8話 雨の日のお散歩
「黒き天の涙」が地上を支配し、万物を昏き湿界へと誘う、永き天の粛清期間――それが梅雨だ。
ククク……空が泣いているな。だが案ずるな、この長き闇が明けた刻、世界は真の灼熱(夏)へと進化を遂げるのだから……!
今回はそんな日のお話。
◇◇◇◇
モ:「雨のなかのお散歩って、ぶっちゃけちょっと
テンアゲじゃね?」
は:「せやなぁ!いつもと違う感じがして、めっちゃ
楽しいなぁ!」
け:「仏の教えも雨のようにすべての人に平等に
注がれています。これも八大龍王様のおかげ
なので感謝しましょう。」
俺:「けん君、今日は数珠持ってきたんだね。」
け:「僕、数珠忘れたことなんて一度もありません。
変な言いがかりは止めてください。」
(なんだこいつ。雨の日は菩薩になるのか?
しかも敬語になってるじゃん!)
は:「なんやとおる君。普通に話せるやないか!」
モ:「はるかー。それリアルに?」
は:「せやな〜先生。」(無垢な笑顔)
先:「アハハ…ハハ…はるかちゃん?そのことは
忘れるお約束だったよね??」
(せせせせ先生!?それフォローじゃない!俺の
醜態をフローさせただけだよ先生!)
は:「忘れてたわ!ごめんやでとおる君!」
(あれ、オカシイな…前が霞んで良く見えないヤ)
モ:「今さらだけど、なんでこのメンツ?まじ謎。」
先:「それはねモアちゃん。モアちゃんたちが、
一番先生と仲良くしてくれるからだよー。」
説明しよう。この先生、実は教育実習生なので
ある。園長先生と相談の上、手の掛からない子から
練習することになったのだ。いわば徹たちは
選ばれし勇者なのだ。ちなみに先生はイケメンで
ある。
モ:「そうなん?」
け:「先生は、いつまでここにいるのですか?」
先:「そうだなー。夏休みと共に去るかなー。」
歩いていると、横断歩道についた。
先:「皆。右と左見て、手をあげて横断歩道渡って
みよっか。」(優しい笑顔)
は:「ほなウチから行くな。皆、ウチ一人で
先行くでー。」
(まあ、余裕か。うちのかわいいかわいい姪っ子
だもんな。)
徹は奥から来る車をぼーっと眺めていた。
(おい、あの車スピード出しすぎ…はっ!)
俺:「先生、あの白い車の人居眠り運転してる!」
先:「うわっ、はるかちゃんが危ない!」
俺:「はるか!走れ!走って!」
モ:「きゃー、はるか!」(叫び)
け:「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」(数珠ガラガラ)
(おいいいい!お前それ死ぬやつ!)
はるかは怯えて走れそうもなかった。徹は走った。だが園児の足だ。追いつくわけもない。
もう駄目か…そのときだった。先生がはるかを抱きかかえて、反対の歩道まで走った。まさに間一髪。
は:「うわぁぁぁん!怖かった…怖かったよぉ!」
先:「もう大丈夫。私が来た!さあ皆、帰ろっか。」(キラっ)
そういう先生の膝や腕には、かすり傷があった。
◇
保健室にて―――
は:「先生じっとしててや。」
先:「はるかちゃん、気持ちはとても嬉しいんだけど
さすがに恥ずかしいよ…」
保健室の窓やドアの影から沢山の視線があった。
もちろんそこには徹もいる。
は:「なぁ先生…ウチ…大きくなったら先生と
結婚するわ!」
先:「わあ、ありがとう!でも先生、もう結構いい
大人だよ?」
は:「大丈夫や!オカンが
『30過ぎたら男も女も大差ない』
って言うとったで!」
先:「ママに生々しい現実を教わるのは
やめなさい…」(困った笑顔)
(うちの妹!?何教えちゃってんの!!
ごめん先生!うちのが困らせてごめん!)
は:「絶対の絶対のぜ―ッたいに!結婚する!」
先:「まあ、考えとくよ。」(爽やかスマイル)
◇
まあ、雨の日に始まる恋っていうのも
中々乙だったな。まあイケメンは何やっても様に
なる………はっ!俺のさくらもいつかあの先生に
ほ、ほほ、惚れる…認めん!俺は認めんぞ!!
『ライバルが一人増えた。』
―――次回、夕涼み会―――
吊り橋効果で恋の発展??




