限界突破のパクリ工作、神の盾を汚す強欲貴族を完全論破
ウィリアムが率いる特別防衛隊の電撃的な活躍によって、大陸を繋ぐ爆速の郵便網は、卑劣な妨害工作をもろともせずに完璧な稼働を続けていた。情報の伝達速度が劇的に向上したフィラデルフィアの街は、日々莫大な富と最先端の知性を生み出し、まさに新時代の中心地として目覚ましい発展を遂げている。
だが、この圧倒的な内政無双の成果は、海の向こうや近隣の領地で胡坐をかいていた旧弊な支配者層にとって、到底看過できない嫉妬の対象となっていた。私がもたらした数々のイノベーション、特に天災の恐怖から都市を100%守り抜く「避雷針」の絶大な効果を知った近隣の悪徳貴族たちが、己の強欲を満たすために極めて醜悪なハッキングを仕掛けてきたのである。
彼らは、私が人類全体の安全を優先して特許を取得せず、完全無償公開にしたその「聖人ムーブ」の優しさを、自らの利益のために悪用できる絶好の隙だと勘違いしたのだ。
「フランクリンが設計図を無料でバラ撒いているということは、誰が自分の発明だと主張しても法的な罰は受けないということだ。ならば、この画期的な『神の盾』の技術は、我々高貴な一族が古くからの秘術を元に開発したものということにすればいい。無知な平民どもから莫大なライセンス料を巻き上げ、我が領地の特産品として世界中に売り捌いてくれるわ」
隣国の領地を支配する傲慢な悪徳貴族、ボリンドン伯爵とその一味は、私の避雷針の構造をそのまま丸パクリした粗悪な複製量産品を製造。そればかりか、お抱えの御用学者たちに大金を握らせて「これこそが真の発明であり、フィラデルフィアのフランクリンなる若造は、我が一族の偉大な研究を盗み見して真似した詐欺師に過ぎない」という、捏造に満ち溢れた偽りの論文を国際社会に向けて大々的に発信し始めたのだ。
情報の伝達が速くなった郵便網を逆手に取り、彼らの嘘の主張は瞬く間に近隣の州やヨーロッパの端々にまで拡散されていった。
「フランク、大変なことになった。ボリンドン伯爵の放った御用学者たちが、各都市の広場や新聞を使って、君の避雷針を『自分たちの利権』だと叫び散らしている。それだけじゃない、彼らの息がかかった御用組合は、君が善意で設置した無償の避雷針を『不法な海賊版』と決めつけ、街の建物から無理やり撤去して自社の高額な製品を売りつけようと暴れているんだ。このままでは、君の築き上げた聖者としての名声が、あんな強欲な老害どもの嘘によって泥を塗られてしまう!」
中央ポストオフィスの執務室に飛び込んできたウィリアムは、誠実で引き締まった体躯を怒りで震わせ、手にした偽りの国際学術報をデスクに叩きつけた。
だが、私は仕立ての良い衣服に身を包み、デスクの上でペンを握る手に一層の力を込めながら、常に余裕のある笑みを浮かべたままであった。私の全身からは、どれほどの理不尽な逆境であっても一瞬で最適解へと変換する、知的で堂々としたオーラが満ち溢れている。
「ウィリアム、そんなに熱くならずとも大丈夫ですよ。彼らの脳内ステータスは、私たちの進化のスピードに全く追いついていない。特許を取らなかったのは、何も彼らのような泥棒に利権をプレゼントするためではありません。人類の発展という大局の前に、私個人の富などという小さなバグを介入させないためです。そして、科学的事実というものは、どれほど権力のある貴族が言葉を飾ろうとも、決して捏造できない絶対の数式なのです」
私はゆっくりと立ち上がり、窓の外で美しく輝くフィラデルフィアの近代的なインフラ網を見つめた。
「彼らは『フランクリンの技術を盗んだ』のではなく、『フランクリンに生かされている』に過ぎない。その根本的な立場の違いを、言葉ではなく、完璧な科学の法則をもって彼らの脳裏に直接刻み込んであげましょう」
数日後、ボリンドン伯爵の領地に近い大都市の壮麗な公会堂において、国際的な科学者や各国の使節、そして大勢の新聞記者が集まる大規模な「雷科学の正統性論争会」が開催された。
壇上には、豪華絢爛な毛皮と宝石で身を飾ったボリンドン伯爵が、傲慢極まる態度でふんぞり返っていた。その隣には、彼から莫大な報酬を受け取った御用学者たちのボスが、分厚い偽造書類を掲げて勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
「みなさん、よくお聞きいただきたい! フィラデルフィアのフランクリンなる者は、平民の身分でありながら、我がボリンドン家が数世代にわたり研究してきた『金属の誘電性に関する秘術』を不当に入手し、さも自分が大嵐の中で凧を揚げて発明したかのように仕立て上げた希代のペテン師である! 彼の作った避雷針は我が一族の知的財産の完全な盗作であり、今後、我が一族の許可なく設置されたものはすべて違法とみなし、高額な賠償金を請求するものである!」
