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異世界コンニビ1号店  作者: 音音
第1部 世界は飢えている

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6/8

痺れ芋④

 


 クイズ番組の記憶とは別に保健室にあった木槌と保健室のおばあちゃん先生のほんわかとした笑顔がミサキの記憶の底から一緒に引っ張り出されてくる。

(確か―― 脚気だっけ? 軍人さんがどうのこうの言っていたような?)

 ポンとやると足が上がるのよ。と判断方法と原因とを含めて先生が軽く説明してくれたのをミサキは思い出すが、上がるといいのか駄目なのかまでは思い出せないと首を傾げつつ、でもテレビでは……と考え込む。

(閉め切った暗い部屋で姿を隠すようにシーツを被っていた気がするんだけどな)

 それでも二人が話す症状で、シーツを被って姿を隠す理由がわからないとミサキは思うものの、体が弱れば心も弱るからかな? と一人納得する。

(保健の先生は玄米ご飯にすることで問題を解決したみたいなことを言っていた気がするから、このまま米俵を持って行ってもらえば良いかな。―― 米俵の開け方わからないけど)

 ミサキは、構造を知らないものが訳のわからない自分の力で作られるのはちょっと不気味だとは思うものの『ここは異世界だし』と考えれば納得できてしまう反面、知らないまま意図しない使い方をしてしまうことを考えると、他にもできることがないか後で検証しておこうと考える。


「たぶん玄米―― この中の食べ物を食べれば、さっき言っていた病気はよくなると思うよ」

(ここで米俵を渡しても一時的な解決。ワンゾウがもう来られないだろうことを考えると、ピーとヤーモも同じだと思った方がいいよね)


 ミサキの視界に入ったのは、まだ刈り取っていない稲。

 ミサキが通っていた学校では毎年田植え体験が行われていたため、田植えまでにどんなことをするのかの説明はミサキも毎年聞いていたので記憶に残っている。ただ、それをピーとヤーモが村に帰ってやることは無理だろうというのもわかっていた。

(消毒された種籾がとか聞いたけど、さすがに消毒の仕方なんてわからない。説明を受けたときに見た種籾を播くための箱とかもないし、それに使える肥料や土も、さすがにうちのお店じゃ売っていない)

 田植えはミサキたちが泥に汚れながら苗を手植えしたが、そこに至るまでに説明されたのは現代農業。

(あー。それ以前の問題かぁ。田んぼになるものがなければだめだし、ワンゾウの話だと、今って日照り続きみたいな感じなんだよね? だったらワンゾウたちと同じようにサツマイモが良いのかな)

 幸い、サツマイモはまだ沢山ある上、葉もツルも青々としているので、苗も十分確保できるが、ミサキは果たしてサツマイモが玄米の栄養の代わりになるのかが分からなかった。

 ワンゾウが欲していたのは食べ物だが、ピーとヤーモが欲しているのは食べ物であることと同時に病気を治すのに必要な栄養素である。

(スマホが使えれば、すぐ検索して調べられるのになぁ)

 電波が繋がる状況下は限られていて、メールを送るのも一苦労なため、スマホで調べることができるとしたら夜中の2時頃に圏内になるのを待ってである。


 ミサキが考え込んでいる様子を、ピーとヤーモは怯えながら見ていた。

 女神様が自分たちの本当の罪を見ようとしているのではないかと。

 自分たちの本当の罪は領主に毒を売ったことではない。

 ならば本当の罪とは何かと尋ねられても、ピーもヤーモも、村の誰一人として分からないのだから、悔いようがないのだ。

 ただ、自分たちの仲間が、海の女神の罰を与えられたというだけで。


「ねぇ。二人の村に、川とかから水を引き込んで溜めることができる畑とかある」

 日照りとはいえ、川に水は流れているだろうと考えての言葉であるが、ピーとヤーモはびくりと体を揺らして、首を振った。

「近くに川はないです」

 ―― 前の村の場所ならあった。という言葉をヤーモは飲み込む。

「稼ぎに出る前に、井戸は涸れてました。沼になら水はありますが…… 泥水で……」


 ピーの言葉に、ミサキは可能性を見つける。

(弥生時代とかって直播きしてたよね?)

 ポン! と浮かんだのは社会の教科書の挿絵。

(いけるかな?)


「ねぇ、その沼って深いの?」

「女神様。すみません、入ったことはないので深さはわからないです。でも、涼しくなる頃に干上がった時は沼の縁よりこれ位い下に地面があります」

 ピーは自分の足のふくらはぎの真ん中あたりを指さし、あたりに空腹を告げる音が鳴り響いた。


「気がつかなくて、ごめんね。ご飯を食べながら話そう」

 へらりとミサキは笑いながら、唐揚げを出しても大丈夫かどうかを、どうやって聞き出そうか考える。

(ピーさん鳥だけど、鶏肉食べますかとは聞けないよなぁ。すぐに出せるおかず、唐揚げ以外だと何があるだろう?)






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