26 ベル荘到着
ドラゴンさんはある程度の高さまで上がると水平に飛び始める。
私は怖いし強い風が当たるから目を瞑っていた。
「お嬢ちゃん。目を開けて見てみなよ」
ドラゴンさんの声で私は目を開けた。
そしてドラゴンさんの背中から見える景色に驚いた。
随分高い所を飛んでいる感じを受けたが思ったより高度は高くない。
日本で飛行機に乗って窓の外を見たことあるけどその高さよりは全然低い所を飛んでいる。
そして綺麗な山並みが見える。
山は緑色や紅葉しているのか黄色や朱色の木々もある。
空の青さとのコントラストが見事だ。
「わあ! 綺麗!」
「そうだろう。私は空中を飛ぶのが仕事でもあるがやっぱり飛んでいる時が一番気持ちいいんだよ」
ドラゴンさんはそう言って私にいろいろと説明してくれる。
「今から向かう場所は山間の場所でね。年中雪が降るような山地だがその雪山を上空から見るととても綺麗なんだ」
私はドラゴンさんの話を聞いてはいたが風も強いし少しずつ寒くなってきた。
ベル荘はスキーとかできるんだもんね。雪山が近くにあるんだね。
そしてやがて前方に雪景色の山が見えてきた。
ドラゴンさんは高度を落としていく。
う~ん、やっぱり寒いな。
ちゃんと手袋とかしていて良かったあ。
やがてドラゴンさんは雪山の近くの広場に降り立った。
そこには小さな建物があって「飛行モンスター会社」と書いてある。
ここが目的地にある飛行場みたいな場所なんだね。
私は降りる時にドラゴンさんに挨拶をした。
「ありがとうございました」
「また利用しておくれ」
ドラゴンさんは大きな口を開けながら笑っている。
私はキョウカ主任と一緒に建物に入ると一人のモンスターさんが近づいてきた。
「待っていましたよ。キョウカ主任」
「これはテラン所長。お世話になります。今日は新人の子と出張に来ました。新人の美音さんです」
キョウカ主任が私をそのテラン所長というモンスターさんに紹介する。
テラン所長は白い毛が全身を包んでいるモンスターさんだ。
人型だけどパッと見た感じでは「雪男」を思わせるような姿をしている。
「初めまして。美音と申します。種族はヴァンパイア族の亜種です」
「これは可愛らしい方ですね。私はベル荘の所長のテランです。よろしく」
ふ~ん、このモンスターさんがベル荘の所長さんかあ。
寒い地方の保養所の所長だから「雪男」みたいなモンスターさんなのかなあ。
「それじゃあ、ベル荘までソリで行きましょう」
え? ソリ?
私たちが建物の外に出るとそこは雪景色だった。
そしてたくさんのソリがある。
テラン所長はその中の少し大きいソリに乗り込む。
私とキョウカ主任も荷物と一緒にソリに乗る。
ソリを引くのは馬に似たような動物だけど私の知ってる馬とは違う。
体は大きな馬だが足が六本ある。
「キョウカ主任。このソリを引く動物は何ですか?」
「ああ、これは「雪馬」というのよ。雪の中を移動する時は基本的にこの雪馬が引くソリに乗るのよ」
へえ、そうなんだ。
テラン所長は手綱を持って雪馬に合図を送るとソリは動き出した。
そしてグングンとスピードを上げる。
うわ! ソリってこんなにスピード出るんだっけ?
私は思わずソリにしがみつく。
ソリは雪道を登って行く。
登りのはずなのにすごいスピードだ。
雪馬って凄い力もあるしスピードも速いんだね。
やがて大きな建物が見えて来た。
「あそこがベル荘だよ」
テラン所長はソリを建物の入り口に着けた。
「とりあえず中に入って待ってて。ソリを置いてくるから」
「分かりました」
キョウカ主任と私はそこで降りてベル荘の入り口に立つ。
う~、やっぱり寒い。
私はブルリと体が震えるがキョウカ主任はいつもと同じような服装でコートとかも着ていない。
キョウカ主任は冷鬼族だから本当に寒さに強いんだね。
「さあ、中に入りましょう。美音さん」
「はい。キョウカ主任」
私たちはベル荘の中に入った。




