17 妖月の運転
私は自分の部屋に戻って自分が持ってきた荷物を見ていた。
えっと。まずはもう少し服が欲しいよね。
モンスターお役所では必ずしもスーツ着用じゃないみたいだけど、一応それなりに役人らしい恰好はした方がいいし。
ミツールさんみたいに体が毛皮だったら服を着なくてもいいけど、私はそういうわけにはいかないもんね。
後は生活に必要なモノはだいたい部屋にあるけど。
そうだ!この街の地図を買わないと。
地図があれば一人でも出かけられるもんね。
毎回誰かに付き添ってもらうのは申し訳ないし。
よし。これでとりあえず明日買う物は決まったから今日は寝ようっと。
次の日に朝食を食べて妖月様との約束の時間の10時にお屋敷の玄関に行く。
妖月様が少ししてやってきたけど思わず驚いた。
いつものスーツ姿ではなく白いトレーナーに黒いズボンのラフな姿だったのだ。
へえ、妖月様ってこんな格好もするんだね。
でも何着ても似合うって羨ましいなあ。
「準備はできたか?」
「はい。妖月様」
「では、参るぞ」
お屋敷の玄関の前には赤い車があったけど界魔さんとかはいない。
妖月様は当たり前のように運転席に乗り込む。
え? 妖月様が運転するの?
「早く乗らぬか!」
「は、はい」
私は助手席に乗った。
「あの、妖月様は運転できるんですか?」
「……お前は相変わらず失礼な奴だな。当たり前だろう」
「でもいつも界魔さんが運転してたから」
「界魔にも休日を与えねばな。私の運転では不満だと言いたいのか?」
妖月様の冷たい視線に私は首を横に振る。
「いえ。今日は妖月様に付き合っていただけて感謝します」
「……では出発するぞ」
妖月様の運転でお屋敷を出発する。
「ショッピングセンターって近いんですか?」
「車だったら5分くらいだ」
そうなんだ。便利な所にお屋敷ってあるんだね。
車が大通りに出ると妖月様はスピードを出す。
ひえ! こんなにスピード出して大丈夫なの?
スピード違反で捕まったりしない?
「妖月様。スピード違反で捕まりませんか?」
妖月様は前を見たまま答える。
「このぐらいのスピードでは違反にはならん」
「そうなんですね……」
う~ん、この世界の法定速度って何キロなんだろう。
「ほら、見えて来たぞ」
私が前を見ると大きな建物が見えて来た。
車は駐車場へと入る。
駐車場も広々としているし、人間の世界のショッピングセンターと外観はあまり変わらないが行き交う人たちはみんなモンスターさんたちだ。
妖月様が車を停車して降りたので私もその後に続く。
「まずは何を買いたいのだ?」
「えっと。洋服を少し買いたいです。職場にも着て行けるような洋服は売ってますか?」
「スーツか?」
「いえ。スーツじゃなくてもいいんですけど……できれば安いお店で」
あまり私はお金を持ってないから高価な洋服は買えない。
「ふむ。人型モンスター用の服売り場があるから行ってみるか」
「お願いします」
私たちはショッピングセンターの中に入った。
妖月様について行くと婦人服売り場に辿り着いた。
「いらっしゃいませ」
店員モンスターさんが迎えてくれる。
この店員モンスターさんも人型だけど短い角と尻尾が生えている。
「この娘の洋服を買いに来た。見せてもらっていいか?」
「はい。どうぞ」
店員さんはにこやかスマイルで妖月様に頭を下げる。
「美音。選んでみよ」
「はい」
私は綺麗に並べられた洋服を見てみた。




