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モンスターお役所~モンスターさんたちにも生きる権利はあると思うんです~  作者: リラックス夢土


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23 モンスターサイズ




 私はモンスターお役所に出勤してミツールさんから仕事を教わっていた。



「まず、役所には予算というモノがあってね、この予算書に予算科目が書いてあるんだ」



 ミツールさんは私に分厚い予算書を見せる。



「これが予算科目だよ。収入と支出に分けてあるけど、まずは支出科目を見て」



 私はミツールさんの指差す支出科目を見る。

 そこには「光熱水費」や「通信運搬費」や「旅費」や「消耗品費」などが書いてある。



「保養所の経営はね。まず前月に来月分としてある程度のお金を施設に送る。この段階ではそのお金が何に使われるか分からない。そして当月分をそのお金を使って経営する」


「先にお金をある程度送金しておくんですね」


「そうしないと保養所で毎日かかる費用をイチイチ保養所に毎日役所から送っていたら支払いとかに間に合わないでしょ」



 そうよね。保養所って毎日お客さんが来てそれにお金がかかるんだから運営資金としてお金を前以って渡す方が効率的だよね。



「そして各保養所から次の月始めに送られたお金を何に使ったかが科目別に一覧表になって報告される。これを役所のシステムに実際に何に使ったかを入力する作業があるんだ」


「それをやるんですか?」


「うん。そうだよ。これは毎月の仕事だよ。これをやることによって予算科目の金額が超えないかどうかを常に見ておかないといけない。基本的に各科目には予算額があるからそれを超えないことが大切」


「もし予算額を超えてしまったらどうするんですか?」


「その場合は他の金額に余裕のある科目から流用する手続きをするんだけど、それはあくまで最終手段だから予算額内に抑えるようにしないとダメだよ」


「分かりました」



 私の前には四か所の保養所からの報告書類がある。



「よし、まずは一緒に入力作業をしてみよう」



 私とミツールさんはシステムの入力作業を行う。

 基本的には人間界のパソコンとあまり変わりはないが少し違うのはキーボードが大きい。



 これってかなり大きなキーボードだけどこれがここでは普通なのかな。



「ミツールさん。このキーボードって私には大きく感じるんですけどこれが普通サイズですか?」


「うん、そうだよ。美音さんは完全な人型だから大きく感じるかもだけど、人型モンスターでも手の指が大きい人は多いからそういうモンスターでも扱えるようになってるんだよ。ほら、ブオン係長を見て」



 私は少し離れた所でパソコン作業を行っているブオン係長を見る。

 確かにブオン係長は体が大きい分手も大きい。

 そしてその手で使っているパソコンのキーボードは大きい。



 そうか、ブオン係長みたいなモンスターさんでも使えるようになってるんだね。



「そうですね。ブオン係長さんは手が大きいからこれぐらい大きなキーボードじゃないと使えないですよね」


「まあね。それに触手モンスターもキーボードが小さいと扱いにくいからね。美音さんの里にはパソコンはなかったの?」



 ミツールさんの言葉に私はドキリとする。



 人間界から来たなんて言えないよね。



「ええ、私の里ではあまりパソコンは置いてなくて」


「じゃあ、美音さんはパソコンの使い方は分かる?」


「え、ええ。それは勉強したので少しなら」


「そう。分からないことがあったら訊いてね」


「ありがとうございます」



 私は素直にお礼を言う。

 パソコンは自宅にもあったから私はパソコンは使えるが、この大きなキーボードは私の手には大きすぎるのでいつもより文字を打つのに時間がかかる。



 う~ん、慣れるまで時間がかかりそう。



「それじゃあ、とりあえずこの作業が今日の仕事ね」


「分かりました。やってみます」



 私は資料を見ながら大きなキーボードに四苦八苦しながら作業を続けた。



 お役所って話には聞いてたけどやっぱり予算と決算が事務職の仕事なんだね。

 それにしても保養所経営ってけっこうお金がかかるんだなあ。



 私は資料に書かれた数字の桁に驚きながら数字を入力していった。

 入力作業が終わる頃、ブオン係長が私に声をかける。



「美音さん。実は美音さんに出張に行ってもらいたいんだけど」


「え? 出張ですか?」



 私は突然のブオン係長の言葉に驚いた。



 出張って言われても私はまだこの街も一人で歩いたことないのになあ。

 大丈夫かな。





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