御用学者が声を張り上げると、会場にいたボリンドン派の貴族たちから、割れんばかりの拍手とフランクリンを貶める嘲笑が沸き起こった。彼らは、この圧倒的な権力と捏造された書類を使えば、一介の印刷職人から成り上がった私などを簡単に押し潰せると確信していたのだ。
その時、公会堂の重厚な扉が静かに、しかし確固たる存在感を放って開け放たれた。
現れたのは、一切の華美な装飾を排した、しかし最高級の仕立ての良い衣服を完璧に着こなした私であった。私の背後には、誠実で引き締まった体躯を持つ最高の相棒ウィリアムが、不正を絶対に許さない鋭い眼光を放ちながら控えている。私の衰えを知らない弁舌の切れ味と、神の領域すらハッキングした半神の天才としての威風が、会場の空気を一瞬で張り詰めさせた。
「ずいぶんと賑やかなお伽話の発表会ですね、ボリンドン伯爵。私の名前が無断で使われていると聞いて来てみれば、科学の神聖な議場が、ただの強欲な強盗の分け前相談所に成り下がっているとは」
私の知的で堂々としたオーラに圧倒され、壇上の御用学者が一瞬身をすくめたが、すぐに顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。
「な、何だと! 詐欺師のフランクリンが自ら現れたか! 往生際が悪いぞ! この書類に書かれた我がボリンドン家の完璧な理論の前に、君の浅知恵など何の価値もないわ!」
「理論、ですか」
私は余裕のある笑みを浮かべたまま、ゆっくりと演壇の正面へと進み出た。
「貴方がたが提示しているその論文を、私も拝見させていただきました。実に見事なパクリ工作ですが……科学の本質を全く理解していない無能が書いたせいで、致命的なバグがそのまま放置されていますね。ボリンドン伯爵、貴方がたが『独自開発した』と主張するその量産型の避雷針ですが、先端の形状をあえて尖らせず、我が一族の権威の象徴として『丸い球体』のデザインに変更しているようですね?」
ボリンドン伯爵が傲慢に顎を突き出した。
「当然だ! 我々高貴な一族の製品が、お前が作ったようなただの尖った鉄の棒と同じであるはずがなかろう! 鋭利な先端などは見た目が美しくない。我がボリンドン家の避雷針の先端は、美しく磨き上げられた黄金の球体だ! これこそが、天の雷を優雅に受け止める最高にして最新のデザインなのだ!」
その言葉を聞いた瞬間、私は可笑しさをこらえきれないといった様子で、フッと深い笑みを漏らした。
「やはり、その程度の知性ですか。だから老害の浅知恵は恐ろしい。美しさのために世界の理を捻じ曲げられると思っているとは。科学の世界では、見栄えなどという非効率なコストは何の役にも立たないのですよ」
私は演壇の上に、独自に持ち込んだ小型の起電装置と、二つの異なる先端を持つ金属棒を並べた。
「皆様、これより目の前で、ボリンドン伯爵の言う『偉大な発明』が、どれほど無価値で危険なガラクタであるかを完璧に証明してみせましょう。雷の本質は過剰な電気エネルギーの放出です。そして、電気というものは、鋭く尖った先端に対して最も効率的に誘導され、火花を散らすことなく静かに地中へと逃げていく性質を持っています。これが、私の設計した避雷針のカンストした最適解です」
私は起電装置を動かし、人工的な電気を発生させた。尖った金属棒を近づけると、電気は音もなく静かに吸収されていった。会場の学者たちが「おお……!」と息を呑む。
「しかし」と、私はボリンドン伯爵のレプリカと同じ、先端が丸い金属棒を取り出した。
「先端をこのように丸い球体にしてしまうと、電気を均等に反発させてしまい、エネルギーを静かに逃がすことができなくなります。その結果、限界を超えた瞬間に、周囲の最も危険な場所へと爆発的な大落雷(アーク放電)を引き起こす、最悪の『雷寄せの罠』へと変貌するのです!」
私が丸い金属棒を近づけた瞬間、バリバリと激しい爆音と共に、想定外の方向へと凄まじい稲妻の火花が飛び散った。その激しい光と衝撃波に、壇上のボリンドン伯爵と御用学者たちは「ひゃああっ!?」と無様な悲鳴を上げて椅子から転げ落ちた。
「これが、貴方がたの主張する『独自の秘術』の正体です」
私は衣服の乱れ一つなく、冷徹なまでの視線で彼らを見下ろした。
