
首元まで伸びた手入れのされていない長髪は、一昔前に流行したヒッピーを思わせる。
肩に掛けられたボンサックには、最低限の身の回りの品が詰め込まれているのだろう。
見るからに、一攫千金を目当てにこの街に集った流れ者の一人であったが、他者を寄せ付けぬ孤高の雰囲気が、彼を異質な存在へとたらしめている。
彼は目的地、第七男魂丸──通称、男船へと歩を進めていた。




