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モンスターお役所~モンスターさんたちにも生きる権利はあると思うんです~  作者: リラックス夢土


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55 交わった血




「人間が元々何だったかですか?」


「ああ。そうだよ」



 氷火様は静かな声で答える。

 私は学校で習った「進化論」の話を思い出した。

 長い年月をかけて人類の祖先の生き物が「進化」して今の私たちになったはずだ。



「えっと。学校では人類の祖先になる生き物が長い年月をかけて「進化」して今の「人間」になったと習いましたけど……」


「う~ん、それは半分当たりで半分ハズレかな」



 え? 半分当たりで半分ハズレってどういう意味だろ?



「それってどういう意味ですか?」


「じゃあ、美音ちゃんに聞きたいんだけど、どうして人間は「進化」したんだい?」


「え? それは長い年月をかけていろんな環境や生きていく内に脳とかが発達したとか?」



 私も「進化論」などを詳しく知っているわけではない。

 自然と「進化」していったと思っていた。



「そもそもそれが間違いなんだ。「人間」の元になる生き物は確かに昔から存在したがその生き物が「進化」したのには「人間」がある「種族」と交わったからだよ」


「人間が自然環境で「進化」したんじゃなくて「人間」と他の「種族」の血が混ざったってことですか?」



 私は氷火様の言葉に驚いた。



「そうだよ。何の「種族」と混ざったかはこれを見れば分かるよ」



 氷火様はそう言って立ち上がり机に置いてあった巻き物を取ってソファに戻る。

 そして私たちの前のテーブルに巻き物を広げた。

 私は巻き物を見た。

 それは家系図のような物だ。

 そしてその家系図には私も聞いたことがある名前が書いてある。



「○○天皇、〇×天皇? これって天皇の系図ですか?」



 そこには歴代の天皇の名前が書いてある。



「そうだよ。そして重要なのはこの系図の始まりは天照大御神のような「神」から始まっているだろ?」



 氷火様の言う通り巻き物の最初に書かれているのは日本の神の名前だ。

 さっき氷火様は何の「種族」と「人間」が混ざったかこれを見れば分かると言っていた。

 もしかして「人間」と混ざった「種族」というのは……



「あ、あの、まさか「人間」と混ざった「種族」というのは……」


「そう、「神族」という「種族」だよ。これは日本人と混ざった「神族」だけど人間界には他の「神族」と混ざった人種もいるらしいね」


「それって本当なんですか!?」


「ああ。だから「人間」は「動物」と別れる存在になった。そしてそれは「モンスター」も同じなんだ」


「え? モンスターさんたちも?」


「モンスターも「神族」と「動物」が交わることで「進化」した種族なんだよ」



 その言葉で私は思い出す。

 「動物」と「モンスター」の違いは何だろうと考えたことを。



「じゃあ、「人間」も「モンスター」も「神族」の血が混ざったことで「進化」した生き物だということですか?」


「そうだよ。だから人間もモンスターも基本的には「同じ種族」と言ってもいいんだ」



 まさか「人間」と「モンスター」が同じ種族なんて。



 私はあまりの出来事に呆然としてしまった。



「大昔にはモンスターと人間は「共存」していたのだ」



 それまで黙っていた妖月様が口を開いた。



 え? 大昔には「人間」と「モンスター」は共存してたの!?



「妖月様。人間とモンスターは一緒に暮らしていたことがあるんですか?」


「ああ。そうだ」



 妖月様は何かを思い出したように苦虫を嚙み潰したような顔になる。



 あれ? でもその頃は人間もモンスターも同じ世界に存在して「共存」してたのならなぜ今は「人間界」と「モンスター世界」に分かれて住むようになってしまったんだろう。



「あの、なんで昔は同じ世界で「共存」していたのに今は住む世界が違ってしまっているんですか?」



 私は疑問をぶつけてみる。



「それはね。人間たちの方が「神族」に見た目が似ていたことが原因なんだ。より「神族」に近い「人間」たちは自分たちこそ「神の末裔」だとモンスターを迫害したんだ」



 氷火様はそう答えてくれる。



 姿が「神」に似ているから自分たちこそが「神の末裔」だと考えたの?

 ただ姿だけでモンスターさんたちを迫害したってこと?



「姿が「神」に近いってだけで人間はモンスターさんを迫害したんですか?」


「そうだよ。さっきも言ってただろ? 人間は自分と「異質なモノ」を嫌うって。姿が人間と違うってことだけで同じ「神族」の血を引いてるモンスターを迫害したのが全ての争いの始まりなんだ」


「そんな……姿が違うって言ってもモンスターさんたちも人間と同じ心も持ってるし知能だって劣っているわけじゃないのに」


「美音ちゃんの言う通りだよね。それで人間とモンスターが争うようになり「神」は争いを止めようとした」



 神様が仲裁したってことかな。



「だが争いは終わらなかった。そこで「神」は世界を二つに分けた。天照大御神の造った世界が「人間界」、月読命が造った世界が「モンスター世界」さ」



 私はハコリン荘の神社で「月読命」が祀られているのを思い出した。



 この世界を造ったのが「月読命」だったからその神様を祀っていたのか。



「世界は二つに分かれたが元の人間とモンスターが「共存」していた世界をもう一度造ることを諦めた訳じゃないんだ」



 それってまさに私が望む世界だよね。





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