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モンスターお役所~モンスターさんたちにも生きる権利はあると思うんです~  作者: リラックス夢土


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40/76

40 処罰決定




 私の言葉に氷火様は「おや?」という顔を私に向ける。



「美音ちゃんはこの街に「ルール」があることは知っているかい?」



 声は静かだけど氷火様が放つ存在感は妖月様のようだ。

 ううん、妖月様よりも存在感は強いかもしれない。



「はい。知ってます。煽られたのは事実ですけど私はケガをしていませんし。狼モンスターさんたちが「罰」を受けるのは仕方ないにしても「処刑」は重すぎると思うんです!」



 私は一気に思っていることを氷火様にぶつけた。

 氷火様はこの街で一番偉いモンスターさんだから私が反抗して「モンスター世界から出て行け」と言われるかもしれないけど、私にはどうしても狼モンスターさんたちを「処刑」にはしたくなかった。



「なるほど。彼らのした罪は車を煽っただけではないのだよ」


「え? どういうことですか?」



 狼モンスターさんたちは「車を煽った」以外に何か犯罪を犯していたのかな。



「私や妖月のようにこの街の要職に就いている『特別な存在』がいることは知っているかい?」



 えっと、確か以前に界魔さんとかが言ってたことかな。

 妖月様は「特別な存在」だから力も強いという話だったよね。



「はい。聞いたことはあります」


「この街ではそれらの『特別な存在』に対して危害を加えたりすることは「ルール」の中でも一番やってはいけないモノなんだ。それ故にその「ルール」違反をした時の罪は重い」



 そうだったんだ。でも狼モンスターさんたちは妖月様だから車を煽ったわけじゃないし、運転していたのは私だ。妖月様じゃない。



「理由は分かりました。でも今回は運転していたのは私です。妖月様はたまたま助手席に乗っていただけです。なので狼モンスターさんたちは妖月様を煽ったわけじゃありません」



 私はそう言って氷火様を見る。

 氷火様は銀色の瞳で私を見つめる。

 その瞳はどこか冷え冷えとしていて私は知らず緊張で身体が固まる。



 でも私の言ってることは間違ってないはず。



 食堂に沈黙が流れる。

 その時間はそんなに長くなかったはずなのに私にはすごく長く感じた。

 そして氷火様はフッと笑った。



「美音ちゃんの言う通りだね。確かに今回は妖月が運転していたわけではない。だから彼らの罪は美音ちゃんが運転していた仮免許の車を煽っただけってことだね」



 氷火様の銀の瞳からは冷たい色は消えてる。



 良かったあ。分かってもらえて。



「妖月。彼らには他には前科はなかったし、今回の処分はこの街からの「追放」でいいだろ?」



 氷火様がそう言うと妖月様も渋々頷いた。



「確かに。それだけなら「追放」が適当な処分だろうな」


「じゃあ、妖月も納得したことだし今回の件はそう処理をしておくよ」



 そして氷火様は私に話かける。



「なぜ妖月が美音ちゃんを傍に置いているのか分かった気がするなあ。美音ちゃん、今度私とデートしない?」



 え? デート?

 それって本気なのかな?



「用事が済んだらもう帰れ」



 妖月様が赤い瞳で氷火様を睨む。



「おお、こわ。分かったよ、今日は帰るけど私の留守中のことも聞きたいし、後日モンスターお役所に顔を出すから」


「分かった」


「じゃあ、美音ちゃん。また今度ねえ」



 氷火様は手を振って食堂を出て行った。



 なんか氷火様って怖い感じもあるけどちゃんと私の意見も聞いてくれるし、きっといいモンスターさんなんだね。

 妖月様も厳しいことを言うけど基本的には優しいし。

 上に立つ者は優しいだけじゃダメなのは分かるけど氷火様の厳しい所は妖月様にも似ている気がする。

 もしかして妖月様の親戚とかかな?



「妖月様」


「なんだ?」


「妖月様と氷火様って親戚ですか?」


「……遠縁にはなるな」


「そうなんですね」



 私はそう言って笑顔になる。



 遠縁でも妖月様に近しい人がいて良かった。

 二人の会話でも仲が悪いとは思えなかったし。

 妖月様は完全に一人じゃない。



 そのことがなぜか私には嬉しく感じた。





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