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モンスターお役所~モンスターさんたちにも生きる権利はあると思うんです~  作者: リラックス夢土


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75 お母さんとの再会




 気付くと私の前にはモンスター世界側のダンジョンの入り口があった。

 まずは二つの世界が繋がっているこのダンジョンを通って人間世界に行かないといけない。



 えっと、ダンジョンの道は最初にトカゲもどきさんたちが教えてくれた道順を逆に辿ればいいんだよね。

 自信はないけどなんとかなるよね。



「あれ? お姉ちゃん。こんなところで何をしてるの?」



 その声に私は振り向いた。

 そこには私をダンジョン内で「迷子」の人型モンスターだと思ってこのモンスター世界に連れて来てくれたトカゲもどきさんとその時に「ヨロゴン」と呼ばれていた鎧のモンスターさんがいた。



「あ、あなたたちはあの時の。あの時は私を案内してくれてありがとうございました」



 私はトカゲもどきさんたちに頭を下げてお礼を言った。

 あの時にこのトカゲもどきさんたちが私を助けてくれなかったらモンスターお役所でも働けなかったし妖月様とも会えなかった。

 私の心には感謝しかない。



「いいってことよ。でも今日はどうしたの?もしかしてダンジョンに入る気なの?」



 私は一瞬躊躇したが頷いた。



「はい。どうしても人間の世界に行かないといけなくて」


「人間の世界? でも俺たちダンジョン係の者でも全員ダンジョン内から退避するように命令が来てるからダメだよ」


「それは人間の世界とこのモンスター世界が切り離されるからですか?」


「お姉ちゃん、よく知ってるね。その通りさ。だからお姉ちゃんも危ないから入っちゃダメだよ」



 トカゲもどきさんがそう言ってくれるが私は行かないといけない。



「すみません! 黙ってたんですけど私は「人間」なんです。だからどうしてもこの二つの世界が離れる前に一度人間の世界に行く必要があるんです」


「え? 人間?」



 トカゲもどきさんたちは驚いた顔をした。

 私はもう一度このモンスター世界に戻るつもりではいるがその時は「人間」の美音として戻ろうと考えていた。



 もう、モンスターさんたちに嘘をつきたくない。



「お姉ちゃんって人間だったのかあ」


「騙しててごめんなさい」


「別に最初に誤解したのはこっちだからお姉ちゃんが謝ることないよ。でもだからお姉ちゃんは人間の世界に戻るんだね」


「それは……私は一度人間の世界に行って家族や友達に別れの言葉を言ったらこのモンスター世界に戻るつもりです」



 私は強い眼差しでトカゲもどきさんに言った。



「え? お姉ちゃんは人間なのにモンスター世界で生きることにするの?」


「はい。でも最後にお母さんにはちゃんと話しておきたくて。だから今からダンジョンを抜けようと思ってます」



 トカゲもどきさんは少し黙っていたが私は時間がないのでダンジョンに入ろうとした。



「ちょっと待って! お姉ちゃん! それなら人間世界の出入り口までの近道を教えてあげるよ!」


「え?」



 私はその言葉に振り買ってトカゲもどきさんを見た。



「これでも伊達にダンジョン係をしてないからね。案内してあげる」


「でも、本当にいいんですか?」



 ダンジョンの中の道をうろ覚えにしか覚えていない私にはとても助かる話だ。

 でも二つの世界が離れようとしている時にダンジョンに入るのは危険なことだ。

 トカゲもどきさんに何かあったら大変なことになる。



「今、ダンジョンに入るのは危険なんじゃ……」


「お姉ちゃんはモンスターお役所で働いてるんでしょ?」


「え? はい。あの後採用されて今はモンスターお役所で働いています」


「それなら俺たちと「仲間」じゃない。「仲間」を助けるのは当たり前じゃん」



 その言葉に私は胸が熱くなった。

 ここにも人間の私を「仲間」と言ってくれるモンスターさんがいる。

 やはり「人間」か「モンスター」かなんて些細な違いでしかないんだ。



「じゃあ、お願いできますか?」


「任せておいて! じゃあ、行こう」


「わしも護衛のためについて行くぞ」



 鎧のモンスターのヨロゴンさんもそう言ってくれた。

 私ははぐれないようにトカゲもどきさんと手を繋いでダンジョンに入った。

 トカゲもどきさんの手は最初にこのダンジョンで出会った時のように温かい。

 それがモンスターさんも人間と変わらないことを私に確信させる。



 お母さんに会ったらモンスターさんたちがどんなに私を助けてくれたか話そう。

 そしたらお母さんもきっとモンスター世界で私が生きることに賛成してくれるかもしれない。



 私はそう思いながらダンジョン内を急いで通り抜けた。





 無事にダンジョンを抜けて私はトカゲもどきさんたちにお礼を言って人間世界側のダンジョンの出入り口に辿り着いた。

 そして見張りの人間の隙を見て自分の家へと急いだ。


 今はもう夜の時間だ。

 お母さんは帰宅しているはず。


 私はアパートのドアを開けて叫んだ。



「お母さん!」


「まあ! 美音じゃない」



 そこには懐かしいお母さんの姿があった。

 私は思わずお母さんに抱きついた。



「お母さん!」


「あらあらどうしたの? 美音。ちゃんと「モンスターお役所」には採用になったの?」


「うん! 私、今「モンスターお役所」で働いてるよ。あのね、お母さんにどうしても話さないといけないことがあって戻って来たの」


「そう。じゃあ、晩御飯を食べながら聞いてあげるわ」


「うん」



 私はお母さんに今までに「モンスター世界」で体験したことを話した。






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