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異世界コンニビ1号店  作者: 音音
第1部 世界は飢えている

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12/13

痺れ芋⑩

 

 洗浄魔法のクリミストを使うと白米になってしまうので、洗米もしないで粉にすることをミサキは決断した。

(なんか糠くさくなる気もするけど、玄米であることが重要なんだもん。これが良薬は口に苦しってやつだよね)

 ミサキは自分の中で洗米しない理由を見つけて納得するが、おばあちゃんが聞いていれば『ミサキ、それはちょっと違うのじゃないかしらねぇ』と言われただろう。


 ピーとヤーモに玄米を碾いてもらっている間に、村に着いてすぐ食べられるものもあった方がいいだろうと、ミサキは持っていってもらう料理の準備を始めた。

 冷凍庫に保存しておいた豚こまをレンジで解凍している間に、ピーとヤーモに使う予定でいた調味料を念のために確認してもらうと、チューブのすりおろしニンニクに首を振られたので、生姜も使わない方が無難かなとミサキは冷蔵庫に戻す。

 醤油は問題なく、砂糖と日本酒には興奮された。

 ボールの中に醤油と砂糖と日本酒を入れた後に、解凍した豚こまを入れて揉み込むと、別のボールに片栗粉を一袋。使いかけのため、使いたい分量としては少し足りない。

(片栗粉は…… もう、無いな。お店の方にも無かったよね。小麦粉のが多めになるけど仕方ないか)

 豚の唐揚げは薄く揚げてカリカリの方がミサキは大好きではあるが、ちょっとしっとりしたのも好きである。

 軽く片栗粉と小麦粉を混ぜると揚げ油を温め始める。温まるまでの間に天ぷらバットを出すと、広げた粉を軽くつけていく。

(天ぷら以外の揚げ物のせても天ぷらバット?)

 天ぷら以外のものを揚げるたびにミサキが毎回思う疑問である。

 ミサキが豚の唐揚げは薄い方が好きなので、鶏唐揚げと比べると豚こまを軽く広げながら揚げていることもあって揚げ時間は短い。

 天ぷらバットに積み上がった豚の唐揚げにミサキは満足する。


 どれくらい玄米が碾けたかとミサキはピーとヤーモの手元を覗き込む。

(まぁ……そうだよね)

 玄米を粉に牽けてはいるが、団子を作るにはまだまだ足りない。

 作ったとしても、少ししか作れない。


「やっぱり時間がかかるよねぇ」

 どうしようかと考えていると、ピーが躊躇うように口にする。

「女神様がよければ、風魔法で粉にできますが」

「え? 風魔法?」


「はい。ただ、周りに飛び散るので無駄になるのがでるのと」

(あー。だから、痺れ芋を粉にするのに使ったのが、ヤーモ自作の石臼(ウッス)だったのか)


「ときどき爆発します」


「…… ん? 爆発?」

 思わずミサキは聞き返した。

「はい。なので粉碾き場は、飛び散った粉も集められるよう石造りの箱みたいな建物で爆発しても大丈夫なように街外れに作られています」

「え、怖いね」

 中で風魔法を使っている人の安否がミサキは気になったが、ピーの口にした爆発する理由に意識がそれて質問することなく終わった。

「風の精霊の悪戯で爆発するって話です」

「精霊っているの?」

(異世界ってなれば魔法と精霊は鉄板ネタだよね)

 ちょとウキウキしながらミサキは確認したが、淡々とした答えが返ってくる。

「見たことないです」

 ピーはヤーモに視線を向ける。

「おれも見たことないです」


 微妙な沈黙が落ちた。


(爆発されたらさすがに困るんだけど…… 爆発の理由が精霊だっていうなら大丈夫かな? ここで精霊見たことないし)

 季節も何もかもを無視して実る果物や野菜。そして今回の米を考えればミサキのために爆発はしないような気がすると、魔法で粉にするのをミサキは決断する。


「とりあえず、家の中だと掃除が大変だから、外でやろう。粉にしたものを入れるのは袋で大丈夫?」







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