痺れ芋⑪
(まさか、全身粉まみれになるとは思わなかった)
玄米を粉にするのに、ピーに外で風魔法を使ってもらった結果、三人とも全身粉まみれ。
ピーに言われていた通り粉が周りに飛びまくった結果だが、ミサキはもちろん、ぴーとヤーモもここまで粉が舞い散るとは考えてもみなかったので、粉にし終わったあと、少し放心状態だった。
ミサキは全身粉まみれになったことが理由で放心し、ピーとヤーモは、無駄にしてしまった量が理由で放心と理由はことなったが。
(もっと、きな粉のような色になるかと思ったけど、意外に白い。
でも、真っ白ってわけではないから玄米を粉にしたもので間違いないよね)
ミサキは袋の中の粉を覗き込み、予想と違う色に、少し驚きながらも無意識に服の裾を払う。
ミサキとしてはクリミストの魔法を体験できたのは嬉しいが、魔法で綺麗にすることに慣れていないせいだろうか、感覚的にスッキリした気分にならない。
頭では綺麗になっているのはわかっているのだが、どこかに粉がついているような気になってしまって、なんとなく服に付いた粉を払い落とすように手が動いてしまう。
「せっかくだから、石臼で碾いたのは別に作ってみようか。ちょっと、違いも気になるし」
石臼で碾いた方は、魔法で粉にしたものより、ちょっとだけ茶色い感じだ。
台所に戻ると、まずは沢山ある風魔法で粉にしたほうをボウルの半分位まで入れてみる。
(水? …… お湯… 熱湯だっけ?)
おばあちゃんとの団子作りを、ミサキは一生懸命思い出す。
(うん。湯気が出てた気がする。なんか凄い熱かったような気もするし、違っていてもお湯は冷めれば水だから、お湯にしとけば間違いないよね)
ミサキはヤカンに半分位水をいれると火にかけるのと同時に、鍋に水を張って団子を茹でるためのお湯も沸かし始める。
(問題は、どれくらい入れるかだよね。少しずついれてみて調節で良いのかな。こねて柔らかく……)
耳たぶぐらいの固さだよ。と、おばあちゃんの声が聞こえた気がして、思わずミサキは周りを見回した。
「女神様?」
「なにかお手伝いすることは?」
「いや、うん。大丈夫」
(茹で上がったらすぐに食べちゃえば、水にさらさなくても良いよね。水節約ってことで。
問題はさぁ…… 味付けだよね。
味付けしなくても不味くはないと思うけど……)
味付けされない団子が、ミサキにはなかなか受け入れがたい。
出来上がった団子を前に、沈黙が降りる。
(ちゃんと団子になった。なったけど、やっぱり味付けは欲しいよなぁ……)
食べてみれば、あまりぬか臭くもなく、おばあちゃんと作る団子より少し黄色みががっている様に見えるだけで、味はそんなに変わりがない。
ただし、普段から団子といえばみたらしに、あんこ団子。磯辺だったりと、しっかり味をつけたものを食べているので何個も食べたいとは思わなかったミサキは、二人の村で味付けに使えるもので育てられるものはないかと考える。
(たぶん畑がほとんど無いんだよね)
ピーとヤーモの話を聞いていると、ミサキはそうなのかなと感じた。
ワンゾウは作物がとれない話をしたが、ピーとヤーモが話すのは、枯れていない植物に水をあげているという話だけ。
(畑を作るとこからってなるとなぁ〜)
次に来れる可能性がほぼゼロなことを考えると、確実なものを持たせたいとミサキは悩む。
一方、ピーとヤーモは別の理由で沈黙していた。
二人はどちらがミサキに伝えるのか、視線で押し付け合い、折れたのはヤーモだった。
「女神様。水もなんですが…… いや、水はもしかするとなんとかなるかもしれないのですが、村に生き渡るほど作るのに茹でるだけの薪がないです」
何をもたせれば良いのかと悩むミサキは、ヤーモにかけられた言葉に、思わず目元を覆った。
(いや、なんかさ、ワンゾウのとこより色々と詰み過ぎじゃない?)




