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モンスターお役所~モンスターさんたちにも生きる権利はあると思うんです~  作者: リラックス夢土


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68 父親の言葉




「当時、人間の世界とモンスター世界は繋がっていたんだ」


「今のようにですか?」


「そう。でも千年前の方がモンスターたちも比較的人間界に行く機会が多かった。でも人間たちはやはり我々を迫害した。「物の怪」と言ったりしてね」



 そういえば大昔は妖怪とか物の怪とかいうモノたちが怪異を起こしたりするから陰陽師とかいたりしたんだっけ。



 私は日本にいた時に読んだ小説とかの話を思い出す。



 あれって妖怪じゃなくてモンスターさんたちのことだったんだね。



「そんな時、妖月の母親である生粋のヴァンパイアが人間界に行った。ヴァンパイアは上級モンスターだから人の姿になれる。そして妖月の父親と出会い恋に落ちた」


「妖月様のお父様はお母様がヴァンパイアだって知ってたんですか?」


「いや、そのことは知らない。母親の女性も自分の正体を知ったら男に嫌われるかもしれないと思ったのか、ずっと黙っていた。男は先ほど話した通りその当時の天皇の一族の男だったんだ。そして二人の間に妖月が産まれた」



 そうか。妖月様のお父様は自分が好きになった人がヴァンパイアだって知らなかったのか。



「だが妖月のことを母親の女はモンスター世界で育てて父親には会わせなかった」


「え? どうしてですか?」


「妖月は人の姿にはなれるがこのとおり銀髪に赤い瞳だろ? 妖月は身体は人の姿になれたがこの髪の色と瞳の色を変えることができなかったんだ。人間の血が強かったからかもしれない」


「じゃあ、妖月様は一度もお父様には会ってないんですか?」



 私がそう訊くと氷火様は軽く息を吐き出す。



「妖月が産まれて少し経った時に再びモンスター世界と人間の世界が切り離されることになったんだ。その時に妖月は一度でいいから実の父親に会いたいと願った。完全に人間の世界との行き来ができなくなったら次に二つの世界がいつ繋がるか分からなかったからね」


「そうなんですね」


「その時に私は妖月の母親と交流を持っていて母親がいない時は私が妖月の面倒を見ていた。だから私は妖月の母親には内緒で妖月に一目実の父親を見せたいと思ったんだ。だけどそれが妖月を深く傷つけることになってしまった」



 妖月様を傷つける?

 何があったんだろう。



「妖月は当時まだ10歳前後だったと思う。私は人間の世界に行って妖月に実の父親を遠くから見せるつもりだったが実の父親を見た時に妖月は興奮したのか、その父親のすぐ前まで行って「父上」って言ってしまった。そしてその父親は妖月が見た目で人間ではないことが分かり「寄るな!化け物!」と叫んだんだ」


「そんな……」



 まだ10歳の妖月様が初めてお父様に会ったのにお父様に「化け物」って言われるなんて酷過ぎる。



「妖月の父親はそのまま逃げて行った。妖月はモンスター世界に帰って来る時に私に言ったよ。「人間なんて大嫌いだ!」ってね」


「それで妖月様は今でも人間が嫌いなんですか?」


「そうだね。それだけが原因ではないと思うが一番の原因はそれだろうね」



 それなら妖月様が人間を嫌うのもよく分かる。

 でも逆にそれが理由なら私は妖月様に人間を好きになってもらいたい。

 だって人間の血を引いてる妖月様が人間を嫌いならそれは自分のことも嫌いって言ってるのと同じだから。

 妖月様が人間を好きになれば自分を好きになるってことだもんね。



「氷火様。人間の世界とモンスター世界はまた切り離されたりするんですか?」


「ああ、今回はもう人間の世界と50年は繋がっているからね。そろそろ切り離されてもいい時期に入ってるかな」


「二つの世界を切り離すって誰かが行っているんですか?」


「う~ん、私も詳しくは知らないけどこの二つの世界を作った神の意思だったって聞いてるけど」


「そうなんですか」



 もしこのモンスター世界と人間の世界が切り離される時が来たら私はどちらかの世界を選ばないとなのかな。

 人間の世界にはお母さんがいるしモンスター世界には妖月様を始め知り合った優しいモンスターさんたちがいる。

 どっちの世界って私には選べるのかな。



 私はふとそんなことを思った。





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