43 合格祝い
「受験番号17、合格」
「ありがとうございます」
やったあ! 車の免許が取れたあ。
私はゴラム教官に頭を下げて教習所の建物に戻る。
免許証は即日発行されるので私は手続きをして免許証を貰った。
妖月様に報告をしてお礼も言わないと。
屋敷に戻ると妖月様はリビングのソファに座り書類を見ていた。
「妖月様!」
「美音か。どうかしたのか?」
「車の免許が取れました! これが免許証です」
私は免許証を妖月様に見せた。
妖月様は私の免許証を見てニコリと笑う。
「確かに合格したようだな。だがこれぐらいは当然のことだ」
「はい! でも妖月様のおかげです!」
「私の?」
「妖月様が車の練習に付き合ってくれたので。忙しいのにありがとうございました」
私は妖月様に頭を下げる。
「そんなことはない。この免許は美音が努力した結果だ。もっと自分に自信を持て。お前はやればできる女なのだから」
「はい! これからもこのモンスター世界で生活できるように頑張ります!」
妖月様に「やればできる女」と言われて私は嬉しくなる。
就職浪人の時に面接試験に落ち続けていた時に私は自信を無くしていた。
でもこの世界でモンスターお役所で働いて妖月様と生活して自分に自信が戻ってきたような気がする。
「では試験を頑張った美音には私からプレゼントをやろう」
そう言って妖月様は立ち上がった。
妖月様からプレゼント? わあ! いったいなんだろう?
妖月様の後を私は付いて行った。
妖月様は屋敷を一度出て同じ敷地内にある大きな建物に向かう。
大きなシャッターがあり妖月様はスイッチを押した。
シャッターが上がり中が見える。
私はその建物の中にあった物を見て驚いた。
建物の中には整然と並べられた車があった。
その数、10台。
妖月様が普段乗っている車もあるし界魔さんが私と妖月様をモンスターお役所に送ってくれる車も置いてある。
その車の一番右側に置いてある青い車に妖月様は近付いた。
「こちらに来い、美音」
「はい」
「この青い車は今日から美音の車だ」
「え?」
この青い車が私の車?
でもどう見てもこの車は「新車」のようにしか見えないんですけど。
「この車は新車じゃないんですか?」
「ああ、そうだ。美音のために昨日納車させたばかりだ。免許の合格祝いだ。受け取れ」
「こんな高価な物はもらえません!」
教習所の費用だって妖月様に出して貰ったのに新車を貰うなんてできないよね。
妖月様の瞳に冷気が宿る。
「……私からのプレゼントはいらぬと言うのか?」
「で、でも車は高価すぎると思うんですが」
「かまわぬ。この車はそれほど高価な車ではない」
妖月様はそう言うけど車ってやっぱり値段高いに決まってる。
「それともこの車が気に入らぬのか? ならば美音の気に入る車を新しく購入するが」
ひえ!私のために車を何台も購入しちゃダメですよ!
仕方ない。ここはこの車を貰っておこう。
「いえ、妖月様。この車が気に入ったのでこの車をいただきます」
「ふむ。そうか。では今後は自由に使え」
妖月様は満足そうに笑みを浮かべる。
だけど妖月様ってこんなに車を持っていたんだね。
やっぱり妖月様はお金持ちなんだなあ。
「ちなみにこの青い車ってどれくらいの値段なんですか?」
「これは金貨150枚だ」
「え!? そんなに高いんですか?」
私の月給の10倍だよね。
「これぐらいはたいしたことではない。私が普段乗っている車は金貨1000枚だぞ」
ひえ! あの車ってそんなに高級車だったんだ!
この青い車でも金貨150枚だって思うと運転する時に緊張しそうだなあ。
でも車の免許が取れたし車もあるからこれからはもっと行動範囲が広がるよね。




