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モンスターお役所~モンスターさんたちにも生きる権利はあると思うんです~  作者: リラックス夢土


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58 定年退職




「あ、あの、ここの「かき氷」って高級なんですか?」



 私は思わずキョウカ主任に尋ねた。



「そうね。ここのかき氷の「氷」は湧き水を凍らせて作った特別の品なの。私はイチゴのかき氷が好きなんだけどこのイチゴも産地にこだわった代物でね。私のお気に入りよ」



 キョウカ主任はニコリと笑って答える。



 そうなんだ。湧き水を使った特別な「氷」なんだね。

 それなら値段が高いのも分かる気がするなあ。

 でも私はお昼ご飯がかき氷だけなのはちょっと無理だからこの「ハンバーグ定食」を頼むか。



「そうなんですね。私は「ハンバーグ定食」を頼んでいいですか?」


「もちろんよ。美音さんは私のような氷鬼族じゃないんだもん。好きな物を頼んでちょうだい」



 私は店員さんに「ハンバーグ定食」を頼んだ。

 キョウカ主任は「イチゴのかき氷」だ。



「キョウカ主任はいつもこんな高級な所で食事してるんですか?」


「私は子供もいないし夫も仕事をしているからこれぐらいの贅沢はさせてもらっているわ」



 へえ、キョウカ主任は旦那さんはいるけど子供はいないんだね。



「それに私ぐらい長くモンスターお役所に勤めればそれなりにお給料も貰えるしね」


「そうなんですか?」


「ええ。美音さんも長く勤めて頑張ればお給料も多く貰えるようになるわよ」



 そうか。頑張って長くモンスターお役所に勤めれば私のお給料も上がるのか。

 それは単純に嬉しいな。



「それに私はもうすぐ定年退職だから最後の贅沢よ」


「え? 定年退職?」



 キョウカ主任の言葉に私は驚く。



 定年退職ってキョウカ主任はそんなに高齢だということなのかな。

 そもそもモンスターお役所の定年って何歳なんだろう。

 妖月様は千年近く生きてるし、確か種族によって寿命も違ったような。



「モンスターお役所の定年退職って何歳なんですか?」


「モンスターお役所では「年齢」で定年退職が決まっているわけではないわ。定年退職は自分で決めるのよ」



 え? 定年退職を自分で決める?

 どういう意味だろ?



「まずモンスターお役所に10年以上勤務していることが条件ね。その後は自分が退職したいと思う日の一年前に「定年退職願い」を提出するのよ」


「一年前に「定年退職願い」ですか?」


「そうよ。自己都合で退職願いを出してすぐに退職しちゃうと普通退職だけど、自分で一年後に退職するって決めて「定年退職願い」を出して一年後に退職すれば「定年退職」よ」


「へえ、そうなんですね。それは種族で寿命が違うからですか?」


「ええ、そうよ。私は既に「定年退職願い」を提出してあるからあと三か月もしたら退職するわ」


「え? あと三か月で退職ですか?」


「まあね」



 私はキョウカ主任と知り合っていろいろと仕事のことを教えてもらったからとても寂しい気持ちになる。



「キョウカ主任は退職したらどこかに行くんですか?」


「ええ、夫と里に帰ろうと思うの。老後はゆっくりと過ごしたいわ。定年退職すれば退職金も普通退職より多く貰えるし」



 なるほど。定年退職は普通退職より退職金が多く貰えるのか。

 でもキョウカ主任は「老後」って言ってたけどそんなに年配には見えないなあ。

 あ、でも妖月様も千年以上生きててもあんなに若い姿だもんね。



「キョウカ主任がいなくなると寂しいです」



 私は正直な気持ちを伝える。



「ありがとう、美音さん。貴女もきっと素晴らしい「役人」になれるわよ。それに頑張って5年以内に勤務評価ランキングの順位を8万位から上にしないとだから気を付けてね」


「え? それってどういう意味ですか?」


「モンスターお役所では5年間の間に勤務評価ランキングで8万位以上の成績を残さないと「無能」ってことでクビになっちゃうのよ」


「ええ! クビですか?」


「そうよ。無能な役人を雇っていても仕方ないもの」



 そうだったのか。私も頑張って評価ランキングの順位を上げないと!



 私は店員さんが持って来た「ハンバーグ定食」を食べながら自分に気合いを入れた。





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