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モンスターお役所~モンスターさんたちにも生きる権利はあると思うんです~  作者: リラックス夢土


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74 界魔の正体




「界魔さん?」



 私が界魔さんの名前を呼ぶと界魔さんはニコリと笑った。

 次の瞬間、界魔さんの身体が強烈な光に包まれた。



 うわ! 眩しい!



 思わず私は目を瞑ってしまう。

 そして恐る恐る目を開くとそこにいたのは黒髪に深緑の瞳の界魔さんではなかった。

 氷火様と同じ白髪で瞳も銀色だ。

 そして界魔さんに生えていた二本の角はない。



「え? え? 界魔さん?」



 私が驚いてその人物に声をかけるとその人物は銀色の瞳で優しく私を見つめた。



「ええ。私は界魔ですよ。ただ、私の本来の姿はこの姿なんです。そして私の本当の名前は『ツクヨミ』です」


「え? ツクヨミってこの世界を作った神様の「ツクヨミノミコト」様ですか!?」


「そうですよ」



 界魔さんは、いやツクヨミ様はそう答えた。



「神様が妖月様のお世話してたんですか!?」


「私の存在はモンスター世界では秘密なのです。知っているのは氷火と妖月だけですよ。神の私が生きてるとなると不都合なこともあるので普段は姿を変えて妖月の部下をしているのです」



 そうだったんだ。

 まさか界魔さんが神様のツクヨミ様だったなんて。



「ツクヨミ様。本来のお姿になられるとは何かするおつもりですか?」



 氷火様がツクヨミ様に尋ねる。



「ええ、そうですね。このモンスター世界と人間世界が繋がったり離れたりすることは私と「アマテラス」が決めた「ルール」なのでそれ自体を止めることはできません。ただ……」



 ツクヨミ様は私を見る。



「私は美音さんを今まで見ていて美音さんという人物に興味を覚えました」


「美音に興味だと?」



 妖月様の赤い瞳に鋭い光が宿る。



「別に妖月の心配するようなことではありませんよ。美音さんは「人間」でありながらモンスターたちと心を結びこの世界で一生懸命にモンスターのために働いてくれている。私は美音さんみたいな「人間」がこのモンスター世界で生きることで「人間」と「モンスター」の壁がなくなるのではと期待してるんです」


「では美音がモンスター世界で生きることに賛成だということか?」


「そうですよ。妖月。しかし美音さんが自分で決めたとしても母親や友達に別れも告げられないのは可哀想だと思ってね。美音さん」


「は、はい」



 私はツクヨミ様に呼ばれて返事をする。

 そしてツクヨミ様は右手を前に出した。

 その手の上に光が集まり一つの玉が出現する。

 ツクヨミ様は私に近付いて言った。



「あなたにこの玉をあげます。これは私の力が凝縮したものです。この玉を握って「モンスター世界に戻りたい」と声に出せば玉が砕けてもし二つの世界が別れた後でもあなたはモンスター世界に帰って来れる。ただし、玉の効果は一度だけ。それにこの玉の威力は今から「五日間」です」


「え? これでモンスター世界に戻れるんですか?」


「ええ。なのであなたは一度人間の世界に戻り母親と会って今後のあなたの生きる道をもう一度考えなさい。それでも「モンスター世界で生きる」ことを選択したらこの玉を使ってこの世界に戻って来なさい」



 私はツクヨミ様から玉を受け取った。

 これで私には最大五日間の時間の猶予ができた。



「まだ二つの世界が繋がっている今ならダンジョンを抜けて人間の世界に戻れます。時間は有効に使いなさい」



 この玉があれば五日以内ならモンスター世界に戻って来れる。

 ダンジョンを抜けてお母さんに会う時間もできる。



「はい! 今からすぐにダンジョンを抜けてお母さんに会って来ます。ありがとうございます! 界魔さん! あ、ツ、ツクヨミ様」


「私のことは界魔でいいですよ。さあ、急ぎなさい。ダンジョンの入り口までは私の力であなたの身体を転移させてあげましょう」



 私は妖月様を見た。

 私と妖月様の視線がぶつかる。



「妖月様。必ず戻りますから!」


「…………」



 妖月様は無言だった。

 妖月様が帰って来いと言わないのは私のことを気遣ってくれているからだ。

 私はそう確信した。



「界魔さん! ダンジョンの入り口まで私を転移させてください!」



 界魔さんは頷いた。

 その瞬間、私の身体は光に包まれた。





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