#126 ボーイ・ミーツ・ガール 10
今日も朝はやってくる
いつもと変わらない、同じ日常の朝
「おはようございまぁ~す!」
朝食の準備をしているおばさまに挨拶をする
「あら、おはよう真由美ちゃん!今日も早いのねぇ~?」
こんないい子に、毎朝起こしてもらうあの子が不甲斐ないわ・・・
「優ちゃ~ん?朝だよ~!」
いつものように部屋の扉をノックする
「・・・・・んあ?」
その声を、聴きながら起き上がる
そんな日常
それが、俺たちが送ってきた日常だ
「・・・・・」
「どしたの?」
何か考え込んでいるような彼に尋ねる
「何か、何か・・・」
何だろう?
どこかで違和感を覚える
「みんなに会うのも久しぶりだよね~」
くるりと回りながら楽しそうに言う
「そうだな」
そんな言葉も、どこか遠い事のように思える
冬休みを終えて
俺たちは、高校生最後の学校生活を迎えた
みんなそれぞれの将来を決め
そのために一生懸命に進む
俺は・・・
「俺は・・・どうしたいんだろうな・・・」
誰にでもなくつぶやく
「優ちゃん!」
真由美の声が思考を遮る
「なんだ?」
「今日、みんなで遊びに行こう!!」
「・・・・・」
「嫌だった?」
さみしそうな顔で言う
「いや、そんなことは無いぞ」
その表情が、誰かの影と重なる
いつもと同じ朝
いつもと同じ道
いつもと同じ日々
それなのに
何かが引っ掛かる
ふと、誰かと擦れ違った気がした
長い髪の香りが鼻をくすぐる
「・・・!?」
釣られて振り返ってみても誰もいない
だけど、その香りは
どこか懐かしく、愛おしい
『またな』
いつか交わした言葉が聴こえた気がした
「優ちゃんったら!!」
「ぐはっ!?」
急に、引っ張られる
「いつまでもそんなとこに居たら、遅刻しちゃうよ!?」
そのまま手を引いて歩きだす
「ちょ・・・引っ張るなよ!?」
転ばないように必死に合わせる
「全くお前らは・・・」
口に出して違和感を覚える
「お前ら・・・?」
何だろう・・・
なにかとても大事なことを思い出せない
「ほら!行くよ~っ」
いつもと変わらない日常
これからも変わらない日常
それは、これまでも・・・・?
その思いは、むくむくと違和感を増大させていく
『何かが足りない』
俺のどこかで生まれた違和感
「なぁ?」
不意に真由美に尋ねてみた
「アイツはどこ行ったんだ?」
「・・・だれ?」
当然、真由美には意図が伝わるわけもなく
不思議そうに首をかしげるだけだった