「貴方がたは私の設計図の表面だけを盗み、本質を理解せぬまま見栄えだけで形を変えた。その結果、落雷を防ぐどころか、建物を確実に大火災へと導く致命的な不良品を大量生産してしまったのです。ボリンドン伯爵、貴方はこの欠陥品を高額で売りつけ、民衆の命と財産を危険に晒そうとしている。これは発明などではなく、ただの大規模な大量殺人未遂の詐欺行為です!」
「な、な、何ということだ……!?」
「フランクリン氏の言う通りだ! 確かに丸い先端では電気が暴走している!」
「ボリンドン伯爵は、私たちに嘘の欠陥品を売りつけようとしていたのか!」
会場の空気は一瞬でひっくり返り、詰めかけた各国の使節や記者たちから、ボリンドン一味に対する激しい怒りと弾劾の声が地鳴りのように沸き起こった。
青ざめてガタガタと震える御用学者は、必死になって捏造書類を隠そうとしたが、ウィリアムが即座に演壇へ登り、その不正の証拠をすべて取り押さえた。
「往生際が悪いぞ、偽りの学者ども。お前たちがボリンドン伯爵から受け取った裏報酬の帳簿と、論文の捏造を指示された書簡の数々は、すでに我がフランクリン商会の独自のルートによってすべて押さえられている! これ以上の言い訳は、自身の罪を重くするだけだ!」
ウィリアムの凛とした声が公会堂に響き渡り、不正の裏側が完全に白日の下に晒された。
ボリンドン伯爵は、目の前に突きつけられた科学的事実と、完璧に暴かれた不正の証拠の前に、もはや一言も反論することができず、ただ口をパクパクと開けたまま床にへたり込むしかなかった。彼らがどれほど巨大な権力を持っていようとも、私の導き出した世界の理の前には、ただの哀れなバグとして完全に排除される運命にあったのだ。
「どうぞどうぞ、私たちの技術を真似したいのであれば、いくらでも使ってください。ですが、人類の安全のため、その歪んだプライドと強欲は捨て、私の設計図を1マイルたりとも違えずに完璧にコピーすることですね。もっとも、民衆を欺いた貴方がたに、新時代のインフラに関わる資格など二度とありませんが」
私の放った圧倒的な聖人ムーブのオーラと、冷徹なまでのクリーンざまぁの極みの前に、老害貴族たちの利権の野望は文字通り一瞬で粉砕された。
論争会の結末は、私の郵便網を通じて瞬く間に世界中へと発信され、国際世論はボリンドン伯爵に対して猛烈なバッシングを開始した。伯爵の一族は名声を完全に失って失脚し、彼らの領地から不正に徴収されようとしていたライセンス料の計画はすべて白紙撤回。逆に、私の「人類の安全をどこまでも優先する」という圧倒的な聖人としての名声が、ヨーロッパ全土の王室や科学アカデミーへと不滅の輝きをもって轟く結果となったのである。
その日の夜、フィラデルフィアへと凱旋した私たちのオフィス。
窓の外には、最新の電気街灯に照らされ、天に向かって鋭く尖った避雷針が、街の安全を完璧に守る盾として美しくそびえ立っていた。情報の海も、都市のインフラも、すべてが私の最適解の通りに美しく駆動している。
「フランク、本当に見事だったわ。貴方の知性は、悪意を持った人々の嘘すらも、正しい光で一瞬にして消し去ってしまうのね」
執務室の机の傍らで、デボラが私のために新しく淹れてくれた温かい紅茶を差し出しながら、変わらぬ一途で可憐な微笑みを向けてくれた。彼女の揺るぎない信頼が、激しい論争戦を終えた私の心を優しく癒してくれる。
「ありがとう、デボラ。どんなに醜い強欲が立ち塞がろうとも、正しいシステムと科学の法則は決して揺らがない。それを証明し続けることこそが、私の役割なのさ」
私は彼女の手の上に力強い手を重ね、常に余裕のある笑みを深めた。
文字の力で世論を動かし、最速の郵便網で距離を支配し、そして国際的なパクリ工作すらも圧倒的な科学チートで踏み台にしてみせた私。フランクリン商会の信頼性は世界最強のレベルへと達し、新時代を牽引するリーダーとしての私の影響力は、もはや超大国の脅威をすら揺るがすほどの巨大なうねりとなり始めていた。
「さあ、ウィリアム。インフラの安全性は完全に担保された。次は、この高まった国際的な名声と都市の豊かさを背景に、触るだけで天上の音楽を奏でる最新の楽器『グラス・ハーモニカ』の開発と、我々の自由な未来を脅かそうとする大国の影に対抗するための、さらなる布石を打つとしようか」
「ああ、フランク! 君の描く完璧な設計図がある限り、僕たちはどんな嵐も乗り越えられる。この世界の最先端へ、どこまでも共に行こう!」
最高の相棒であるウィリアムと力強い視線を交わし、私のペンは次の壮大な未来のビジョンを白紙のノートへと刻み始める。名実ともに世界の知性を支配する覇王となった私の前に、もはや恐れるべき障害など何一つ存在しなかった。




