表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界コンニビ1号店  作者: 音音
第1部 世界は飢えている

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/8

痺れ芋⑤

 

(罪悪感が酷い……)

 オムレツを食べ進める二人の様子にミサキの心がチクチクと痛む。

(これは鶏の玉子だから。ピーが鶏とは限らないから)


 鶏肉を食べられるかと聞く勇気のなかったミサキが、遠回しに玉子を食べられるか聞くことに逃げたともいえるメニューにみえるが、実際は帰ってきて二人を台所に通してみれば、おばあちゃんが誰からか頂いたであろう箱に入った大量の玉子が蓋が開けられ目に見える形でテーブルの上にあったため、聞かないわけにはいかなかったといった方が正しい。

 大量の玉子をみた二人の驚いたような空気を、ミサキは感じ取り、同胞の卵では!? などと抗議されたらどうしようとハラハラしたが、二重に鳴った腹の音に力が抜ける。

 ミサキが視線を二人に向けると、ピーとヤーモは熱い眼差しで玉子を見つめ、ゴクリと唾を飲み込んでいる。

 再び二重に鳴った腹の音。

 言外に訴えてくる食べたいという意思表示を前に、ここで口にできる言葉は『玉子食べる?』といった趣旨のものしかない。

 2人の種族が卵生だったとしても、きっと卵のサイズは大きいとミサキが鼓舞して聞いた結果、キラキラと明るい表情で食い気味に頷かれためオムレツに決めたのだが……。


(オムレツだけで足りるかな? 足りないよね)


 一人前玉子5個を使ったオムレツではあるが、具など入れていないプレーンオムレツ。

 先に作ったオムレツは熱いのが苦手だというヤーモの分で、出来たて熱々はピーの分である。

 二人分が出来上がるのを待って、一緒に食べ始めたピーとヤーモの食べ方は、ケチャップに興奮しながら食べているためお腹が空いているといっても、どこかゆっくりだ。ときどき口の端についたケチャップを指で拭い舐めとりながら食べる姿は可愛らしく見える。

(おばあちゃんにもお母さんにも、1人前のオムレツに玉子5個は使いすぎって言われるけど、ケチャップをたっぷりかけてガッツリ食べたほうが、食べた感も満足度も違うよね)


 オムレツと一緒に作り置きしていたサラスパもミサキは別皿で出したのだが、見た瞬間に2人が顔をひきつらせた。

 あれっ? と思ったミサキは、2人に食べられるものだとアピールするように自分で一口食べてから確認すると、2人に顔を青ざめさせて首を振られたので、サラダ代わりにと、居間のテーブルの上から庭で取れたミカンが山盛りに入ったザルを持ってきて二人の前に出した。


(サラスパ、匂いと形が無理ってことだけど……)

 おばあちゃんが野菜の水分が出て、少し水っぽくなったサラスパが好きなので、ミサキの作るサラスパはパスタよりきゅうりや人参、玉ねぎなどの野菜が多く入っている。

 ハムは入れていないが、半分にカットしたミニトマトと、とうもろこしも入っているので、彩りも鮮やかだ。

(ワンゾウとワンタはポテトサラダ大丈夫だったから、この世界の人たちがマヨネーズがだめってわけじゃないと思うんだけど…… でも、考えられるのはマヨネーズのお酢の匂いぐらいなんだよね)

 ワンゾウが梅干しを腐ってると評したように、酸っぱい匂いを感じて腐敗と考えたのかな。とミサキは考えるが、市販のマヨネーズをそのまま使っただけで、追加にお酢を加えたわけでもない。

 爬虫類と鳥よりも、犬のが嗅覚が良いと思うのだけれど、違うのだろうかと考えながら、他にすぐに出せるものはないかとミサキは冷凍庫の中をのぞき込む。


(豚挽肉のそぼろがあったっけ)

「お肉、大丈夫? 食べられる?」

 サラスパの件があったため、ミサキが念のため二人に確認をすると、二人とも大きく頷く。

「食べたいです。女神様」

「女神様、おれも食べたいです」


 もっと早くに豚挽肉のそぼろのことを思い出せば、玉子と豚挽肉のそぼろの二食丼にできたな。とミサキは考えながら、レンジで豚挽肉のそぼろを温め、その間にどんぶりにご飯をよそう。

 途中、二人のコップにおかわりの麦茶を注いだあと、ちょうど温め終わった豚挽肉のそぼろをのせて二人にだす。

(見事なまでに彩りがない茶色一色だけど、スピード重視ということで)

 心の中で自分に対して言い訳をしながら、次にミサキは玄米をどうしようかと考える。

 二人に玄米の食べ方の見本として、玄米ご飯を炊きたいところなのだが、炊飯器に玄米モードはあっても、本能的に白米と違って浸水しておかないと駄目な予感をミサキはビシビシと感じるのである。


(リゾットみたいに作ってみる? でもなぁ、おにぎりって偉大だとおもうのよ。二人に持たせるにしてもおにぎりのがたくさん持たせてあげられるし。でも、玄米を持たせることを考えると、村で作れる料理で持たせてあげた方がいいのかな?)


「ピーとヤーモのところで、ご飯炊くことってできるかな? いま食べ始めた茶色いお肉の下にある白い粒なんだけど」


 ミサキの言葉に食べる手を止めて二人は顔を見合わせたあと、首を傾げた。

「たくってなんだ?」

 ピーの言葉に、そこからか。とミサキは、どう説明するか考えて、最初から説明した方が早いと判断した。

「まず、玄米を洗って、水に浸しておくのね」

 ミサキの説明に、二人は食べる手を止めて、こそこそと話し出す。


「あらうってなんだ?」

「クリミストの魔法をかけるってことじゃないか?」

「泥もついていないのにか?」

「それよりも、水に浸してどうするんだ?」

「だよな。水に浸したら粉にしやすくなるとか?」


 疑問符ばかりの二人の会話を、ミサキは止めた。

「食べ終わったら実演するね」


(問題は、この米俵の開け方よね)

 10キロサイズの米俵を前に、ミサキは開け方を考えてみるが、藁の隙間から手を突っ込んで取り出すか、ハサミか鎌で、藁を切って穴を開ける方法しか思い浮かばない。

(開けるの失敗してこぼれたときのこと考えると、風呂敷かレジャーシートの上で開けた方が間違いないよね。素直に考えれば、蓋のようにどちらかの丸い部分が外れるんだと思うけど)

 と、ミサキは考えていたのだが、結果は米俵の側面の藁を計量カップが入る大きさ分キッチン鋏で切って中身をとり出すことになった。

 とりあえず、二人が食べている間に、少しでも玄米に水を吸わせたいと考えたミサキは、開け方を試行錯誤する時間を惜しんで玄米を米俵から取り出すことにしたのだ。

 だからといって、それでも玄米を浸水する時間としては短いと考えて、ミサキは洗米したあとにポットの中の少しぬるくなったお湯をボウルにいれてみた。


(スマホでサクッと検索できれば楽なのになぁ……)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