49 神社
私はハコリン荘の近くの湖にやって来た。
そこは不思議な七色をした湖だった。
うわあ、七色の湖って初めて見たな。
人間の世界とは全然違うや。
湖面はまるで虹のような鮮やかさだ。
う~ん、こんな湖って人間の世界にはないからモンスター世界って一種の異世界ってことなのかな。
私はモンスター世界で生活をしてみて住んでるのはモンスターさんだけど日本とそんなに生活が大きく違うわけではないと感じていた。
車の免許を取ることもできたしモンスターお役所の仕事も基本的には普通の事務作業が多い。
でも人間の世界には無い景色や物を発見するとこのモンスター世界は人間の世界とは違うと感じる。
そこでふとまた思い出す。
人間とモンスターさんたちがダンジョンで戦っていたことを。
やっぱりモンスターさんたちが住んでる所は人間の世界とは違うからお互いに争うのかな?
自分たちと違う文化を持つ者や人種差別は日本にいた頃もあった。
人間は自分と異質なモノを排除したがる傾向がある。
モンスターさんたちの姿を見て人間が恐怖を覚えるのは理解できる。
私だって最初は「触手モンスター」や「トカゲ姿のモンスター」を見た時は怖かった。
それに実際にモンスター解析書にあるモンスターさんたちの「特殊能力」は危険で怖いモノもある。
いつかモンスターさんたちと人間が一緒に暮らせる世の中になって欲しいよね。
私はそんなことを考えながら湖の側の道を歩いていた。
すると「蛍水路」という看板を見つけた。
「蛍」ってあの夜光る蛍のことだよね。
私がその看板の方に行くと水路があってそこに光を出して飛んでいる虫がいる。
え? 今は昼間なのに「蛍」が光っているってどういうこと?
しかもその「蛍」はただ光ってるだけじゃなくて赤い色や青い色、緑の色などに光が変わる。
すごく綺麗だな。これがモンスター世界の「蛍」なんだね。
やはりこのモンスター世界は人間の世界とは違うということが分かる。
そして疑問に思う。
あれ?でもモンスターさんって見た目が大きな蝶のモンスターさんもいるけどこういう昆虫や動物とモンスターさんの違いって何なんだろう。
あ、でも人間だって生物的には「動物」になるかもだけど「人間」と「動物」を一緒に考えることってあまりないよね。
もしかしたらモンスターさんの先祖はこういった「動物」から進化したのかも。
私はなんとなく「モンスター」の先祖について考えた。
人間が進化したようにモンスターも進化したのではと。
街に帰ったら「モンスター」って何から進化したのか調べてみようかな。
そんなことを思いながらも私はこの「蛍水路」についてもハコリン荘の町の魅力としてメモを取った。
さらに歩いて行くと赤い大きな鳥居が見えて来た。
え? 鳥居があるってことはここは神社なのかな。
モンスターさんたちにも神様がいるってこと?
私のいた日本では神社があるのは珍しくないがモンスター世界に神社があるなんて思わなかった。
そもそもモンスターさんたちが崇める「神様」って誰なんだろう。
私は興味を持って神社の鳥居に近付く。
神社には他にもモンスターさんたちがいる。
私は社に行く手前に看板があるのを見つけた。
そこにはこの神社の御祭神が書いてある。
え~と、御祭神は……月読命?
あれ? これって人間界にも同じ神様がいたよね。
確か天照大御神の弟だったっけ?
私は宗教のことはあまり知らないが神社には初詣にも行くし、私の家の近所にはいくつか神社があった。
その神社の神様の中に「月読命」もあったはずだ。
モンスターさんたちが崇める神様も人間界と同じなのかな。
私は不思議な気分になったが神社にお詣りすることにした。
神社にはお賽銭箱はなく他のモンスターさんたちは社の前で頭を下げてお詣りしている。
私はそれを真似て頭を下げる。
神社内を見渡したが人間界のような「お守り」とかは売ってないようだ。
とりあえず今日の散策はここまでにしてハコリン荘に戻る。
う~ん、モンスター世界に「神様」がいるとは思わなかったなあ。
しかも人間界でも聞いたことある神様だったし。
モンスターさんたちにも宗教があるってことかな。
私は今度、時間がある時に妖月様に聞いてみようと思った。




