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トラブルメイカー -To Love Maker-  作者: TAMA-RUN
131/167

#131 ボーイ・ミーツ・ガール 15

夢は、いつか覚めてしまうもの


目覚めた時、自分の中に残るもの

その夢は、良い夢だったのだろうか

それとも・・・?


すっかり夜も更けた校庭のパーティー会場で

ひっきりなしに歓声が飛び交う


それぞれが思い思いの楽しい夜を過ごしているようだ


そんな様子を、遠目から眺めている

キラキラと輝くみんなの楽しそうな顔を心に焼き付けておこう


「わたしの望み、叶うかな・・・?」

誰にでもなく呟いていた


「おまえがそれを信じるなら、な」

気付けば彼が傍に居た


「おまえ、屋上ここ好きだよな」

一緒になってみんなの居る校庭を見下ろす


「よく独りで居たもんな」

思い出しながら笑う


「知ってたの?」

意外といえば意外


「俺も良く来てたからな」

ここは、俺だけが知っている『秘密の場所』だと思っていた


「ここから観る風景せかいは、最高だもんな」


時々、世界が狭く感じる

自分以外に誰も居ないんじゃないかと思ってしまう


だけど、ここに来れば

いろんな人の息吹が見える


空に見える遠い月も

空を流れる雲の速さも

空に舞う鳥たちの羽ばたきも

大地に生きる者たちの息吹だって


ここからなら、全部飛び込んでくる


そして俺は、理解する

『俺は、独りじゃない』


世界は、沢山の思いで溢れてる


「おまえは、ここで何が観えたんだ?」

「わたしに観えたのは『キラメキ』かな?」

「キラメキ・・・?」

不思議そうに呟く


「私が欲しいものを、ここではみんなが持ってる」

「わたしは、それが羨ましかったの」

寂しそうに言葉を紡ぐ


「でもね、それは違ってたの」

「・・・・」

「みんなはキラメキを持っているんじゃない」

その表情かおは、嬉しそうだ


「キラメキを探してるんだって」

「わたしと同じだって」


教えてくれたのは、いつでも笑って背中を押してくれた彼女

ひたむきに好きな人を想う彼女『真由美ちゃん』


教えてくれたのは、一生懸命に皆を想う彼女

いつでも、みんなのために駆けまわる彼女『蘭ちゃん』


教えてくれたのは、強く優しく見守る彼女

常に広い視野で物事を見つめる彼女『月乃ちゃん』


教えてくれたのは、キラメキを届けてくれた彼女

いつでも楽しそうに唄っている彼女『春香ちゃん』


みんな、みんなわたしと同じ

いつだってキラメキを探してる


「それで、見つけたのか?」

「みつけたよ」

ゆっくりと背を向けて言う


「だからね・・・」

溢れる感情を必死に抑える


「だから、もう大丈夫・・・!」

自分に言い聞かせる


「そうか」

安心した


「わたし・・・いくね」

自分の決心が揺らがないように


「ゆうきちゃん!」

いつの間にか真由美がそこに居た

何かを感じ居ても立っても居られなくなったんだろう


「真由美ちゃんも、想い伝わるといいね」

今度は、そんな彼女の背中を押す


「ゆうきさん・・・!」

必死に涙をこらえて笑っている


「蘭ちゃんは、いつだって笑ってる方がいいよ」

誰でもその笑顔に癒される


「・・・・・行くの?」

何も言わないけれど、その眼は私を勇気付けてくれる


その眼を、真っ直ぐに見つめ頷いた


「あなたとの勝負は、預けておくわ・・・だから私は唄い続ける!」

これからも、たくさんのキラメキを振りまいて唄うのだろう


「ありがとね」

たくさんの出逢いが、わたしの欲しかったものをくれた

とても、とても大事な思い出


「そういえば、聞いていなかったな?」

改まって尋ねてきた


「本当の名前、教えてくれよ『ゆうき』」

「初めて、そう呼んでくれたね・・・」


今まで、こいつの名前を口にすることはしなかった

同じ名前だったからだけじゃない


「わたしの名前はね・・・」

そっと彼に耳打ちする


名前を呼ばなかったのは

本当の名前で呼びたかったから


そうすることで

彼女が、自分をみつけられたら


でも、今ならその名前を呼べる

彼女は自分の意思で、前に進むことを決めたんだから


「みんな、またね!!」

振り向いたその顔には涙が溢れそうになっていた

でも、その表情かおに悲しみは無い


「またな、ゆうき」

そんな彼女を笑顔で見送ってやる


結城音亜ゆうきねあ・・・!」


その名を忘れないように

その名を心に刻むように

叫ぶように、その名を呼んだ


自分の決意に自信を持ち

自分の出逢いを喜び


本当の自分に伝えるために

彼女は、せいいっぱいの笑顔で約束した


「またね」

言葉と共に、一陣の風が吹いた


さっきまでそこに居た存在は無く

その空からは、ゆっくりと雪が舞い降りてきた


クリスマスに雪が降ると、願いが叶うんだって―


「わたしの願い・・・叶ったよ・・・」

雪の中、かき消えそうにそんな声が聴こえた


「またな」


空を見上げて、約束を交わそう

俺たちはきっとまた逢えるから・・・



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