10話 夕涼み会:後編
ここは、現世と冥界の狭間に歪みし**「禁忌の領域(お化け屋敷)」**である。
宿命を背負いし旅人たちが足を踏み入れるその場所は、常人には耐えがたい恐怖と絶望が渦巻く異空間。闇の眷属たちが影から君たちの魂を刈り取らんと狙っている。
狂気と混沌の迷宮から、徹たちが無事に
「光の世界」へと帰還することができた後の話だ。
◇◇◇◇
保健室にて―――
先:「よし、さくらちゃんの処置は済んだ。」
俺:「…その…先生ってやっぱり寺生まれのTさ…」
先:「本物が来そうだからその言葉選びは
止めようか。…僕が寺生まれなのはホント。
秋からは家のお仕事継げってオヤジに
言われてるからさ。今日で最後なんだ…。
………おっと話しすぎたな。忘れて…。」
俺:「僕、先生のこと結構好きだよ。だから、そんな
哀しい顔しないでほしいな。」
先:「最後はちゃんと笑顔でお別れするさ。さあ皆の
元に戻ろうか。」
俺:「…さくらちゃん、トラウマになってなきゃいい
けど…。」
先:「さっき、おまじないも掛けといたから大丈夫。
それより君はいいのかい?」
俺:「先生の凄さまで忘れたくないから大丈夫。」
(さくらちゃんとイチャついたことまで忘れそうで
怖いんじゃ!)
先:「そっか、じゃあ今度こそ行こうか。」
◇
ゆ:「けん君がさっき凄かったんだよとおる君。」
俺:「何かあったの?」
ゆ:「南無阿弥陀仏って唱えてたらお化け、
消えちゃったんだよ!凄くない!?」
(いやアイツもう岩の呼吸使えるだろ!園児ティア表堂々の1位だよ!)
し:「アイツのせいか!お化け少なかったのは!
余裕過ぎてつまらなかったぜ!」
モ:「ウケる、ウソつけし!まじで超絶ビビり散らか
してたじゃん?でも…かっこよかったよ…。」(耳真っ赤もじもじ)
し:「お、おう。ありがと…な…。」(もじもじ)
(おいおいおい、これは吊り橋効果ってやつか!?
最高じゃねーかよおい。もっと、もっと俺に栄養を
与えてくれー!)
け:「その時は完全に祓えなかったから、後列の人も
出会ったかもね。あの幽霊。」
(おいーーー!皆を怖がらせるようなこと
言うなや!ノンデリ男だろお前!)
け:「とおる君、最後尾だったけど大丈夫だった。」
俺:「あ、ああ。全然よゆーだし!」
は:「ウチは先生と組みたかったわ…。そういや、
さくらちゃんは?」
俺:「叫びすぎて疲れて寝ちゃったから、保健室で
寝てるよ。」
(幽霊に襲われたなんて、口が裂けても言えない…
言ったら魂まで出ていきそうだし。)
先:「はーい皆さん。花火持ってきたよー。火は近く
の先生方から貰ってねー。」
け:「皆、行こー。」
は:「せやな。ウチは先生と花火したいな…。」
し:「おーい、せんせー!はるかが先生と花火
したいって言ってるぜー!」
モ:「先生やってあげてよてきなー!」
(いい友達を持ったな…姪っ子ちゃん。おじさん、
最高に嬉しいよ。)
先:「そうなの?じゃあ一緒にやろっか。」(爽やかスマイル)
俺:「はるかちゃん、頑張ってね!」(小声)
は:「うん。ありがとう。」(照れてる笑顔)
◇
俺:「おい皆、2人の会話盗み聞きしたくない?」
け:「いけませんよとおる君!その行為は仏様は
許してくれませんし僕も許しません!。」
し:「まあまあ、いいじゃねーか今日ぐらい。モア、
よろしく頼む。」
モ:「アイアイサー。」(健の数珠を奪う)
け:「ま、いっか〜。早く聞きに行こーぜー。」
(めっちゃダウナーやな。それにしてもチョロすぎだろアイツ。)
徹たちは先生と遥香の近くまで行った。茂みに隠れながら。
俺:「先生…さっきのこと、話すのかな?」(呟き)
ゆ:「さっきのことって?」(小声)
俺:「それは……」(小声)
(会話が聞こえてきたようだ)
は:「先生…私さっき聞いちゃったの。先生が
寺生まれで…明日からお家のお仕事継ぐために
ここを辞めちゃうことを…。」(涙声)
先:「そっか…。聞いちゃったか…。そうだよ〜。
…先生は、はるかちゃん達をお化けから守る
為の修行に行くんだ…。…今までありがと。
4ヶ月ぐらいだったけど、君たちに逢えて…
……楽しかったよ。」(涙目)
け:「どーゆーことー?とおるそのこと知ってたの?
じゃあさくらがいない理由って襲わ……」
健の顔が一瞬青ざめた。
俺:「バッカでかい声出すなよ。……そうだよ。俺と
さくらは、けんの言ってた霊に襲われた。
そのとき助けてくれたのが先生なんだよ…。」
モ:「じゃあさくらが寝てるのって、、、」
俺:「あれはホントに安心して眠っただけだ!だから
心配いらな……」
?:「みんな、そんなところで何やってるの〜?」
皆:「キャーーーー!!」
俺:「ってさくらか…。大丈夫?どこも痛いところ
ない?」
先:「おぉ。さくらちゃん。おはよう。」(イケメンスマイル)
皆:「ギャーー!」
先:「ごめんごめん。驚かせるつもりは無かったんだ
けど、盗み聞きしてるの見つけて…ついね。」
し:「おいはるか。先生いなくなるの、本当か?」
は:「せやな…。」
け:「俺まだ先生と一緒にいたい。」
ゆ:「先生いなくならないでよ!」
先:「ごめんね。これは約束だからさ……もう、ダメ
なんだ…。おっと、皆…そんな顔…しないで
よ………じゃあ、僕呼ばれてるから行くね…」(困った笑顔)
◇
担任:「皆さん、集まってください。今日は最後に、
大切なお知らせがあります。」
先 :「皆さん。こんばんわ。先生は本日をもって
この園から旅立つこととなりました。
短い間だったけど…グスッ…先生楽しかった
です。今までありがとうございました。」
(先生…最後は笑顔でって言ってたのに……何泣いてるんだよ…。)
は:「せんせー!ウチ、絶対また先生に告白しにいく
から!……だから……ウチのこと忘れたら
アカンで!」(泣いてるけど笑顔)
俺:「グスッ……俺こういうのに弱いんだよなぁ…
グスン…ヒック……」
さ:「とおる君。今は沢山泣いていいよ…さくらも、
沢山…悲しい…ヒック…」(徹にバックハグ)
(さくらちゃんはやっぱり優しいな。……やっぱり
先生には居てほしかったな………)
満点の空には、一筋の流れ星が降った。
◇
あの後、俺とさくらは一緒に泣いた。手を繋ぎながら。俺たちにつられて他の皆もワンワン泣いた。
はるかは最後、先生に頭撫でられてたっけ…。
先生と過ごした日々は、多分…いや絶対忘れること
は無いだろう…。俺は先生の幸せを強く願った。
―――次回、お遊戯会
※この教育実習生編は半分以上実話です
10話記念で質問あれば可能な範囲で答えます。
あと話のストック切れたので不定期投稿になります




