32 モンスター不動産
私は昨夜界魔さんに今までの借金を返した。
手元には金貨が8枚残った。
金貨8枚で一人暮らしとかできるのか分からないなあ。
でもとりあえず不動産屋に行ってみよう。
私は地図を頼りに屋敷から一人で外出をした。
う~ん、一人だと思うと緊張するなあ。
街の道を歩くだけでいろんなモンスターさんたちがいる。
基本的には人型に近いモンスターさんたちが多いけど、完全な獣姿や羽で空中を飛んでいるモンスターさんたちもいる。
最初は私も恐々そのモンスターさんたちとすれ違っていたけど他のモンスターさんたちが私に何かをしてくるわけじゃない。
完全な人間の私がいてもモンスターさんたちは気にしないんだね。
まあ、モンスターお役所でも特に何も言われたことないしなあ。
そして私は目的地に着いた。
お店の看板に「モンスター不動産」と書いてある。
よし! 入ってみよう。
気合いを入れて中に入ってみた。
すると店員さんが話しかけてきた。
「いらっしゃいませ。お部屋をお探しですか?」
「あ、はい。どんな部屋があるのか見に来たんですけど……」
「そうですか。ではこちらの席にどうぞ」
店員さんは上半身は人間だが下半身は蛇のような身体をしていた。
うわ! こんなタイプのモンスターさんは初めてだな。でも言葉は丁寧だし怖いモンスターさんじゃないよね?
私が椅子に座るとその店員さんは私に訊いてくる。
「どのようなタイプのお部屋をお探しですか?」
「えっと。一人暮らしができればよくてあまり家賃が高くない所がいいです」
「お風呂なども完備していた方がいいですか?」
「はい。お風呂が付いているタイプでお願いします」
「お客様がお住みになるなら人型タイプのお部屋でいいですか?」
「はい。できればモンスターお役所の近くの部屋がいいです」
すると店員さんが何枚か紙を見せてくれる。
「こちらは部屋が一部屋ですがキッチンとお風呂も完備しているタイプです」
ふ~ん、人間の世界の1LDKみたいな感じだな。
えっと、家賃は……金貨6枚?
家賃だけで金貨6枚も使っちゃったら家具とか買えないよね。
「あのもっと安い部屋はありませんか?」
「そうですねえ。街の外れの方でしたら金貨4枚の部屋もありますが」
う~ん、街の外れだとモンスターお役所まで歩いて通うのは難しいよね。
私は車の免許持ってないし。
今回は諦めるか。もっと貯金してから一人暮らししようかな。
「そうですか。とりあえずまた出直します」
「分かりました。いつでもお待ちしております」
私はモンスター不動産のお店を出た。
でもいつまでも妖月様の世話になるのも悪いよね。
そもそも妖月様がこれ以上屋敷に私を住まわせてくれるか分からないし。
私はそう思いながらトボトボと歩いて屋敷に向かった。




