5話 お花見
お花見―――
それは花より団子(とお酒)。強風で紙コップが飛び、唐揚げに桜の花びらが容赦なくトッピングされ、最終的には「寒さとの戦い」になる…
まさに『エクストリーム・ピクニック』
俺は今年度最後のイベントに向かっている。
◇◇◇◇
「はーい皆さん。ではこの前決めたグループに
分かれて行動してください。13:00には時計塔の
下に集まってください。」
先生がフワフワな声で言った。
(やっぱ先生は可愛いな。あ、さくらちゃんには
負けるけどね!)
徹はさくらちゃんのことが好きになっていた。
ちゃんと告白したいと思う程に。やっぱり可愛いは正義なのである。
(さて、この前決めた班は確か…)
「おーい。とおる君こっちだよ〜。もう皆集まってるから早くー。」
「ごめん。ゆうた君。急ぐね……えっ…」
(おいおいこのメンバーはダメだろ!猫カフェに
ルンバ投入するようなもんだぞ炎上だよ!)
そのメンバーとは
・未来の嫁、さくらちゃん
・ゆうた師匠
・仏のけん
・片思いのしんすけ
そしてもう1人…
「まーじでおとる遅すぎて草! 秒で弁当食べよ?お腹と背中くっつくレベルなんだけど!」
(ぎ、ギャルだ!しかもヘアピン8個もつけてる!)
ギャルの名前は『モア』。名札にキラキラした
シールを沢山貼っている。
俺:「そ、そうだね…ハハハ」(渾身の苦笑い)
さ:「とおる君。さくら、とおる君の分のお弁当
作ったの!食べて!」(輝いた目)
モ:「超ウケるんですけど!てかマヂで2人って
付き合ってる系?」
し:「おれ⤴は認めてないからな!」
け:「皆、駄目じゃないか。花より団子は仏様は
許してくださらないよ…」(ピキッ)
ゆ:「まあ良いじゃないか。今は弁当食べよ」
(1/fゆらぎ)
風が強く吹いた。桜の花びらが目の前に広がった。
俺は咄嗟にさくらちゃんの風よけになった。
?:「きゃー、帽子が!」
しんすけが走り出した。それはメロスだった。
風がやんだ。さくらちゃんの弁当に桜の花びらが
トッピングされて彩りが豊かになった。
(これは、甘酸っぱい青春の味だ!)
桜の花びらごと食べた。徹が幸せな顔をしてたら
し:「とおるお前、そんな顔すんなよ
イラつくから!」
(友情にマリアナ海溝ぐらい深いヒビが入ったよこれ!もう避けかけだよ!)
ゆ:「おい、しんすけ。何持ってるの?」
し:「ああこれか。なんか誰かのやつ。飛ばされた
みたい。」
モ:「あ、それあーしの…あ、ありがと。」
(いや初々しくて可愛いなアイツ。うちのさくらには
負けるけどな!)
し:「良かったな飛ばされなくて。」(眩しい笑顔)
モ:「あーし。しんすけのこと好きになった…。
しんすけ、あーしと付き合って!」
(この年頃ってこんなに惚れやすかったっけ?
そんなん一夫多妻制なんてすぐ成立するやんけ!)
し:「まずはありがとう。でも俺はさくらちゃんの
ことが好きなんだ。だからごめん。」
(しんすけ。修羅場と修羅場をサンドイッチさせる
ようなこと言うな!重すぎて胃もたれするわ!)
さ:「え?でもさくらはもうとおる君のお嫁さんで…
お嫁さんで、さくらの旦那さん?は1人しか
なれないから…。」
(俺の彼女の困り顔国宝級だわ!守りたい命がここにある。)
け:「しんすけ君。乙女のハートを蔑ろにした挙句、
とおる君からさくらちゃんを寝取ろうとしてる
の、仏様は許しても、僕は許さないよ。」
糸目のけん君が開眼していた。
ゆ:「まあ良いじゃないか。しんすけは未練たらたら
の、敗北者なんだから。」
(ゆ、ゆうた師匠?なんかあたり強くない?
MK5だよ。普通に恐い、アンタが一番怖い!)
モ:「決めた。あーし、アンタに好きになってもらう
頑張るから覚悟しなさい。」(耳真っ赤)
◇
そんなこんなで遠足兼お花見は終了した。
前世はギャル怖いって思ってたけど、やっぱギャルしか勝たんわ。多分この6人でこれから先、楽しく
過ごすんだろうな…
『女の子のハートは大切にネ☆』
ということを、セクハラ三十路野郎は心に刻んだ。
―――次回、止まっていた歯車が動き出す―――




