#128 ボーイ・ミーツ・ガール 12
君は、選ばなければならない
その道の先に待つのは
『困難と充実の未来』か
『霧中の迷走と安息』か
その手にできるのは、どちらか一つ
かつての選択は
虚構の結末と犠牲の始まりを得て
その全ては、新たな世界を産み落とした
さて、今回の君は
どちらを選ぶのだろうな・・・?
夢を見た
全てを奪われ、泣きじゃくっている一人の少年
思い出の詰まったおもちゃ箱も
一緒に撮った記念の写真も
そして、交わしたはずの約束も
結局、みんなで過ごすという約束をすっぽかした俺は
一人街中を、うろついていた
曖昧な感情を燻ぶらせながら
わずかに残る想いを頼りにして
どこかで出逢ったはずの
名前も知らない『誰か』を探して
『優ちゃんの、バカ・・・』
そんなメールを、苦笑いしながらスマホを仕舞う
「バカ、なんだろうな俺・・・」
自分の行動の衝動さえも理解できず
一緒に居てくれるものを心配させている
それで、何を得るというのだろう?
さらに数日を得て
俺たちは、お互いに顔を合わせることが無くなっていた
今まで、部屋の窓を覗けば其処に居た筈なのに
全てを遮断したその窓は
どんなに手を伸ばしても、触れることが出来ないような気にさせられる
「素直に忘れていれば、こないな想いせんで良かったのにな」
いつから其処に居たのだろう
部屋のベッドに腰かけて、呆れたようにため息をつく
「オマエ・・・いつの間に!?」
その姿は、小さな少女
しかし、その手に携えた大きな鎌が
彼女の存在を異質な者と主張している
「一つ、チャンスをやるわ」
人差し指を揺らしながらそう言った彼女は
何かを期待するような笑みを浮かべている
「チャンス?」
「せや」
「いずれ来る困難を受け入れて、前に進むか」
ゆっくりと瞳を閉じながら言う
「そこに留まって、安住を得るかや」
真っ直ぐに優気を見据える
「どういう意味だよ?」
さすがに意味が解らない
「アンタは一度、選択した」
「もし、それとは違う選択を選んだ時」
「ちょっと待て!?」
聞捨てならない事を言われて、言葉に割り込む
「選択したって、何をだよ?」
当然の疑問
「決まってるやろ」
「アンタの『未来』や」
手にした鎌を首元に突きつける
「そんな選択した覚えはねぇよ!?」
「アンタが意識しなくても、選択はされたんや」
「そして、今の現状がその結果や」
「そんな現状、納得できるか!」
彼女に詰め寄って叫ぶ
「だから、チャンスをやる言うとんのや」
真っ直ぐに睨み返す
「アンタの行動そのものが、この世界の未来を決めるんや!」
「なんだよ、それ・・・」
物々しい言いぶりの割に、実感はない
「ともかく、その部屋からとっとと出るんやね」
「もう、時間は残っていないんやで?」
その言葉を残し、彼女は居なくなっていた
「俺が世界を変える・・・?」
正直言って、自体が呑み込めていない
どこかに引っかかるこの感情が何なのかを、俺は知りたいと思った
暫く躊躇していたものの、意を決してドアノブを回した




