魔王国拡大中 その1
「ほら、あーん。」
「あーん。……モグモグ……美味しいですぅ。あーん……、。」
「仕方がないなぁ。ほらもう一口。」
あーんと口を開けるリノアに、スプーンですくったパフェを一口分放り込んでやる。
それを美味しそうに頬張るリノア。うん、可愛いね。
「あのぉ……。」
「にぃに、リノアばっかズルいっす!」
横からリィズが、ずいッと身を乗り出して、口を大きくあーんと開ける。
「ハイハイ、リィズは甘えっこだなぁ。」
俺はそう言いながら、一口大に切り分けたショートケーキを放り込む。
「ムグムグ……美味しぃっす。」
「えっと、……、」
「うぅー、うぅー。センパイは正妻をもっと甘やかす必要があると思うのよ!」
「わかってるよ、ほら、あーん。」
「それでいいの、あーん……っつぅぅ……。」
カナミの前にアイスクリームを差し出すと、カナミは嬉しそうに、それを一口で頬張り、そして……。
「いや、欲張り過ぎだろ?」
「だってぇ……、頭がキーンって、キーンて……。」
こめかみを押さえて唸るカナミ。いわゆるアイスクリーム頭痛ってやつだ。
「いい加減にしてくださいっ!」
テーブルがバシンっと叩かれる。
「話を聞いてくれるんじゃなかったんですかっ!それがさっきから見ていればイチャイチャ、イチャイチャと……。独り身の私に対する嫌がらせですかっ!」
バンバンっと、テーブルを叩きながら叫ぶ姫様。
「って言われてもなぁ。今はティータイムだ、お茶を楽しんで何が悪い?そもそも誰も話を聞くなんて言ってないぞ?」
「へっ?………でも、話を聞いてくれる気になったから、部屋に入れてくれたのでは?」
「いや?あまりにも五月蝿くて仕事ができないって、ウチの可愛いメイド達が言うから、仕方がなく隔離しただけだぞ?」
「………何なんですか、それはっ!」
俺の言葉を聞いて一瞬呆けたあと、言っていることが理解できたのか、怒り出す姫様。
「私は帝国の王女なんですよ!話ぐらい聞いてくれてもいいじゃないですかぁ!」
……いや、もうね、涙目になっているセレスティアが、少し可愛いと思っちゃいましたよ。なんていうか、もっとイジメたくなるような………。
そういう個人的な感情は置いといて、俺はセレスに冷たく言い放つ。
「それだよ、その「王女」ってやつ。」
「は?」
「王族っていうのは貴族のトップみたいなもんなんだろ?」
「えぇ、まぁ。」
セレスは、俺が何をいいたいのか分からず、曖昧に頷く。
「貴族って言ったら、我儘で人の話を聞く気がなく、金に汚く、やりたい放題。平民は皆自分の奴隷で、自分の意見に従わないやつは適当な理由をつけて処分。下手に逆らえば、冤罪を被せられるから、みんな泣き寝入り。それで増長して、さらにやりたい放題……。そんな貴族のトップの話って聞く必要があるか?どうせ、自分たちの都合の良いように俺を利用しようって話なんだろ?」
「そ、それは………。」
さっきまでの威勢の良さが鳴りを潜め、黙り込んでしまうセレス。
色々と反論したいのだが、ある意味、レイフォードの言葉は的を得ているので、うまい言葉が見つからない。
「レイフォード様のおっしゃる事はごもっともです。ですが、敢えてそれを踏まえたうえで話を聞いてもらえないでしょうか?」
今まで黙っていたセレスの側使えであるマリアが、前に進み出てきて頭を下げる。
「あ、あのっ、御主人様、私からもお願いします!」
脇に控えていたウチのメイド隊の一人が飛び出してきて、マリアの横に並んで頭を下げる。
メイド隊、年長組のイリスだ。
イリスの話によれば、元々イリスはマリア率いるメイド間諜部隊の一人で、セレスの街を担当していたのだという。
色々あって、ガストンに正体がバレて捕らえられていた所を俺がたまたま助けた、という経緯らしい。
「御主人様に誠心誠意お仕えする心に偽りはありませんが、マリア様は孤児だった私を救ってくれた恩人であることも事実なのです。ですから、どうかお話だけでも………。」
深々と頭を下げるイリス。
この娘の言葉に嘘偽りはなく、短い間ではあるが、言葉通り献身的に仕えていてくれたことも間違いはない。イリスに免じて話ぐらい聞いてもいいのだが………。
「イリス、そしてマリアといったか?この後、俺に身体を差し出すなら、話を聞いてやるが?」
「ハイ、覚悟の上です。」
キッパリと言い切るイリス。
「………話を聞いたうえで、前向きに検討していただけるのであれば。」
ちゃっかりと条件を出してくるマリア。
「だ、ダメよっ!そんな事させられないわっ!」
ことの成り行きについていけてなかったセレスが、ふと我にかえって、慌てて否定の言葉を投げかけてくる。
「姫様が相手をしてくれてもいいんだぜ?」
「マリア、頑張って!」
………見事なまでの自分ファーストなお姫様に、思わず声が出なくなる。
「……冗談に決まってるじゃない。」
固まってしまった俺達を見て、セレスが慌てて言い訳をする。
「コホンっ。そんな巫山戯た条件を飲む必要はありません。マリア、帰りましょう。」
「ですが、姫様。このままでは………。」
「いいのです。話を聞いてもらうだけにふざけた条件を出してくるような相手とは、まともな取引が出来るわけ無いでしょう。」
そう言って俺を睨んでくるセレスティア姫。
「クスッ。センパイの負けだねぇ。」
「そうッスね、イジるのもこの辺で終わりみたいっすよ。」
「あぁ、そうみたいだな。」
カナミとリィズのからかうような言葉に、俺は素直に両手を上げる。
「あー、とりあえずふたりとも座ってくれ。……イリス、お客様にお茶を………カミル茶がいいな。後、お茶請けには例のものを。」
「はい、御主人様っ!」
イリスは嬉しそうに部屋を飛び出していく。
呆気にとられたまま、その場に取り残された二人に俺は手を差し出して、伝える。
「話し合いを始めようか。」と…………。
短くてスミマセン。
区切りの良いところって考えたら思ったより短くなってしまいました。
後日余裕があれば加筆の可能性もありますが(^^;
短くても、更新の間をあまり開けないように、という気持ちの現れだと解釈してもらえれば助かります。
ご意見、ご感想等お待ちしております。
良ければブクマ、評価などしていただければ、モチベに繋がりますのでぜひお願いします。




