64 避難誘導係
「美音さん。今、防水係の方から連絡があって美音さんに応援要員として来てもらいたいらしいんだけど行けるかな?」
「あ、はい。大丈夫です」
私はブオン係長に返事をした。
昨日、妖月様が言っていた「天嵐」についての応援要員のことに違いない。
きっと、妖月様が私の要望を聞いてくれたんだね。
「天嵐が来るって噂は本当だったのね」
キョウカ主任はそう言って窓の外を見る。
空は雨は降っていないがどんよりと曇っている。
「美音さん。天嵐の応援要員は危険なこともあるけど大丈夫?」
「はい。私にできることは何でもしたいので覚悟はできています。キョウカ主任」
「そう。気を付けてね」
キョウカ主任は心配してくれたが私の決意は変わらない。
モンスターさんたちが私を助けてくれたように私もモンスターさんたちを助けたいのだ。
「じゃあ、悪いが美音さんはこれから防水係のいる事務所に向かってくれる?」
「分かりました。ブオン係長」
「役所の一階に他の部署からの応援要員も集合しているはずだからまずはそこに行ってくれ」
「はい」
私は荷物をまとめてモンスターお役所の一階に向かった。
一階のフロアには既にたくさんのモンスターさんたちが集まっていた。
「天嵐への対応するための応援要員の方はこちらに順番に並んでください」
私はその指示通りに列に並んだ。
どうやら防水係の事務所まではみんなでバスに乗って移動するようだ。
私は指示されたバスに乗った。
すると私の隣の席のモンスターさんが声をかけてきた。
「ねえ、君は今まで天嵐の応援要員ってやったことあるの?」
「いえ、ありません。でも頑張ります」
「そう。実は僕も初めてなんだ」
「え? あなたもですか?」
私に声をかけてきたモンスターさんは髪の毛が青くてキョウカ主任と外見は似ているが身体は小さい。
人間の大きさで言えば10歳ぐらいの子供くらいの大きさしかない。
「僕の名前はカイガって言うんだけど、まだこのモンスターお役所で働き始めて一年くらいなんだ。だから天嵐の対応なんてやったことないんだよね」
「そうなんですね。あ、私の名前は美音です。私もまだモンスターお役所で働き始めてそんなに長くないんです」
「美音さんもまだモンスターお役所に勤務してそんなに経ってないのかあ。お互いに頑張ろうね」
「はい。よろしくお願いします。カイガさん」
見た目が子供のようなカイガさんが危険な仕事をするのは大変な気もするがモンスターは見た目では年齢は分からない。
でもモンスターお役所に勤務して間もないならカイガさんはまだ若いモンスターさんだろう。
それに応援要員に選ばれるならもしかしたらカイガさんには何か「特殊能力」があるのかもしれないし。
そのままバスはある建物に着いた。
建物の中に入ると今回の天嵐の対応についての説明が行われる。
「え~、今回の天嵐は今までの天嵐より大きなものという予想がされております。なので今まで被害が出ていない所にも被害が出る恐れがあるので心してかかるように」
そうか。今度の天嵐って今までより大きいのか。
う~ん、頑張って被害が出ないようにしないとね。
「では各自の担当はこちらで割り振りをしたのでそれに従って仕事をしてください」
私は自分の担当を確認する。
私の担当は「避難誘導係」だ。
避難誘導係って具体的にどんな仕事するんだろう?
「避難誘導係の担当の方はこちらに集まってください。仕事の説明をします」
私はその声でそのモンスターさんの所に行った。
さっきバスで一緒だったカイガさんもいる。
カイガさんも私と同じ「避難誘導係」なのか。
「カイガさん。カイガさんも避難誘導係なんですね?」
私はカイガさんに近付いて小声で話す。
「あ、美音さんもか。うん、一緒に頑張ろうね」
「はい」
そして私は「避難誘導係」の仕事の説明を聞いた。
「避難誘導係は災害が差し迫った地域のモンスターたちを安全な場所へと避難させるのが主な仕事です。天嵐が来ると逐一防水係の管理室から被害が出そうな地域の報せが来ます。それに基づいてモンスターたちを避難させてください」
なるほど。危険な地域のモンスターさんたちを避難させるのが仕事なのか。
「危険地域に行くこともあるので避難誘導係も十分に気を付けるように」
そうだよね。二次災害で役人モンスターさんになにかあっても困るもんね。
気を付けないと。




